肩関節の外来
- 2016/02/12
明らかな原因がなく肩周囲の痛みが生じ、手が持ち上がらない(図1)、背中に手が回らない(図2)などの可動域制限をきたす疾患の総称です。年齢的に中年以降の人に発症することが多いため、一般的に五十(または四十)肩と言われることがあります。
図1 手が上がらない
図2 背中に手が回らない
肩に痛みが出る原因には腱板断裂や石灰性腱炎など明確な原因が存在する場合もあります。当院ではレントゲンや超音波検査、MRIで腱板断裂や石灰の有無を確認します。これらの検査を行い、明らかな原因が無い肩の痛みを肩関節周囲炎と診断します。腱板断裂など明らかな原因が無い場合でも、肩周囲の筋力低下や柔軟性の低下で肩の運動に異常をきたし、関節を支持する組織に炎症が起こり、痛みが発生します。 痛みを我慢し続けると、関節を支持するための組織が硬くなり、動きが制限されます。また、肩の動く範囲(可動域)が狭くなるとさらに周囲の筋肉や組織が硬くなり、日常生活に支障をきたします。(関節拘縮)
疼痛が強い時期には消炎鎮痛剤の内服や関節内へのステロイド注射を行い、炎症を抑えて痛みの軽減を図ります。疼痛が軽減すると、積極的にリハビリを行い、可動域の改善を図ります。リハビリだけで可動域の改善が乏しい場合は関節内へのヒアルロン酸注射、超音波画像診断装置使用し組織間の癒着が生じている箇所へHydro-release(生理食塩水、局所麻酔薬を使用した注射)を行い、関節の動きを良くします。
保存療法を実施しても、動きが良くならなければ、サイレントマニピュレーションによる 非観血的関節授動術 を行います。
肩関節周囲の筋肉や感覚を支配する神経にブロック麻酔を行い、筋肉や痛みを麻痺させた状態で肩を動かし可動域を獲得する方法です。従来は入院し全身麻酔下で行っていましたが、現在は超音波検査装置を用いて肩関節周囲を支配する神経を確認し、局所麻酔を行うことができるので、外来で治療が可能です。
※当院でも肩関節担当医が上記治療を行っております※
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Ver.3 2019.12.28 改訂