Femoroacetabular Impingement
大腿骨寛骨臼インピンジメント

Femoroacetabular impingement (FAI)とは

・股関節と骨盤の解剖学的な骨形態異常により、大腿骨近位部と骨盤(主に寛骨臼)が異常に接触することでおこる病態。[Ganz 2003 CORR]
・この異常接触によって、結果的に関節唇損傷、軟骨損傷が引きおこり、変形性股関節症へと進行することもある。

股関節唇の役割

  1. Sealing
  2. Suction
  3. Stabilization
  4. Shock Absorber

FAIは変形性股関節症の前駆病態

FAI原因別分類

FAI mechanism

Cam変形により生じる軟骨損傷は寛骨臼側 / 辺縁から内側へ

Cam病変が大きいと変形性股関節症のリスクが10倍
寛骨臼形成不全だとリスクは4
Agricola 2013

FAI(狭義)の診断指針

FAI(狭義):明らかな股関節疾患に続発する骨形態異常を除いた大腿骨寛骨臼間のインピンジメント

画像所見

●Pincer typeのインピンジメントを示唆する所見
①CE角40°以上
②CE角30°以上かつacetabular roof obliquity 0°以下
③CE角25°以上かつcross-over sign陽性
·正確なX線正面像による評価を要する.特にcross-over signは偽陽性が生じやすいことから,③の場合においてはCT·MRIで寛骨臼の後方開きの存在を確認することを推奨する.
●Cam typeのインピンジメントを示唆する所見
CE角25°以上
主項目:α-angle(55°以上)
副項目:Head-neck offset ratio(0.14未満),pistol grip変形,herniation pit
(主項目を含む2項目以上の所見を要する)
·X線,CT,MRIのいずれによる評価も可

身体所見

●前方インピンジメントテスト陽性(股関節屈曲·内旋位での痙痛の誘発を評価)
●股関節屈曲内旋角度の低下(股関節90°屈曲位にて内旋角度の健側との差を比較)

診断の目安

上記の画像所見を満たし,臨床症状(股関節痛)を有する症例を臨床的にFAIと判断する
①前方インピンジメントテスト陽性(股関節屈曲・内旋位での疼痛誘発を評価)
②股関節屈曲内旋角度の低下(股関節90°屈曲位にて内旋角度の健側との差を比較)

超音波ガイド下関節内ブロック

関節内注射のみ
1% カルボカイン  5ml
デカドロン  1.65mg
25Gの針
ドプラーで血管の位置を確認しておく

FAI患者のマネージメント アルゴリズム

FAI手術の流れ


Postoperative rehabilitation 術後リハビリ