股関節棚形成術後

2020/07/31

股関節唇損傷に対する関節鏡視下棚形成術後のリハビリテーションを紹介します。

 Phase1【術後早期】
目的:関節の保護と可動性
目標:Phase1の運動で疼痛なし、股関節可動域が健側の85%以上、全荷重歩行が可能
リハビリの内容:
手術後3週間は股関節を保護するための装具を装着して修復部位の治癒を妨げないように保護します。この期間には炎症を出来るだけ抑えつつ、スケジュールに従って荷重を増やしていき、可動域も同様にスケジュールに従って拡大を図ります。股関節周囲筋の筋力トレーニングも開始し血液循環や筋力の回復を目指します。
【荷重】
術後3週間は無荷重
4週目から1/3部分荷重。以降1週毎に1/3ずつ増加
(スケジュール前倒す場合は主治医に確認)
【可動域】
屈曲:術後3週間は0~90°、4週目~は制限なし
伸展:術後6週間は0°(腹臥位は可、四つ這い位での伸展は禁止)、7週目~は制限なし
外旋:術後3週間は0°、4週目~制限なし
内旋:制限なし
外転:術後6週間は0~40°、7週目~は制限なし
内転:術後2週間は0°、3週目~は制限なし


アンクルポンプ
目的:下肢の血液循環の改善



仰向け踵寄せ(介助あり)
目的:股関節周囲筋の筋力強化


股関節周囲筋強化(ハムストリングス)うつ伏せ
目的:股関節周囲筋の筋力強化


アイソメトリック(ハムストリングス)座位
目的:太ももの裏(ハムストリングス)の筋力強化


アイソメトリック(内転筋)
目的:股関節内側の筋力強化


アイソメトリック(股関節屈筋)
目的:股関節の付け根(股関節屈曲筋)の筋力強化


お尻上げ(ブリッジング)


うつ伏せ殿筋強化(お尻締め)


うつ伏せ殿筋強化(かかと絞り)


四つ這い殿筋ストレッチ


Phase2【術後中期】
目的:荷重機能の回復
目標:他動可動域が左右対称であり疼痛を伴わない、正常歩行の獲得、股関節屈筋が健側の60%以上、屈筋以外は健側の70%以上
リハビリの内容:股関節の可動性が健側と同じになるように可動域拡大のためのエクササイズを行います。また股関節だけでなく体幹の可動性や協調性を改善させるための筋力および可動性のエクササイズを追加して行っていきます。

丸椅子回旋運動


仰向け股関節屈曲運動(かかと寄せ)


仰向け股関節屈曲運動


仰向け股関節屈曲運動(テーブルトップ)


仰向け股関節屈曲訓練(マーチング)


立位での外転運動


横向きでの殿筋強化1


横向きでの殿筋強化2(ローズウォールスライド)


横向きでの殿筋強化3(壁押し)


Quadruped Rocking

鳥と犬


股関節ストレッチ(内転筋)


プランク


他動可動域訓練

Phase3【術後後期】
目的:筋力・持久力の回復
目標:痛みのない左右対称の可動域、股関節屈筋が健側比85%以上、全ての動作において体幹のコントロールを保つことが可能
リハビリの内容:全身の運動を伴うエクササイズを通して、体幹や骨盤が固定された状態で股関節を動かすことができるようにしていきます。また股関節周辺関節が正常なアライメントで動作できることを目指します。

Single Leg Closed Cain Progression  Balance Squats
Lateral Step Downs, Lunge
Single 1/3 Knee Bends
Slide to Side lateral movement
Forward Box Lunge

Phaes4【スポーツ復帰期】
目的:各々の競技復帰へ向けた動作の獲得
目標:動作中の下肢関節の正常なアライメントの獲得、Phase4のエクササイズにおける疼痛なし
リハビリの内容:
競技に必要とされる機能の獲得を目指した動的なエクササイズを実施していきます。その競技特有の動作の中で問題点がみつかれば、その問題点を解決するためのトレーニングを行っていきます。

Functional Sports Test
Multi-Place Agility
Plyometrics
Sports Specific Drills