前十字靭靭帯 ACL

Arthroscopic Surgery

サッカーの前十字靭帯手術後のリハビリ

アスレティックリハビリテーション&サッカードリル

サッカードリルは、前十字靭帯再建術を行ったサッカー競技者の方を競技に安全に復帰してもらうために通常のリハビリに合わせて行ってもらうドリルです。サッカー特有の動作を大きく(キック、ドリブル、ヘディング)の3項目に分類してそれぞれの動作をどの時期にどのようなことを行うかを記載しています。

前十字靱帯再建術とキック動作

前十字靭帯(以下ACL)にかかる負荷をキックのように膝を伸ばす動作(非荷重=open kinetic chain)と軸脚(踏み込み)のような動作(荷重=Close kinetic chain)で比較した研究があります。
その結果はキックのように膝を伸ばす動作の方がACLに負担がかかると報告されています。
そのため、手術後早期のキックや安易なキック動作は作り直した靭帯に負担をかけてしまうことから、当院では再建したACLを考慮し、一定の時期まではキック動作を制限し、ある時期から徐々にキック動作を開始していきます。また、先の報告を踏まえて手術をした脚を『軸脚=Close kinetic chain』にしたキック動作からリハビリを進めていきます。
 
軸脚での可能なキック 蹴り脚での可能なキック
4ヶ月 手術をしていない脚でパス(インサイド)から練習開始
ショートパス(5m程度から開始):サイド、インフロント、インステップ
手術していない足(非手術側)でスイング、キック動作練習(ボール使用した基礎練)
5ヶ月 手術をしていない脚でミドルバス(サイド、インフロント、インステップ)練習 ショートパス(5m程度から開始):サイド、インフロント、インステップ
6ヶ月 ロングパス練習 ミドルパス(サイド、インフロント、インステップ)練習
7ヶ月 シュート(サイド、インフロント、インステップ、アウトフロント、ボレー) ロングパス練習

サッカードリル

ヘディング
ヘディングはJump中に頭でボールをはじき、着地する動作です。なおかつ相手との接触もあるため、外傷のリスクが高い動作です。そのため進行するリハビリメニューの中の該当する動作が獲得できたことを確認した上でヘディングの強度を上げていきます。 (例:片脚Jump○→ボールありで片脚Jumpヘディング開始)
ヘディング
4ヶ月 両脚、片脚バランス、長座位、: ジャンプ禁、ラン禁
5ヶ月 両脚着地
6ヶ月 片脚着地○
ドリブル
ドリブルはダッシュやストップ、方向転換(カッティング)動作が要求される動作です。そのため、進行するリハビリメニューの中の該当する動作が獲得できたことを確認した上でドリブルの強度を上げていきます。(例:カッティング動作○→ボールありでカッティングを入れたドリブル開始)
ドリブル
4ヶ月 直線のみ、インステップ・インフロント コントロール
5ヶ月 8の字、ジグザグ
6ヶ月 ターンあり 90→180°
7ヶ月 (クイック・ターン、クイック・シャープターン+パス&ボレー)
→対人ドリブル(約束練習→ランダム)