膝半月板縫合/切除

2020/08/05

膝半月板縫合術/切除術後のリハビリテーションを紹介します。

Phase1【術後早期】
目的:関節の保護、可動域の獲得
目標:患部の腫れ消失、phase1のエクササイズで疼痛なし
リハビリの内容:
手術直後は患部の炎症が強く、また下肢の循環が悪くなっています。そのためアイシングによる炎症の鎮静化と足関節運動による下肢の循環改善を目指します。また膝関節の炎症や筋肉の緊張により、膝関節を動かしづらくなることがあります。リハビリでは膝関節の動きを阻害する筋肉や皮膚その他の組織の改善を図っていきます。炎症が収まってきたら疼痛に応じて徐々に荷重をかけて正常歩行の獲得を行います。また膝関節の可動域を拡大していくエクササイズを行っていきます。半月板を切除した場合と縫合した場合では荷重と可動域拡大のスケジュールに差があります。半月板縫合術を行った場合は、縫合部に負担をかけないようにするために切除術よりもスケジュールが緩やかになります。
筋力強化は膝関節に限らず股関節、体幹なども行っていきます。

半月板切除術
【荷重】疼痛と腫脹に応じて1/3部分荷重より開始し全荷重まで
【可動域】手術後1週目:0~120°、3週目以降:制限なし(健側の角度目指す)

半月板縫合術
【荷重】手術後0~3週目:免荷、4~5週目:1/2部分荷重、6週目~:全荷重
【可動域】手術後1週:装具で固定、2週目:0~90°まで、3週目:0~120°まで、4週目以降:制限なし(健側の角度目指す)

パンピング
目的:下肢の血液循環の改善


パテラ モビライゼーション
膝蓋骨 モビライゼーション
術創部 モビライゼーション
膝蓋下脂肪体 モビライゼーション
膝蓋上嚢 モビライゼーション
ヒールスライド(長座位:自動介助)

ヒールスライド(座位:自動)
目的:膝の可動域の獲得


Phase2【術後中期】
目的:筋力強化
目標:phase2エクササイズで疼痛無し、動作において患部に負荷のかからない正しいアライメントの獲得
リハビリの内容:
可動域を獲得し体重をかけないエクササイズが問題なく出来るようになったら、荷重をかけた状態での筋力トレーニングを開始していきます。正しいフォームで行えることが重要です。またバランス能力が要求されるエクササイズを通して、全身の協調性向上を目指します。

横脚挙げ運動(ヒップアブダクション)
目的:股関節周囲筋(股関節外転筋)および体幹の筋力強化


うつ伏せお尻上げ運動(股関節伸展)
目的:股関節周囲筋(股関節伸転筋)の筋力強化


プランク
目的:体幹および太ももの前(大腿四頭筋)の筋力強化


レッグ エクステンション
目的:太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)の筋力強化


レッグカール(アイソメ)
目的:太ももの裏(ハムストリングス)の筋力強化


レッグカール(チューブ)
目的:太ももの裏(ハムストリングス)の筋力強化


クロストレーナー

スクワット(膝屈曲45°から徐々に)
目的:お尻(臀筋群)および太ももの前(大腿四頭筋)、太ももの裏ハムストリングスの筋力強化


ニーベントウォーク

ランジ(前方)
目的:お尻(臀筋群)および太ももの前(大腿四頭筋)、ハムストリングスの筋力強化


ランジ(サイド)
目的:お尻(臀筋群)および太ももの前(大腿四頭筋)、ハムストリングスの筋力強化


片脚立位
目的:バランス能力の獲得


Yバランス
目的:バランス能力の強化


星型バランス(SEBT)
目的:バランス能力の強化


不安定版を用いたバランス訓練

Phase3【術後後期】
目的:競技復帰に向けたトレーニング
目標:phase3エクササイズで疼痛無し、動作において患部に負荷のかからない正しいアライメントの獲得
リハビリの内容:
スポーツに必要とされる基本的な動作を通して膝関節への負荷を増加させ、更なる筋力の回復および全身の協調性向上を目指します。

サイドステップ

ラダー

ツイスティング
目的:協調性トレーニング


スクワットジャンプ

前方ジャンプ

後方ジャンプ

前後ジャンプ

クロスホップ

ランニングジャンプ

回転ジャンプ(半回転、一回転)