肩関節の外来
- 2016/02/12
肩関節は、球関節という種類の関節に分類されます。したがって、髪を洗う、背中に手を回す、大きく手を振るなど、他の関節に比べると自由度の高い運動が可能です。しかし、「肩の脱臼」に代表されるように動きが大きい分、不安定な関節といえます。このような肩関節は、関節包や靭帯によって支持されているだけではなく、腱板という4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)が関節を支えることにより関節を安定化させ、また大きな動きを可能にしています(図1)。
図1 腱板の4つの筋肉
腱板断裂は、40歳以上の男性、特に60歳代に好発します。これは、40歳以降から腱の変性が始まるためだと考えられています。また、腱板は解剖学的に上腕骨頭と肩峰の間に位置しています(図2)。そのため、手を挙げると腱板が挟み込まれる状態になり、日常生活で動作を繰り返すことで自然と断裂が起きていることが原因と考えられています。また、交通事故や転倒、スポーツでのコンタクトプレーのように「外傷」が原因となるものや、野球など肩を使う頻度が多いスポーツをされている方にも生じることがあります。
腱板が断裂すると、肩が挙がらない、動かすと痛い、夜痛くて寝ることができないなどの症状があります。また、自力で肩を挙げることはできないが、反対の手で支えれば挙げることができるのも症状の特徴の一つです。 腱板断裂には断裂を認めても症状がないもの(無症候性)があり、腱板断裂がある人のうち約65%は無症候性だった報告もあります。
診断は診察所見と超音波検査(a)やMRI検査(b)、単純レントゲン検査の画像所見から行います。
参考 → 「レントゲン画像の診かた」
a:超音波診断装置を使用して検査を行う肩専門医 副院長 平田医師
・部分断裂‥腱板の一部が断裂し、上腕骨と連続性が残っているもの
・完全断裂‥腱板が断裂し、上腕骨と連続性がないもの
Ver.2 2019.12.28 改訂