肩関節の外来
- 2016/02/12
肩関節の脱臼を繰り返し、損傷した関節唇・関節包靭帯を修復する手術 (鏡視下Bankart修復術)を行った場合は、手術後のリハビリテーションで肩関節の機能を 戻すことが重要です。
また、そのリハビリテーションは、関節唇・関節包靭帯の損傷している部位や関節窩の骨欠損の有無により、固定期間を含めた治療プログラムの時期が異なります。
当院では以下のように行っています。
図1 肩関節脱臼
手術をした組織が修復するまで時間が必要です。
そこで、修復した組織にストレスを加えないよう一定期間装具を装着します。
この期間に肩を動かすなど、修復した部分へストレスが加わると再脱臼のリスクが高くなってしまう可能性があるため、十分に注意が必要です。
★手術後の装具 図2の装具を使用します。
<手術前>
手術前の肩関節の動きが十分にあると術後の経過も良好であると言われています。
そのため、手術前はできる限り関節可動域の改善を図ります。
また、術後に装具の着用をスムーズに行えるように練習や更衣動作を行います。
<手術後早期>
早期からむくみがでないように肘や指を動かします。
術後3週間は組織の修復のために安静が必要です。
装具固定期間(3週間)は肩関節を動かすことができないため、肩甲骨や胸郭に対する 可動域訓練が主体となります。
また、腫れや熱感がある時期のため、退院後もアイシングを行うよう指導します。
※アイシングの方法はこちらです。 → 「アイスバックの作成方法」 、「アイシングの方法」
<術後4週目から8週目>
4週目から装具を外し、少しずつ肩関節を動かしていきます。
まだ修復した部分の強度は十分ではないため、無理に動かすことは禁物です。
リハビリテーションでは理学療法士が可動域の拡大を図りつつ、腱板の収縮を促すよう 介入していきます。
図3 テーブルスライド
→ テーブルスライドの動画
<術後9週目以降>
8週間が経過すると徐々に組織の修復が進んでいます。
しかし、強度が十分とは言えないため、地面に手をついて行う運動(肩への負担が大きい動作)は禁止です。
リハビリテーションでは理学療法士が引き続き可動域の拡大を図っていくとともに、 拡大した可動範囲内でのトレーニングを行います。
図4 2nd 腱板トレーニング
<術後3ヶ月>
手術で関節窩に打ち込んだアンカーの骨孔(骨に空けた穴)がしっかりと修復しているか評価するため、術後3ヶ月が経過した時点でCT検査を行います。
<術後4ヶ月以降>
リハビリテーションでは地面に手をついて行う運動(Push upなど)を行い、 筋力強化を積極的に行っていきます。
図5 Push up
<術後5ヶ月以降>
リハビリテーションではウエイトトレーニングや各スポーツ別のトレーニングを 行っていきます。
<術後6ヵ月>
この時期は、手術後の定期検診で可動域測定、疼痛評価、筋力測定、MRI撮影を行います。
MRI画像や筋力測定の結果を基に、スポーツや余暇活動への復帰にむけて、必要な機能改善を図ります。
※あくまでも目安であり、個人差があることをご了承ください。
スポーツのレベルや種目によっても違いがあります。
執刀医と相談しながら復帰を目指しましょう。
※保存療法のリハビリテーションはこちらをご参照ください。
→ 保存療法のリハビリテーション
※写真をクリックすると紹介文が表示されます。
※肩関節担当スタッフのリハビリテーションを希望される場合は、初診時の問診表に名前の記載をお願い致します。