第32回日本臨床スポーツ医学会学術集会 学術発表報告

第32回日本臨床スポーツ医学会学術集会 学術発表報告
 
2021年11月13日~11月14日にWebにて開催された第32回日本臨床スポーツ医学会学術集会において当院理学療法士の片山将が「Functional Biomechanics Garment(機能的なコンプレッションウェア)がバスケットボールの着地・方向転換動作に及ぼす影響-Virtual Reality(VR)を利用して-」、を学術発表いたしました。
 
以下に発表内容とコメントを掲載いたします。

《片山理学療法士》



膝関節前十字靱帯損傷はジャンプ着地動作やカッティング動作の多いスポーツに頻発し、競技復帰には手術が必要となり、復帰には平均8ヶ月程度を要するため予防をすることがとても重要となります。
近年、コンプレッションウェアがスポーツ活動においてよく使用されていますが、前十字靱帯損傷の予防効果は認められていないのが現状です。


今回の研究では当院にも臨床指導に来られている森ノ宮医療大学の工藤慎太郎先生が企業と共同開発した『Functional Biomechanics Garment』いわゆる機能的コンプレッションウェアを使用して前十字靱帯損傷を起こしやすいとされる膝が内側へ入ってしまう所謂、Knee in- Toe out(ニーイントゥアウト)の姿勢を予防できるのではないかと考えました。

機能的コンプレッションウェアには下肢の生体力学を基にして筋の走行に沿って2種類の異なる素材のテーピングを設置しています。これらのテーピング機構が関節の動きを制動・アシストする役割を持ちます。機能的コンプレッションウェアの効果を本研究ではVRを用いることで実際のバスケットボールの競技場面に近い状況を再現した動作で比較しました。
その結果、機能的コンプレッションウェアを装着することでKnee in-Toe outの姿勢を制動することが可能でありました。
本研究結果は、前十字靱帯損傷のリスクが高い姿勢を減らす可能性があるため、前十字靱帯損傷を予防することに役立つ情報と考えております。
この研究を基に最善のリハビリテーションを提供できるよう精進してまいります。