入院・手術

Hospitalization&Surgery

腓骨筋腱脱臼の手術

腓骨筋腱脱臼の手術


腓骨筋腱脱臼は、スポーツ中などに足を強く踏み込んだり捻ったりした時に足関節の外くるぶしの後ろを走行する腱が脱臼してしまう怪我です。外くるぶしの後ろには長腓骨筋と短腓骨筋の2つの腱があり(図1)、腱の上を覆う上腓骨筋支帯が断裂するために脱臼しやすくなります。

図1.腓骨筋腱
 
動作によって腓骨筋腱が脱臼時に痛みや不安感を感じたり、音が鳴ったりすることが典型的な自覚症状です。
詳細は以下をご参照ください。
腓骨筋腱脱臼とは
 
 

どんなときに手術が必要?

腓骨筋腱脱臼は治療の第一選択が保存療法です。リハビリテーションで足関節の正しい運動を獲得し、腓骨筋腱への負担を軽減させます。詳細は以下をご参照ください。
腓骨筋腱脱臼の保存療法
 
リハビリテーションでは上腓骨筋支帯の断裂が元通りに治らないので、治療効果が不十分であれば、画像検査を参考に手術を検討します。
 

手術までにすることは?

手術が決定した後、手術方法や感染症などの合併症のリスクを説明し、入院前までに麻酔のための基本的な検査(血液検査、尿検査、心電図、胸部レントゲン、必要に応じて呼吸機能検査)を行っていただきます。
また、術後の経過をより良くするために、足関節の可動域や筋力を維持する目的で術前リハビリを行っていきます。また松葉杖の使用方法を含めた術後の日常生活指導も行っていきます。
 

入院期間・費用

入院期間:3泊4日(3割負担の場合)
入院費:17~25万
※費用は合併損傷などにより変動することがあります。あくまで目安としてご参照ください。また、高額医療免除の適用となることもあります。詳しくは術前の検査時にスタッフからご案内させていただきます。
詳細は以下をご参照ください。
入院について
 

手術

当院は腓骨筋腱脱臼に対して外くるぶしの骨に上腓骨筋支帯を縫い付ける解剖学的修復術を第一選択にしています。
腱鞘鏡を使用して手術を行う場合もあれば、皮膚を大きく切開して手術を行う場合もあります。腓骨筋腱脱臼の手術は多くのバリエーションがあり、状況によってケースバイケースで手術を選択して行います。
腱鞘鏡で手術を行う場合は以下の所見を認めます。正常例では外果(外くるぶし)の横に短腓骨筋腱と長腓骨筋腱が並び二つの腱を覆うように上腓骨筋支帯があります。(図2)それに対して腓骨筋腱が脱臼している場合は上腓骨筋支帯がみえなくなり長腓骨筋腱が外果(外くるぶし)に乗り上げ腱が脱臼していることがわかります。(図3)手術ではこの所見に対して処置を行います。

図2.腱鞘鏡:正常例

図3.腱鞘鏡:長腓骨筋脱臼例
 

術後のリハビリテーション

術後翌日からリハビリを開始します。最初は術後の炎症を軽減させるため、足を高い位置へ置き、アイシングを実施します。また松葉杖の使用方法の確認などの日常生活場面の指導をしていきます。松葉杖を使用し最初は手術した足を軽く着く程度から始めて徐々に体重をかけていきます。
その後、少しずつ足関節の可動域練習、筋力トレーニングを行い、日常生活やスポーツ復帰に向けてリハビリを行っていきます。
なるべくギプス固定をしない方針ですが、腱損傷などの合併障害によっては2~4週間のギプス固定を行ってから機能訓練を開始します。

図4.足関節可動域練習
 

図5.足の指の筋力トレーニング
 
スポーツについては腱鞘の処置のみで済んだ場合は手術後4~6週目からジョギングを開始し、手術後12週以降でスポーツ復帰を目指します。
詳細は以下をご参照ください。
腓骨筋腱脱臼の術後リハビリテーション
 

よくある質問

Q1.退院後に気を付けることはありますか?
A.術後しばらくは手術した足が腫れています。アイシングで冷やすこととあわせて足を挙上させておくことが重要です。また歩きすぎると腫れがひどくなるがありますのでご注意ください。
 
Q2. いつから松葉杖なしで歩けるの?
A.腱鞘の処置のみで済めば術後2~3週程度ですが合併損傷の程度や痛みに応じて4~6週程度になる場合もあります。腓骨筋腱が大きく損傷している場合は足関節をギプスで固定して免荷(足に体重をかけない)歩行を2~3週間を実施する場合もあります。
 
Q3.退院後、リハビリに通う頻度は?
A.退院当初は、痛みや腫れの状況、傷口に感染がないかなどの確認のためにも週2回は通っていただきます。その後は患部の状態に合わせて徐々に頻度を減らしていきます。
 
Q4. いつから仕事に復帰できるの?
A.仕事の内容にもよりますが、デスクワークの場合は約1~2週から職場復帰が可能です。しかし、痛みや腫れの状況、通勤手段や距離などによる総合的な判断が必要ですのでスタッフにご相談ください。
 

当院の足関節担当医

当院では森裕祐医師、清水勇樹医師が足関節の手術を行っています。
森裕祐医師の外来は火曜日終日、不定期土曜日午前です。
詳細はこちらをご参照ください。
森裕祐医師

清水勇樹医師の外来は月曜日午前です。
詳細はこちらをご参照ください。
清水勇樹医師

 
Ver.1 2019.2.15