AR-Exでは一人一人の選手が持つバックグラウンドに合わせた最適化された保存・手術治療の選択を行っています。手術では確かな技術をもとに1mmにこだわった鏡視下前十字靭帯再建術を行っています。

鏡視下前十字靭帯再建術の手術方法を決める上で下記の点にこだわり手術をしています。

  1. 全身性の関節弛緩性
  2. 競技特性による再建グラフト選択
  3. Outsideーinによる解剖学的位置への骨孔作成

当院で行っている体操競技選手を例にとってご説明致します。

全身性の関節弛緩性

体操競技選手は膝が柔らかい選手が多いです。反張膝といって反り返るほど伸展方向に極端に伸びる選手もいます。膝が硬い選手と柔らかい選手で比べると手術してスポーツに復帰後にもう一回前十字靭帯を損傷してしまう傾向が膝が柔らかい選手に多いという報告もあります。そのため、グラフト(前十字靭帯を再建するために使う腱)をどこから持ってくるのかを考えることが重要になります。また、体操競技に復帰する時に手術していない反対の膝と左右差がないくらい膝が伸びきることも重要になります。

競技特性による再建グラフト選択

体操競技選手は宙返り・ひねり動作から着地を行います。前十字靭帯損傷はその着地動作の中で起こってしまいます。そのため、体操競技復帰時に着地に耐えることができる膝を作ることが重要です。その上で膝は硬いのか柔らかいのか、得意種目は何なのか、競技レベル・復帰時期はいつなのかなどを考慮してどこのグラフトを使用するのか、それは健側、患側から使用するのかを決定します。

Outsideーinによる解剖学的位置への骨孔作成

前十字靭帯は大腿骨外側顆内側から起始し,脛骨顆間窩隆起前方から中央に停止します。前十字靭帯がもともとあった位置に再建できるかが重要になります。もともと前十字靭帯があった位置からズレてしまうと膝の不安定性が増大してしまうという報告もあり、AR-ExではOutsideーinによる解剖学的位置への骨孔作成を行っています。

この記事を書いたスタッフ
医師
林 英俊
これまで野球や体操などのチームドクターを務め、さまざまな競技のトップアスリートの治療に関わってきました。この経験を患者さんのために活かしていきます。
ACL(膝前十字靭帯)を中心に、関節鏡を使った内視鏡手術が専門です。手術経験は今まで5000例以上、現在でも年間約100例行っています。競技特性、性別や身体特性を充分に考慮し、なるべく手術をしない保存治療を日々模索しています。