入院・手術

Hospitalization&Surgery

鏡視下前十字靱帯再建術

膝前十字靭帯は膝中央、大腿骨(太ももの骨)の後方から脛骨(すねの骨)の前方をつなぐ靭帯で、膝の前方移動や回旋動作を制御し、安定性を保つ重要な靭帯です。

この靭帯が緩んでいたり、断裂していたりすると膝の不安定感や膝に力が入りにくいというような症状が出ます。
靭帯が切れていても、日常生活を送ることは可能なため、損傷後スポーツをしないのであれば問題ないとされていました。しかし、近年では変形性の進行が早まり、人工関節置換術に至る確率が高くなるとの統計結果が出たことから若年者~壮年者の方には基本的に手術を勧めています。

手術の適応

医師の問診よりどのようにケガをしたのか、日常生活やスポーツ時に膝の不安定感があるのかどうかを確認します。その後、前十字靭帯が損傷しているときに生じる靭帯の緩みの程度とMRIによる画像診断の結果を統合し、手術適応を判断します。
 
 

手術までの流れ

術前のリハビリでは術後の経過をより良くするために、膝関節の可動域トレーニングや患側の筋力が健側の80%以上になることを目標とした筋力トレーニングを中心に行います。術後の筋力の指標として、筋力測定(biodex)を術前に行ないます。また、必要に応じて装具を装着し、日常生活を過ごして頂きます。
 

入院期間、入院費について

5日間:25~28万円(3割負担の場合) 
※手術手技などにより値段は変更することがあります。あくまで目安としてご参照ください。また、入院時に手術適応となる高額医療免除の制度もあります。詳しくは術前の検査時にスタッフからご案内させていただきます。
 

鏡視下手術について

① 手術は膝関節に内視鏡(関節鏡)を挿入して行います。関節鏡や専用器械を挿入するための小さな傷が数か所、腱を採取するための3~4㎝の傷が1ヵ所できます。


② 関節鏡を膝関節の中に挿入し、損傷した前十字靱帯や半月板などの状態を調べます。断裂した靭帯を専用の器械で除去し、必要であれば半月板の処置を行います。
③ 関節鏡で大腿骨と脛骨の形態を確認しながら前十字靱帯を再建する位置を決め、専用の器械やドリルで大腿骨と脛骨にトンネルを掘っていきます。(手術をする方の年齢や活動性、骨の形態によって再建靭帯を1本または2本にするかを判断します。)
④ 移植する腱は、太腿の内後側にある半腱様筋腱や薄筋腱を使用します。膝の前にある膝蓋腱という腱を使用する方法もあります。 3~4㎝の皮膚を切開し、腱を採取した後、関節内の長さや再建に必要な太さに応じて成形していくため、患者さん一人一人サイズが異なります。

⑤ 成形し終えたグラフト(上図)を脛骨側のトンネルから大腿骨側のトンネルへ引き上げ靭帯の張り具合を確認しながら両端を専用器具で固定します。
 
⑥ 関節内と傷口からの出血がないかを確認し、傷を縫っていきます。
⑦ 手術終了後は患肢(手術したほうの脚)にも血栓予防の靴下を履かせていただき、膝固定のための装具を装着します。
⑧ 手術が終わったと同時に麻酔を覚まします。麻酔科医と看護師がお声をかけます。
⑨ 麻酔が覚め、足がしっかり動くことが確認できたらベッドで病棟へ移動します。
⑩ 術後は患部の痛みが出てくると思いますが、術前に入れた硬膜外麻酔チューブ(背中のチューブ)や神経ブロックで痛みを抑えています。それでも、痛みがある時は点滴で鎮痛剤を追加しますので我慢せず、病棟看護師にお声をかけて下さい。
 

術後のリハビリテーションについて

約6ヵ月の基本的なリハビリメニューがありますが、手術療法や半月板などの処置に応じて荷重練習や関節可動域運動、筋力トレーニング等を調整してリハビリテーションを行っていきます。
詳しくは以下のページをご参照ください
術後のリハビリテーション 

よくある質問

Q1.いつからお風呂に入れるの?
A.術創部の炎症症状が収まり、傷が閉じたと医師が判断し抜糸を行った後入ることができます。(約1~2週後)それまでは、患部を防水シールで保護しながらシャワーのみ許可されます。腫れが強い場合は、温め過ぎないよう注意してください。

Q2.いつから歩けるようになるの?
A.手術翌日から松葉杖歩行は可能です。術後1か月で松葉杖を使わずに歩けるようになることを目標にリハビリテーションを行います。しかし、手術内容や状態によって時期は異なります。

Q3.いつから仕事に復帰できるの?
A.仕事の内容にもよりますが、デスクワークの場合だと約2~4週で職場復帰は可能な場合が多いです。通勤距離によっても変動しますので主治医に確認してください。
 
Q4.装具はいつまでつけるの。
A.術後:ニーブレースという装具を使って膝を固定して保護します。
1~2週後、膝の腫れが収まった後に膝を曲げることのできる硬性装具に変更します。
術後の経過によって日常生活で着用⇒運動するときのみ着用と段階的に使用頻度を減らしていきます。筋力が改善した場合3か月での装具固定オフを目指します。
 

当院の膝関節担当医

当院では綿貫誠医師(院長)、清水勇樹医師が膝関節の手術を行っております。

綿貫誠医師の外来は、月曜日、水曜日午後、木曜日午後、金曜日午前です。
詳細はこちらをご参照ください。
→ 綿貫誠医師



清水勇樹医師の外来は、月曜日午前です。
詳細はこちらをご参照ください。
→ 清水勇樹医師


Ver.2 2018.2.28