第27回日本腰痛学会 理学療法士 安部 翔
令和1年9月13日・14日に、神戸国際会議場で行われた「第27回日本腰痛学会」に参加してきました。
今学会では、腰痛に対しての病態、脊椎内視鏡手術、小児からプロアスリート、高齢者、骨粗鬆症、サルコペニアまでの様々な腰痛の研究報告がある学会でした。
その中でも腰痛における超音波ガイド下ハイドロリリースを学びましたので、報告致します。
当院でも力を入れている「ハイドロリリース」とはエコーを用いてFasciaと呼ばれる筋や神経などの膜に対して生理食塩水を注射し、組織の補水やリリースを行う手技のことです。
昨今では「筋膜リリース注射」と呼ばれ肩こりなどに多く用いられています。
腰痛を罹患している患者さんは、レントゲン画像やMRIなどの画像診断において異常が見つかっても必ずしもそれが症状と一致しない事が多々あります。そのため、一般的な保存療法の第一選択は内服治療が多いというのが現実です。
しかし、服薬効果は全身の除痛のため、局所の組織が本当に治癒できているかどうかの確認ができず根本的な治療は出来ません。
ところが今学会の報告では末梢神経が痛み及び痺れに関与していることから、腰痛患者の機能低下が生じている末梢神経に対してハイドロリリースを行うことで、即時的に痛みや痺れが緩解するということが報告されていました。
今学会において末梢神経の滑走性を評価することがとても重要であると学びました。
それと同時に各末梢神経や動静脈の走行といった解剖の基礎知識をより身につけなければならないと痛感いたしました。
我々、理学療法士は医師と違い注射を打つことはできませんが、ただやみくもに腰部ストレスを減弱させるために体幹筋強化や下肢ストレッチを行うのではなく、痛みを出現させている組織は何なのかしっかりと判別を行い、リハビリテーションを実施していきたいと思います。
患者さんに最良のリハビリテーションを提供するため、今後も研鑽を継続してまいります。