鏡視下Bankart修復術(肩関節脱臼に対する手術)

肩関節は関節の中で最も可動性が大きい関節であると同時に、最も脱臼しやすい関節です。
原因に、転倒や転落、スポーツの接触プレーといった外傷による脱臼が多いです。
初めて脱臼した時の年齢が低いほど、再脱臼しやすいとされています。

こちらもご一読下さい(肩関節脱臼)

手術適応

肩関節を安定化させる組織(主に関節包や関節唇、靭帯)が脱臼時に損傷します。
一度損傷すると、保存療法を行っても肩関節の脱臼を反復し、不安感を訴える場合が多いです。
そのため完全に修復するには手術療法が選択されます。
肩の専門外来はこちらから
 

〈関節鏡視下Bankart(バンカート)修復術〉

◆Bankart(バンカート)損傷とは
肩関節の脱臼時に、肩関節の安定化をさせる組織(関節包や関節唇、関節包靭帯複合体)の損傷、関節窩の骨折を含めてBankart損傷と呼びます。
一度損傷すると肩関節の安定性が大幅に低下し、再脱臼を引き起こします。
 

手術方法

損傷した関節包や関節唇の修復を行います。
関節鏡視下で手術を行うため、肩関節の前方・後方に約1cmの穴を開けます。
そこに小さなカメラを挿入し、受け皿である関節窩やその周囲にある関節唇の状態を観察します。



損傷した関節唇に対して、一度関節窩から関節唇を引き離す作業を行います。
その際に関節窩に対して溝を作成し、固定用にアンカーを埋め込み、そこから出る糸を利用して関節窩と関節唇を結び、補強する手術を関節鏡視下Bankart修復術と呼びます。 

 

関節鏡視下Bristow(ブリストー)法(烏口突起移行術)

手術適応は、受け皿である関節窩の骨欠損率の低下やアメフトやラグビーなどのコンタクトスポーツを行い手術を希望する方です。
 

手術方法

肩甲骨の一部である烏口突起の先端を付着している筋・腱ごと切り取ります。
肩関節の前方に位置する肩甲下筋に対して繊維方向に切開します。
切開した部分に剥離した烏口突起の先端を関節窩前方に位置させスクリューを用いて固定します。
烏口突起に付着している筋・腱・肩甲下筋があることでより前方への制動効果を得ることができます。
上記の手術を関節鏡視下Bristow(ブリストー)法(烏口突起移行術)と呼びます。
 

術後リハビリテーション

リハビリテーションは、関節唇・関包靭帯の破綻している部位や関節窩の骨欠損の有無により、固定期間を含めた治療プログラムの時期が異なります。
術後の装具固定期間は3週間です。
肩関節脱臼の術後リハビリテーションは、以下をご参照下さい。

手術後のリハビリテーションはこちらから
手術後の就寝時ポジショニングはこちらから(動画)
装具(ウルトラスリングⅢ)の着脱方法はこちらから
 

手術までの流れ

◆入院から手術までの手続き 
手術日の決定
医師の診察時にご本人・ご家族の意向で手術が決まります。
手術日が決まりましたら、手術1か月前に執刀医の外来受診をお願いします。

◆術前診察 
手術のオリエンテーション
問診、紹介状の受け取り
術前のリハビリテーションを確認 
 
◆手術前に行うこと
①AR-Ex 尾山台整形外科受診
術前検査(採血、心電図チェック、画像検査など)
入院案内(持ち物の説明、部屋の希望を聴取)
※手術の2週間前までに受診をお願いします。
 
②動態・筋力測定
当院では手術の前に専門機器を使用し、身体機能を客観的に評価します。
術前より計測したデータを参考に術後のリハビリテーションへと繋げます。
スポーツ復帰前には、再度、動態・筋力の計測をして最終評価をさせていただきます。

写真のように筋力測定を行ないます。


 

入院期間、入院費

入院期間:約4日間
①入院費:約20〜26万円(※健康保険証3割負担の方の場合)
※手術・入院費用については、退院後の銀行振込となります。
※上記費用一覧はあくまでも概算であり、治療内容による金額は前後することをご了承下さい。
 
②保証金:入院中3万円をお預かり致します。
※手術入院費用のご請求額から差し引かせて頂きます。
 
③術後装具
肩関節軟性装具
ウルトラスリングⅢ:27,615円
※装具料金は10割の金額を装具会社へ振り込みいただき、後日証明書提出後7割返金されます。
※お振り込みからご返金までに申請を行ってから約2〜3ヶ月を要します。

写真は当院で使用しているウルトラスリングⅢです。


◆高額医療費
手術が決まった時点で加入の医療保険(社保・国保など)へ事前手続きをしていただくことで入院中(もしくは退院時)の支払い金額が高額医療の限度額までで、超過分の支払いをしなくても良いという制度があります。
手術・入院にかかる費用の内訳は術前説明の際にお知らせ致します。
詳しくはご加入の健康保険窓口へお問い合わせください。

手術までの流れ・入院期間・入院費はこちらから

当法人の専門医


専門医の紹介: 平田正純医師
外来担当日 :毎週月曜午後、水曜午前


 
平田医師は、当法人における肩関節治療の専門家の1人です。運動器(骨・関節・靭帯・腱・筋肉)超音波診療に優れており、超音波ガイド下注射による肩石灰性腱炎に対する治療も行っております。また、機能診断を重視し、リハビリテーションによる保存療法を積極的に取り入れています。手術が必要な場合には、関節鏡を用いた最少侵襲手術を行います。従来では修復不可能であった腱板広範囲断裂に対して、新しい手術方法を適応しています。長年肩の痛みでお困りの方、そこには機能的な問題があるかもしれません。
一度専門医を受診されてはいかがでしょう。

 

よくある質問

Q1:術後の痛みはいつ治るの?
A:手術後約3週間は炎症期で痛みと腫れが出現している状態です。
その後、徐々に痛みと腫れが軽減していきます。
しかし、術後3週以降は装具を外す時期であり、痛みや腫れが再燃する可能性があるため日常生活において活動量に注意する必要があります。
 
Q2:術後の日常生活(仕事復帰)はどうなるの?
A:術後装具に関しては3週間装着します。期間中は自分では動かせません。
なので、仕事に関してはその期間中は手術側での作業は行えません。
術後約1〜2ヶ月で更衣動作や入浴動作が可能になります。
術後約3〜4ヶ月では、車の運転など、ほとんどの日常生活動作の制限がなくなります。
仕事に関しては、この期間から力仕事を徐々に初めていく時期となります。

Q3:退院後、リハビリに通う頻度は?
A:退院当初は、痛みや腫れの状況や傷口に感染がないかなどの確認のためにも週2~3回は通っていただきます。その後は患部の状態に合わせて徐々に頻度を減らしていきます。
 
Q4:スポーツ復帰はいつから?
A:術後約6ヶ月の時点でMRI検査や筋力測定を術前と比較して、徐々に各スポーツ動作への復帰を行なっていきます。
 

肩関節
理学療法士
三浦 みうら 修平 しゅうへい
関節: 肩関節   スポーツ: ゴルフ  
理学療法士
かん あきら
関節: 肩関節   スポーツ: バトミントン  


Ver.1 2018.3.31
 
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