肩関節唇修復術後

2020/07/30

肩関節唇損傷に対する肩関節唇修復術後のリハビリテーションを紹介しています。

術後プロトコル。数字の0〜18は週の単位で、18週間までのプロトコルです。
Bankart Repair




Bankart Repair + Bristow


Phase1【術後早期】
目的:組織の回復、血液循環の改善
目標:夜間痛の消失、安静時痛の消失
リハビリの内容:
手術後は炎症が発生し、疼痛のため安静にすることで血液循環が悪くなります。また手術による修復部位を保護するための装具を装着することにより血流は更に悪くなります。手術後3週間は炎症を抑えつつ、血液循環や姿勢の改善など患部への負担が軽減するように患部以外(手首、肘、肩甲骨、体幹)のプログラムを実施していきます。
Bristow法による修復を行った場合は、肘の自動運動も3週間は制限します。

肩関節周囲筋リラクゼーション

肘関節屈伸運動
(Bristow法による修復を行った場合はPhase2より開始)


肩甲骨の運動


脊柱の運動


等尺性トレーニング(外転)


等尺性トレーニング(内転)


等尺性トレーニング(外旋)


等尺性トレーニング(内旋)


Phase2【術後中期】
目的:肩関節の可動域の拡大
目標:夜間痛、安静時痛の消失
リハビリの内容:術後4週目からは少しづつ肩の可動範囲を拡大していきます。痛みや装具固定期間のために代償運動が発生しやすい時期なので、正しい姿勢で肩関節-肩甲帯-体幹が協調した形で肩を動かせるようになることを目指します。
修復した関節唇の強度が回復してくる約8週間まで継続していきます。
Bristow法による修復を行った場合は修復部位の治癒を妨げないために、スケジュールを遅らせて進めていきます。

Bristow法の可動域スケジュール
4週目~:自動屈曲運動(90°まで)、他動外旋運動(下垂位外旋は30°まで、外転位外旋は60°まで)
6週目~:自動屈曲運動(制限なし)、自動外旋運動(下垂位外旋は30°まで、外転位外旋は60°まで)、水平外転開始
8週目~:全可動域方向制限なし

 stoopimg(ストーピング)


ペンデュラム


脇締め運動


テーブルスライド


腱板トレーニング(棘上筋1)


腱板トレーニング(肩甲下筋1)


腱板トレーニング(棘下筋1)



Phase3【術後中期】
目的:肩関節の可動域の更なる拡大と筋力の獲得
目標:日常生活動作での疼痛なし、上肢による荷重時痛なし
リハビリの内容:術後9週目からは修復した関節唇の強度も回復してくることから、肩の可動域を拡大するためにストレッチを行ったり、上肢を挙げた状態での筋力強化を行います。また手や肘を床に着けた状態で体重を支えるようなプログラムを行っていきます。

腱板強化(棘下筋2)


腱板強化(肩甲下筋2)


YTW


プランク1(四つ這い)


三角筋強化


壁押し


Y字(弱)


Y字(中)


Y字(強)


Phase4【術後後期】
目的:肩関節の可動域と筋力の獲得
目標:動作時痛の消失、可動域の健側比80%以上
リハビリの内容:各運動方向の最終可動域の痛みを改善するためのアプローチと、肩関節周囲筋の更なる筋力強化、肩関節-肩甲帯-体幹の協調性の回復を目指したプログラムを行っていきます。

プランクプッシュアップ(腕立て肘伏せ)


プランク2(腕立て伏せ)


プランク3(上肢リーチ)


Phase5【スポーツ復帰期】
目的:スポーツ活動に必要な肩関節の可動域と筋力の獲得
目標:可動域の健側比90%以上、筋力の健側比80%以上
リハビリ内容:患者様の取り組んでいるスポーツに必要な特別な動作のトレーニングや、実行に必要な筋力トレーニングを行います。