前十字靱帯付着部脛骨顆間隆起骨折の手術
膝の前十字靱帯が付着している脛骨の顆間隆起と呼ばれる部位で骨折を受傷されました。前十字靱帯自体の断裂はありませんでしたが、靱帯が付着している骨が剥がれたため、前十字靱帯断裂と同様の膝の不安定性や痛みが生じる状態でした。今回の手術では、剥がれた脛骨顆間隆起骨折を整復固定し、前十字靱帯の緊張を再度獲得することで膝の機能を回復させることを目的としています。
レントゲン検査(受傷時と手術後)

レントゲン検査(受傷時と手術後)

手術のポイント
受傷時は10歳であり、大人の骨にまだなっておらず、骨が成長する骨端性が残っている状態でした。ワイヤーで固定する場合、骨癒合までにワイヤーが折れないようにするためにはある程度の太さが必要となり、骨癒合後にワイヤーを抜くために再度入院する必要があるため、リハビリ回復期に安静にする時期が生じる可能性がありました。そのため、小径の孔で骨癒合までの骨の固定強度を充分に期待できる人工靱帯を使用して整復固定を行いました。
この手術方法のメリット
・骨端線の閉鎖リスクを減らせる
・ワイヤーの折損リスクがないため、術後早期に膝関節の可動域訓練が可能で復帰が早い
・復帰までの期間に抜釘のための入院が必要ない
・骨を固定する強度を充分に担保できる
この記事を書いたスタッフ

医師
久保 貴敬
久保 貴敬
関節外科、スポーツ整形外科が専門です。股関節、肩関節、膝関節に力を入れています。超音波検査(エコー)を用いて、痛みや炎症部位を特定した注射処置など、より効果的な治療を目指しています。自らのスポーツ経験を活かし、早期復帰を目標に患者様と一緒に快方に向かうよう治療にあたるよう心掛けております。AR-Ex尾山台整形外科では、関節鏡手術を行っています。より良い診断、治療を提供できるよう日々精進しております。股関節、肩関節、膝関節を中心にお悩みの方は是非ご相談ください。