サッカー

サッカーでよく起きる疾患について紹介します。

 

足の怪我

足関節外側靭帯損傷(足関節捻挫)
足関節は内側と外側に安定性を増加させる靭帯を持ちます。
外側靭帯は足前面から「前距腓靭帯」、「踵腓靭帯」、「後距腓靭帯」から構成される


内側靭帯、外側靭帯とどちらも捻挫することがありますが外側靭帯を損傷することが圧倒的に多く
外側靭帯の中でも前距腓靭帯を損傷することが多いです。

損傷機序としては「内返し」という、いわゆる捻った機序が多い


損傷度合いは3段階で表し、Ⅰ~Ⅲ度に分類される
Ⅰ度損傷:靭帯の微細損傷
Ⅱ度損傷:靭帯の部分断裂
Ⅲ度損傷:靭帯の完全断裂
※複数の靭帯損傷を合併していても各靭帯ごとに分類する

損傷後は腫れ、内出血、熱感を持ちます。
急性期(受傷から2~3日)はRICE処置を中心に行いましょう。
※RICE(ライス)処置:Rest(レスト)…安静、Ice(アイス)…冷却、Compression(コンプレッション)…圧迫、Elevation(エレベイション)…挙上

今まで何度も捻挫をしたことがある、捻挫が癖ですという選手もいます
損傷靭帯をそのままにしてしまうと損傷部分は完治せず
次の怪我へと繰り返されてしまうそのため靭帯が伸び安定性を獲得できていない状態となる
 
ジョーンズ骨折
足首の捻挫とは異なりサッカー選手に多い足のケガとして
「Jone’s(ジョーンズ)骨折」といいます

では「Jone’s(ジョーンズ)骨折」とはなにか?
この怪我は疲労骨折です。
疲労骨折は何度も同じ動作を繰り返す中で一部分に負担がかかりすぎ(オーバーユース)て損傷、骨折してしまうことをいいます
足にある第5中足骨近位部という部分の骨折です。

この骨折の特徴は治りにくいということ
写真にある「ZoneⅡ」、「ZoneⅢ」に及ぶ骨折は治りにくいとされ治療は慎重に行う必要があります。

発症は足を伸ばしたまま内向きにかかる力が多いと足部外側に違和感を覚えます。
違和感がある状態でステップ動作など行った結果、損傷するとされています。

 
アキレス腱周囲炎
つま先立ちのように足首を下に返すような動きをする時に働く筋肉に「腓腹筋」と「ヒラメ筋」があります。
アキレス腱は、この「腓腹筋」と「ヒラメ筋」の筋力を踵(かかと)の骨に伝える強靱な腱です。

アキレス腱があることでランニングやジャンプ動作を行うことができます。
そのため、運動量が増加するとアキレス腱の負担も大きくなり炎症を起こしてしまいます。

「腓腹筋」と「ヒラメ筋」が急激に収縮した時に筋と腱の移行部分(筋腱移行部)が緊張し、アキレス腱にわずかな損傷が生じることで起こります。
筋腱移行部の老化は思春期から始まります。更に使い過ぎると柔軟性が低下し硬くなり、アキレス腱を急に伸ばした時(ランニングやジャンプ動作をした時)にアキレス腱に微細な損傷がおき、腱膜に炎症を起こします。
そのほかに構造的に踵の位置が悪かったり、シューズや走路に問題がある場合もあります。

【アキレス腱周囲炎の特徴】
動き始めに痛く、そのうち痛みが軽くなる
腓骨筋腱炎
足首を外側に返すような動きをするときに「腓骨筋」という筋肉が働きます。
この筋肉の重要なポイントは捻挫をしないように耐えるための筋肉ということ。


慢性的に繰り返す捻挫や捻挫まではいかないが足関節が不安定な選手がいます
足首が不安定であるとそれを補うため周囲の筋肉が緊張させます
周囲の筋肉が緊張していると足首の動きはスムーズには動かず硬くなっていきます
そして、くるぶしの後ろで硬くなった筋肉と骨が摩耗し炎症を起こし痛みが出現します。

治療にはまず炎症を抑えるためのアイシングや安静が必要
また、緊張し硬くなった筋肉をほぐすことも行います。
筋力低下も炎症を助長するため痛みのない範囲で筋力強化を行います。
スポーツ中に不安定な足首を使う時にうまく使えるように動作改善もリハビリの一環として行います。

膝の怪我

膝前十字靭帯損傷
主にはスポーツ中に損傷することが多く、接触型損傷と非接触型損傷に分かれます。
損傷は非接触型損傷が多く、一般的には膝が内側に入る「Knee-in,toe-out(ニーイン,トーアウト)」で受傷します。


膝関節には関節の外、中に靭帯を持ちます。
外部からの衝撃に対してこの靭帯が関節の安定性を補います。
関節の外には内側に「内側側副靭帯」、外側に「外側側副靭帯」があります。
関節の中には後ろから前にかけて「前十字靭帯」、後ろからやや前に「後十字靭帯」が交差しながら存在します。


「前十字靭帯」の働きは脛の骨が前面へ移動する、内側に捻る動作を制限することです。
しかし、前述した「Knee-in,toe-out(ニーイン,トーアウト)」が起きることで過度に靭帯が牽引され損傷してしまう。
また「Knee-in,toe-out(ニーイン,トーアウト)」が起きるときに関節に靭帯が下り曲がるように挟まれ捻った勢いで擦り切れてしまうとされています。

「前十字靭帯」を損傷もしくは断裂してしまうと自然治癒しないとされているため
手術が適応されることが多いです。  
膝半月板損傷
主にはスポーツ中に損傷することが多く、急激な回旋ストレスが膝に加わると損傷します。
前十字靭帯の損傷と同様に膝が内に入る「Knee-in,toe-out(ニーイン,トーアウト)」で受傷することが多い。

膝関節にはクッションの役割として「半月板」が関節内に存在します。
荷重時の軟骨を守ったり、曲げ伸ばしの膝の動きに合わせて動くことで膝の曲げ伸ばしをしやすくします。
しかし、スポーツ中に急激なストップや切り返し、ジャンプ着地などで膝を捻るような動きが加わると
その回旋ストレスに侵され擦り切れたり、一部がはがれたような損傷をします。
また、一度の衝撃でなることもありますが長年蓄積され慢性的に損傷していることもあり何かのきっかけで痛みを訴えることもあります。
腸骨棘裂離骨折
成長期にランニングやダッシュ、ジャンプ、ボールを蹴るなどで骨盤やお尻の部分に強い痛みを訴えます。
成長期の骨盤には「成長線、骨端線」が残っており筋肉の急激な収縮による牽引力に力学的に弱い「成長線」の部分で裂離骨折を起こします。

裂離骨折を起こしやすい場所
①上前腸骨棘(ベルトラインの出っ張り):スタートダッシュなどで筋肉に力が入った時
②下前腸骨棘(股関節前方):キックなどボールける動作で力が入った時

中学生~高校生でスタートダッシュ、ボールける、ジャンプの後に骨盤周辺、お尻の部分に痛みを訴え歩行困難になれば骨折を疑います。
診断にはレントゲン検査が必要で裂離骨折の度合いを調べます。
裂離骨折の度合いでは松葉杖での免荷が必要です。
骨折の度合いによりますが4~6週間でジョギング開始、2~3か月で運動復帰とされています。
また、筋肉の硬さも影響するためリハビリ期間は柔軟性を高めることを中心に行い
筋力強化も同時に行います。

鼠径部痛症候群(グロインペイン)

何らかの原因で股関節周辺の筋力バランスが崩れ、様々な症状を呈します。
怪我からスポーツ復帰した後にみられることもあります。
サッカーなど下肢を内転し巻き込むように 蹴る動作が多いスポーツ選手によくみられます。

名称の通り鼠径部周辺のいくつかの痛みが合併し症状を引き起こしていると考えられている。
①股関節唇損傷
②股関節インピンジメント症候群
③大腿直筋炎
④縫工筋炎
⑤内転筋付着部炎
⑥恥骨筋腱炎
⑦恥骨結合炎
⑧腹直筋付着部炎

体幹の筋力低下(安定性)
体幹などのインナーマッスルと大腿直筋や内転筋のアウターマッスルとの筋緊張の差が出て動きが悪くなる(可動性)
また、走る・止まる・切り返す・ジャンプ・蹴るなどで動作不良がある(協調性)
この安定性、可動性、協調性の低下があると痛みにつながりやすくなる
   

専門スタッフ

医師
理学療法士
理学療法士
金子 かねこ 史弥 ふみや
関節: 足関節, 膝関節   スポーツ: サッカー, 新体操  
柔道整復師

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