運動器理学療法アップデート講座

 森ノ宮医療大学主催の「運動器理学療法アップデート講座」が令和3年5月1日(土) ~令和4年2月27日(日)の1年間で開催されました。
AR-Ex尾山台整形外科から丸山洵理学療法士、アレックス脊椎クリニックから保田みはる理学療法士、長野整形外科クリニックから篠塚真充が参加しました。
 
【令和4年2月27日】
最後の講座がWEBで開催され、とても興味深い内容で充実した一日になりました。「膝関節機能における理学療法」を森ノ宮医療大学の工藤 慎太郎先生、「運動器診療における医師と理学療法士の連携」をAR-Ex尾山台整形外科兼岩 淳平先生に、「運動器治療の多職種連携」をわだ整形外科クリニックの和田 誠先生ご講演頂きました。
 
「膝関節機能における理学療法」
講師:森ノ宮医療大学 工藤 慎太郎先生
 膝関節の構造の中に半月板というものがあり、内側を内側半月板、外側を外側半月板と言います。半月板は関節面の適合性を高めるクッションの役割があります。半月板が損傷すると膝の引っかかり感や音がしたり、痛みが出ます。半月板は損傷してしまうと自然に元に戻ることはほとんどありません。そこでリハビリテーションでは半月板周囲の組織(筋、脂肪体)にアプローチをすることで半月板への負担を軽減させます。超音波診断装置(エコー)を用いることで、筋や脂肪体の動きが可視化でき、正確にアプローチを行えます。また問題となる筋に対しストレッチや筋肉トレーニングを行い、痛みを軽減させます。

AR-Ex尾山台整形外科 理学療法士 丸山洵
 
「運動器診療における医師と理学療法士の連携」
講師:AR-Ex尾山台整形外科 兼岩 淳平
 最適な治療を提供するためには、医師と理学療法士それぞれのスペシャリティを活かし、密に連携を取る必要があります。
そしてそれを実現するためのキーワードは「相互理解」と「共通言語」です。
互いのスペシャリティを尊重し、共通言語を用いることで円滑なコミュニケーションが可能となります。
 この講義では、当法人の兼岩淳平部長補佐が講師を務め、AR-Ex尾山台整形外科で行われている臼井要介医師による難治性疼痛外来の実例を通して医師と理学療法士の連携の重要性を再確認することができました。
アレックス脊椎クリニック 理学療法士 保田みはる
 
「運動器治療の多職種連携」
講師:わだ整形外科クリニック 和田 誠先生
 多職種連携として医師と理学療法士が互いに協力し合い、より良い医療を提供するには、どのように行っていくのかを講義して頂きました。
 わだ整形外科クリニックでは医師1名、理学療法士5名で日々の診療を行っています。
患者様が初診で来院されると、医師による状態評価として理学療法評価、画像評価を行い、疼痛原因組織は何か、どのような状態かを評価します。リハビリが必要な患者様は理学療法士によるリハビリを行います。リハビリでは疼痛原因組織の再評価と患部への力学的ストレスとして、どうして負担がかかっているのか、なぜ痛くなってしまうのかをさらに詳細に評価します。その上で徒手的介入、または自宅トレーニングを指導します。
 ここまでの流れとして、一般整形外科では当たり前のように行っていることではありますが、わだ整形外科クリニックでは、さらに理学療法士が医師に詳細な状態を報告し、追加処置として注射や内服等が検討され、治療方針がさらに明確化されます。
少しでも症状軽減させるためには、医師と理学療法士による情報共有が不可欠です。また情報共有を行うにあたり、医師と理学療法士が共通認識、共通言語を用いることが必要です。このように患者様の状態把握を詳細に行うのには多職種との連携が必要となり、症状改善への近道となります。
 この講義を受講し、私も理学療法士として情報共有の重要性を再認識することができました。これからの臨床で患者様一人一人により良い医療を提供できるよう、多職種と連携し合い日々症状精進して参ります。
長野整形外科クリニック 理学療法士 篠塚真充