呼吸機能検査

呼吸機能検査とは

呼吸機能検査とはいわゆる肺活量検査のことで、単なる肺活量以外にも息を吸う力、吐く力や酸素の取り込む能力などの様々な肺の状態を評価することができます。
呼吸機能検査(肺活量検査)を実際に受けたことのある方は多くはないかと思います。検査にはスパイロメータを使用します。
検査は検査スタッフに従い鼻クリップを付けてマウスピースを加えて息を吸ったり吐いたりして行います。
肺では血液の中に酸素を取り込み二酸化炭素を排出するという極めて重要な役割を担っています。
息を吸ったり吐いたりする際に肺が風船のように膨らんだり縮んだりして空気を取り込みます。
気管支や肺に異常が起きるとこの膨らんだり縮んだりする力が障害されたり、酸素を取り込む力が低下したりします。
呼吸機能検査では様々な数値を測定してこのような肺の状態を評価していきます。 
呼吸機能検査は非侵襲的な検査であり、検査による副作用やリスクがほとんどありませんので、肺の疾患が疑われる場合には検査をお勧めします。


電子スパイロメータ

主な疾患や検査所見

比較的頻度の高い疾患や検査所見をいくつか紹介します。
呼吸機能検査では、単なる肺活量だけではなく肺の膨らみ方や縮み方の様子や酸素の取り込む力の評価もでき非侵襲的にできる検査として非常に有用です。診察結果や他の検査結果と合わせて肺の状態を総合的に判断しますのでご相談下さい。
①喘息
喘息は、アレルギーや刺激などが原因で気管支に慢性的に「炎症」「過敏性」「狭窄」が生じて咳や息苦しさの症状を認める疾患です。
症状が落ち着いていても喘息の病態が存在して進行していることが分かっており、呼吸機能検査での評価が勧められます。
呼吸機能検査では、息を吐く力の低下を認め(閉塞性障害)、吸入薬を吸入後に改善を認めるのが特徴的です。
吸入薬(特に吸入ステロイド剤)による治療が基本となり状態をみながら継続していく必要があります。
発作を起こすと、酸素吸入やステロイドの点滴、入院治療が必要になることがあります。
小児喘息に既往がなくても成人になってから発症する喘息も少なくないため長引く咳の症状のある方は喘息の可能性を考えて検査や治療を相談しましょう。
②COPD
COPDは慢性閉塞性肺疾患の略で、主に煙草などの汚染物質の吸入で肺が壊れて慢性的な咳や痰、息切れの症状を来す疾患です。禁煙をしても壊れた肺(肺気腫)はもとには戻らず年齢とともにさらに肺の機能は低下していきます。
呼吸機能検査では、喘息と同様に息を吐きだす力の低下を認め(閉塞性障害)ますが、喘息のように吸入薬を吸入しても短時間では著明な肺活量の改善は認められないといった違いもあります。
吸入薬による治療を続けることで咳や痰、息切れといった症状の改善や呼吸機能の改善が期待できますので、治療を継続することが重要です。
風邪は肺炎などをきっかけに急激な呼吸状態の悪化(増悪)を来すと致命的となることがあります。
また、慢性に進行すると在宅酸素療法(24時間の酸素吸入)を余儀なくされる場合もあります。
禁煙、薬物治療、運動、栄養、予防接種などで病気の進行や増悪を防ぐ手立てが重要です。
 
③間質性肺炎
肺胞から毛細血管へ酸素を取り込む間の「つなぎ」の部分を間質といい肺の構造を支えている部分です。この間質の部分に様々な原因で炎症が起こることで酸素を取り込むなどの肺の機能が失われていく疾患の総称を間質性肺炎といいます。慢性に「炎症」を起こして、肺の「線維化」が種々の程度で進行して肺が硬くなり縮んでいくのが特徴です。
間質性肺炎の原因には膠原病や薬剤性、アレルギー性など様々な原因が指摘されており、その種類によって病気の進行具合や治療方法も異なります。
呼吸機能検査では、息が吸いづらくなる所見(拘束性障害)や酸素を取り込む能力の低下(拡散能障害)が認められます。
その他、血液検査や画像検査(胸部レントゲン検査、CT検査)や肺生検などから診断します。
根本的な治療方法がなく、原因に対する治療アプローチや炎症や線維化を抑制する治療(ステロイド剤や免疫抑制剤、抗線維化薬)を行ったりします。
感冒や肺炎などをきっかけに急激な呼吸状態の悪化(急性増悪)を来すことがあり致命的になるリスクが高く注意が必要です。
 
 

 
 
 
 
 
 
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