体外衝撃波治療の効果のある足底・足関節の痛み
足底・足関節の痛みに対する体外衝撃波治療の有効性は多く報告されています。
体外衝撃波治療の効果のある足底の痛み

体外衝撃波治療の効果のある足底の痛みで代表的なものは「足底腱膜炎」です。
足底腱膜炎は、10人に1人が生涯中に罹患するとされ、仕事やスポーツなど長時間の歩行や立位で足の裏に負担がかかり炎症となります。
この疾患は体外衝撃波治療の良い適応症として良好な治療成績が多く報告されています。
足底腱膜炎

①足底腱膜(実質部)
足の指の付け根から踵(かかと)に伸びる腱の膜状な組織
②足底腱膜(踵骨付着部)
足底腱膜と踵を結ぶ部分
③踵骨
かかとの骨
④踵骨下脂肪体
踵に下に存在する柔らかい組織
「足底腱膜炎」という同じ診断名でも痛い原因は人によって異なります。
①足底腱膜は、足が体重を支えている時に張力を受ける組織として機能することで足のアーチの支持に関係しています。また足趾(足のゆび)を反らすと足底腱膜が緊張するため、歩行時の推進力としても機能します。つまり体重がかかった際の衝撃吸収の役目や歩行時に機能が発揮されているため、スポーツにおける長時間走行や仕事における長時間立位などで②付着部が炎症になります。
④踵骨下脂肪体はかかとの骨の下にある脂肪組織で衝撃吸収のクッションの役割をしています。足底腱膜やアキレス腱と連結しており、それらの硬さによって緊張されると、正常な圧縮反応が働かず、衝撃吸収ができなくなります。
上記の構造で衝撃吸収がうまく果たされないと、③踵骨自体が炎症し痛みを生じる病態にまで至ることもあります。
なぜ足底腱膜炎に効果があるの?
当院では、診察時にレントゲンと超音波検査、MRI等を用いて痛みの原因組織を特定し、それらに合った適切な治療を提案しています。足底腱膜炎では超音波で足底腱膜の肥厚やMRIで足底腱膜・脂肪体・踵骨の信号変化などを確認し、診断しています。これら画像所見の異常は変性(微細損傷)が起こっていることを示しており、また異常な神経線維の増殖によって痛みに対して過敏になっていることも考えられます。それらに対する有効性が報告されています。①短期的な除痛効果
痛みを誘発している異常な神経終末部の変性・破壊と疼痛伝達物質を減少させる
②長期的な組織再生
新たな血管新生・成長因子の産生による組織修復が促進される
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症例提示
62歳・女性・趣味は週末のゴルフやジムでの筋トレ2023年6月頃から発症
インソールの作成とリハビリを行い痛みは軽減してきていたが、趣味の再開とともに痛みが再発したため、MRI検査を実施。
画像所見から体外衝撃波の適応症例と考え、本人の希望もあり施行しました。

踵に骨棘(骨のでっぱり)を認めます。この骨棘自体が痛みの原因ではないと多く報告されていますが、足底腱膜の硬さを判断する指標のひとつです。

足底腱膜の肥厚を認めます。

足底腱膜・踵骨骨髄(⇩)・脂肪体(⇧)が白くなっています。これが変性部です。
下に治療中の疼痛推移を示します。
体外衝撃波は3回施行し、漸減的に疼痛が軽減していきました。
制限なく趣味活動に復帰できたため通院終了となりました。

縦軸:痛みの強さ 最も痛い:100 痛くない:0
横軸:時間軸
体外衝撃波治療の効果のある足関節の痛み
アキレス腱炎

「腱」と呼ばれる組織は全身のいたるところに存在しています。筋肉は骨と骨に付着することで関節の運動を可能にしていますが、「腱」は、この筋肉と骨を繋いでいる組織です。
特に「アキレス腱」は人体の中でも大きな腱であり、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋と踵の骨を繋いでます。このアキレス腱に負担が生じ、腱に痛みが出る疾患が「アキレス腱炎」です。アキレス腱炎になる危険因子としては、下腿三頭筋の柔軟性低下、足のアライメント不良(例:扁平足)、運動による使いすぎ、肥満などがあり、若年者から中高齢の方まで幅広い年齢層で痛くなるの可能性がある疾患です。
アキレス腱炎に対する治療は薬やリハビリ、テーピングなども用いた保存療法が第一選択となります。
なぜアキレス腱炎に効果があるの?
しかし、従来の保存療法だけでは、満足のいく治療効果が得られない場合もあります。その理由としては、アキレス腱はそもそも栄養が供給される血管が少なく、一度傷つくと回復しにくいという特徴があるためです。しかし近年では、腱障害に対する体外衝撃波の有効性が示されてきており、難治性のアキレス腱炎に対しても高い治療効果が望めるという報告も多くされています。
体外衝撃波の効果としては、痛みを引き起こす異常な神経(自由神経終末)の除去や、腱の回復を促す因子を促進させるという効果が期待されています。
症例提示
【性別】男性 【年齢】30歳代2018年頃から痛みが出現。職業は立ち仕事、趣味でフットサルを行なっており、足に負荷をかけていた。
複数の他院でリハビリ・内服等実施も軽減なく、2024年6月当院受診。経過が長いため現状精査のためMRI検査実施。
画像所見から体外衝撃波の適応と考え、本人希望もあり施行しました。


アキレス腱の踵骨付着部に骨棘形成が確認できます(左図:患側 右図:健側)

MRI:アキレス腱の踵骨付着部・踵骨骨棘部が白くなっており、変性を認めます
【疼痛推移】
下に治療中の疼痛推移を示します。
体外衝撃波は3回施行し、漸減的に疼痛が軽減していきました。
制限なく趣味のフットサルに復帰できたため通院終了となりました。

縦軸:痛みの強さ 最も痛い:100 痛くない
横軸:時間軸
中足骨骨折(疲労骨折)
足関節を内向きに捻ることで起きる骨折や、ランニングやジャンプ動作による過度な体重負荷が長時間繰り返し中足骨に加わることで起こる疲労骨折があります。

第5中足骨近位部骨折が代表的で
①基部剥離骨折②Jones骨折③近位骨幹部骨折に分類される。
なぜ中足骨骨折に効果があるの?
当院では、診察時にレントゲンと超音波検査、MRI等を用いて痛みの原因組織を特定し、それらに合った適切な治療を提案しています。中足骨骨折ではXPで骨折線やMRIで中足骨の信号変化などを確認し、診断しています。これら画像所見の異常は変性(微細損傷)が起こっていることを示しており、また異常な神経線維の増殖によって痛みに対して過敏になっていることも考えられます。それらに対する有効性が報告されています。
①短期的な除痛効果
痛みを誘発している異常な神経終末部の変性・破壊と疼痛伝達物質を減少させる
②長期的な組織再生
新たな血管新生・成長因子の産生による組織修復が促進される
症例提示
20代女性。日常生活にて足関節を何度か繰り返し、第5中足骨外側部に疼痛が出現し、当院受診。リハビリ加療していましたが、日常生活負荷が高くなり症状悪化。XP画像より骨折線の鮮明化を認め、治癒促進目的で体外衝撃波を開始しました。

XP:ジョーンズ骨折Stage2 硬化型
骨折線明瞭化

MRI:骨端部に一致して高信号+
下記は治療中の疼痛の推移を示します。
体外衝撃波を6回施行し、疼痛が減少していきました。
制限なく日常生活動作をできるようになったため通院終了となりました。

縦軸 痛みの強さ 最も痛い:100 痛くない:0
横軸 施行回数
かかった費用
初診時:初診料=約3000円MRI費用=約6000円
体外衝撃波予約料=10,000円(税抜)×実施回数
集束型体外衝撃波治療=5000円(税抜)×実施回数
*その他処方箋、インソール、サポーター、リハビリの代金などがかかる場合があります。