スポーツ別 症例紹介
日本体育大学 準硬式野球部 症例情報1
準硬式野球部
準硬式野球とは準硬式球という独自のボールを使用して行われる野球競技です。準硬式も硬式も中身は一緒ですが、硬式球は外側が革で包まれているのに対して準硬式球はゴム製のカバーで包まれています。硬式球よりも準硬式球の方が投手の球速は出にくく、変化球はかかりやすい(曲がりやすい)また打者については飛距離がやや出づらいことが特徴です。ルールは硬式野球・準硬式野球・軟式野球で基本的に変わりなく、高校まで硬式野球をやっていた選手が大学では準硬式野球部に所属することも多くあります。準硬式野球部がある大学は連盟加盟大学で約270校(2023年時点)あり、プレーヤ数も10,000人を超えます。最近では準硬式野球部からドラフト指名されプロ野球界の門をたたく選手も少数ですが存在するため、全国各地でレベルの高い試合が繰り広げられています。症例紹介
年齢:19歳性別:男性
診断名:右肩関節脱臼
ポジション:投手
投球側:右
主訴:投球動作時(※MER~アクセラレーション)の脱臼不安感
※投球中のトップポジションからリリース(ボールを投げる瞬間)までの間
現病歴
2024年4月18日 新入生歓迎会のバレーボールの際に亜脱臼。その後、2回サーブを打った時に脱臼した。
その後、日体大キュアセンターで整復。
4月19日 日体大クリニック林医師外来受診し、現状精査のためAR-Ex尾山台整形外科 肩関節専門医へ紹介受診。
4月20日 AR-Ex尾山台整形外科 木崎医師受診。レントゲン撮影・CT撮像実施。
理学所見および画像所見より右肩関節脱臼と診断。
4月27日 右肩関節唇損傷疑いでMRI撮像。右肩前方関節唇損傷を認めた。
再脱臼予防のため日体大クリニックでリハビリを開始。
9月某日 6か月リハビリを継続し4割程度でキャッチボールまで可能になったが、それ以上の負荷で投球中の脱臼不安感が残存。
10月18日 木崎医師受診し、理学所見および画像所見により手術適応と判断。本人から投手復帰希望もあり手術が決定。
11月某日 手術予定
画像所見
レントゲン所見:Hill sachs lesion+CT画像所見:Hill sachs lesion+
MRI画像所見:前方関節唇損傷+ Hill sachs lesion+
競技復帰までの流れ
術後3週:Sling固定術後9カ月:投球完全復帰
最後に
今回は投手復帰を希望する右肩関節脱臼後の選手を紹介しました。現在は手術も終了し、競技復帰また投手としての復帰に向けてリハビリ加療中です。
今後は修復した組織の状態と運動負荷の設定を選手・医師・理学療法士で密に確認しながら、来年のリーグ戦での投手復帰を目標に着実に進んでいきます。