体外衝撃波治療
体外衝撃波とは
ヨーロッパで1980年代に腎臓結石や尿管結石の治療に用いられ人体において初めて治療されました。
その後整形外科領域で骨への効果の研究が始まった。骨折遷延癒合と偽関節への研究が始まり有効性が認知された。
1990年代初期に石灰沈着性腱炎や外側上顆炎(テニス肘・ゴルフ肘)、足底腱膜炎の治療に成功しました。
近年、日本においても厚生労働省の認可がおり臨床で用いることが可能となりました。
体外衝撃波の効果
除痛作用
照射直後より自由神経終末(痛みを感じる受容器)の破壊と変性が起こり、その後数週間で徐々に再生が始まります。
自由神経終末を一定期間変性させることにより、局所の痛みが軽減すると考えられています。それを複数回治療を行うことにより
自由神経終末の再生がさらに抑制され、より除痛の効果が継続すると考えられます。また、もう1つの除痛のメカニズムとして
衝撃波照射により下行性抑制系の賦活化(脳で痛みを感じそれが脊髄後角に下行し痛みの伝達を遮断するシステム)により
エンドルフィン(脳内で機能する神経伝達物質)や他の除痛メディエーター(仲介人)が放出され除痛が期待できます。
組織再生
体外衝撃波は血管新生(既存の血管から新しい血管の枝を構築すること)を促し、transforming growth factor-β1(TGF-β1)*1や
insulin-like growth factors(IGF)*2の産生が亢進します。これらの作用により変性した腱の再生をもたらし、長期的な除痛が得られます。
*1 TGF-β1:生体の恒常性を維持する重要なサイトカイン(炎症の重要な調節因子)の1つで生命維持に関与する重要な因子
*2 IGF:インスリン様成長因子と言われており、一生にわたって重要な役割を果たす成長ホルモンのこと
タンパク質の合成促進
腱への照射によりコラーゲン産生の亢進やglycosaminoglycan(GAG)*1やタンパク質の産生亢進が生じ組織再生が促進されます。
*1組織を柔軟にしたり水分を保持させて潤わせる働き
血管新生作用
この作用は血流の増加を認め組織再生のサポートしていく作用
現在、骨壊死や糖尿病性壊疽、皮膚移植後の創治癒不全、狭心症の治療にも応用されています。
神経保護作用
衝撃波照射により神経軸索へのダメージを減弱させる作用があります。
骨に対する効果
骨折後の偽関節に対する有効性が報告されており照射により骨癒合を促進する作用があります。
体外衝撃波を骨に照射することにより皮質骨のmicro fractureや骨膜下出血が引き起こされ、癒合が促進されます。
*小児の骨端線への照射は早期閉鎖の危険性があるため禁忌とされています。
体外衝撃波治療の種類
当法人では「集束型」と「拡散型」の体外衝撃波治療器を導入しています。
集束型体外衝撃波
集束型体外衝撃波治療について全て網羅されています。 興味があればご視聴ください。当法人の集束型衝撃波治療の流れなどを説明しています。
アレックスで治療を受けられる施設
東京・さいたま施設では、『 都立大整形外科クリニック 』『 明大前整形外科クリニック 』『 さいたま整形外科クリニック 』長野施設では、『長野整形外科クリニック』です。
拡散型圧力波治療について
拡散型圧力波治療の流れや当法人での治療風景を載せています当法人で治療を受けられる施設
東京施設では『都立大整形外科クリニック』『明大前整形外科クリニック』『アレックス尾山台整形外科』埼玉施設では『さいたま整形外科クリニック』
長野施設では『長野整形外科クリニック』『上田整形外科内科』『佐久平整形外科クリニック』
体外衝撃波の適応疾患
国際衝撃波治療学会で承認された適応症
慢性腱障害
・足底腱膜炎(保険認可)
・上腕骨外側上顆炎(テニス肘・ゴルフ肘)
・膝蓋腱障害
・アキレス腱障害
・肩石灰性腱炎
・大転子痛症候群
・肩腱板断裂
・肘内側上顆炎
・腓骨筋腱損傷
骨疾患
・骨治癒の遅延
・偽関節
・疲労骨折
・関節の異常を伴わない離断性骨軟骨炎
・シンスプリント
・オスグット・シュラッター病
禁忌
低エネルギー拡散型圧力波・集束型体外衝撃波
・悪性腫瘍
・妊婦
高エネルギー集束型衝撃波
・治療部位の肺組織
・悪性腫瘍
・治療領域の骨端プレート
・治療部位の脳または脊椎
・ 重度の凝固障害
・妊婦