手術の麻酔方法
麻酔について
手術を受ける時の麻酔には局所麻酔から全身麻酔まで様々な麻酔方法があります。麻酔科医と執刀医が相談し、患者様の手術部位・ 手術時間・健康状態を考慮した麻酔方法を決定します。
そのため同じ術式であっても、麻酔方法が異なる事もあります。
全身麻酔
意識をなくして眠らせるような麻酔です。呼吸が弱くなるため人工的に呼吸を補助すること(人工呼吸器)が必要となります。全身麻酔の合併症
◎気管内挿管に喉の痛み・声の嗄れほとんどの全身麻酔では、眠った後で口から気管に管を通して人工呼吸をします。
そのため手術の後で一時的にのどの痛みを感じたり声がかすれたりすることがあります。ほとんどの場合、数日のうちにおさまります。
◎歯牙のぐらつき・脱落、口唇や口腔内からの出血や腫れ
人工呼吸のための管を入れる時に、器具を使って口を大きく開けます。歯が弱っていたりするとこの時にその歯が欠けたり折れたりすることがあります。
また、その時に唇が少し傷ついたり、長時間手術などでチューブや固定のテープの刺激で唇が腫れることもありますが、数日のうちにおさまります。
◎寒気、全身の震え
麻酔の影響で体温の調節能力が一時的ににぶくなるため、寒気や震えが来たり発熱が起こることがあります。
しばらく温めると徐々におさまります。
ほかにも頭痛、吐き気・嘔吐、無気肺、不整脈、せん妄、肺炎、気胸などが起こる可能性があります。
脊髄くも膜下麻酔
背骨の中を走っている脊髄という太い神経の周りに局所麻酔薬を入れて手術部位(下半身)の痛みをとります。背骨の隙間が広がるように横向きで丸くなって寝ていただきます。
看護師がお手伝いさせていただきますのでご安心ください。
硬膜外麻酔
硬膜の外側の空間に柔らかく非常に細いカテーテルを留置します。全身麻酔や脊髄くも膜下麻酔に併用し、手術中・手術後の痛み止めとして使用されます。
脊椎くも膜下麻酔と同様に背骨の隙間が広がるように横向きで丸くなって寝ていただきます。
看護師がお手伝いさせていただきますのでご安心ください。
伝達麻酔(末梢神経ブロック)
神経の走行に沿って麻酔薬を注入し、その領域の痛みをとる方法です。術後の痛み止めとして全身麻酔や脊髄くも膜下麻酔に併用することがあります。
目標とする神経や針の位置を確認するために超音波診断装置を使用し安全に行いますので、ご安心下さい。
当院で行っている主な伝達麻酔
- 肩の手術‥腕神経叢ブロック
- 足関節の手術‥坐骨神経ブロック・伏在神経ブロック
- 股関節の手術‥必要に応じて大腿神経ブロック・腹横筋膜面ブロック
脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔・伝達麻酔の合併症
◎頭痛脊髄クモ膜下麻酔や硬膜外麻酔の後に頭痛が起こることがあります。
ほとんどの場合、安静にしていれば徐々に楽になりますが、長く続くようなら医師に相談してください。
◎硬膜外腔の感染・膿瘍・血腫形成など
硬膜外麻酔のカテーテル挿入時の血管を傷つけ血腫を作ったり、カテーテルを通じて細菌が入り込んだりして感染、膿瘍を形成しそれらが神経を圧迫することがあります。
カテーテル挿入部付近の背中の痛みや薬液注入時に痛みを感じたら、医師又は看護師にすぐにお知らせください。
他にも吐き気・嘔吐、注射部位の痛み・発赤、末梢神経障害、局所麻酔薬中毒などが起こる可能性があります。
局所麻酔
痛みを伴う処置を行う部分だけに麻酔を行う方法です。短時間の小手術で、処置を行う部分に局所麻酔薬を注射します。
効きにくい場合には局所麻酔薬を追加しますので遠慮せずお知らせください。
帰宅後の注意事項
・抗生剤・痛み止めの薬が処方されますので必ず服用してください
・手術当日の入浴・シャワーはご遠慮ください
・手の手術をされた患者様は、できるだけ手を下げないようにしてください
足の手術をされた患者様は、枕や椅子を使って足を上げておいてください
・包帯の締め付けによるしびれが生じた場合は包帯を緩めてください