体外衝撃波治療の効果のある肘の痛み
肘の痛みに対する体外衝撃波治療は様々報告されています。
いくつかの疾患を紹介していきます。
体外衝撃波治療の効果のある肘関節疾患
また、投球障害で肘の後方や内側を傷めるケースも多いです。
当法人でも外側上顆炎や内側上顆炎に対する治療歴は多いです。
肘離断性骨軟骨炎は10代でスポーツを行なっている方に発症しやすく、
外側上顆炎や内側上顆炎より一般的に少ないため当法人でも治療したケースは少ないですが効果を認めると報告されています。
詳しくはこれから説明していきます。
外側上顆炎(別名:テニス肘・ゴルフ肘 外側型)
外側上顆炎は点線で囲まれている筋肉に過剰な負荷がかかると痛みが出現します。
日常では、ポットでお湯を注ぐ動きや掌を下にして物を持つ動きや
タイピング動作などを反復的に行うと負荷がかかります。
その負荷をかけ続けると、腱が変性します。
こちらの差し込みプラグに例えます。
差し込みプラグを抜くさいにコード(筋肉)を引っ張るとコード(筋肉)とプラグ(骨)の間の部分(腱)に
負荷がかかります。コード(筋肉)に負荷をかけ続けてしまうとコードとプラグ本体の間の部分(腱)が弱くなり
壊れたことがある方は多いと思います。そのため、筋肉に負荷をかけ続ければ腱に負担がかかり変性してしまいます。
なぜ外側上顆炎(テニス肘・ゴルフ肘)に効果があるの?
はじめに、外側上顆炎は国際衝撃波治療学会の適応疾患としてリストアップされています。安全性・非侵襲的・除痛効果、組織再生の可能性、ステロイド注射と違い再発しにくいといった長所を有してるからです。
また、国際論文などを拝見すると、報告数が多いです。報告により治療成功率に良し悪しはあります。
①除痛のメカニズム
痛みの受容体である自由神経終末の破壊と変性が起こり数週間後に再生が始まります。
②組織再生
腱への照射によりコラーゲン産生の亢進による蛋白質の合成促進や血管新生作用などが起因し再生が進みます。
症例提示
準備中…内側上顆炎(別名:ゴルフ肘・テニス肘 内側型)
内側上顆炎は外側上顆炎と同様に肘の内側に付いている筋肉に過剰な負荷がかかり過ぎると腱に痛みが出現します。
日常生活では、手首を手のひらの方向に向けるような動き(掌屈動作)や引っ張るような動きで痛みが出ます。
スポーツ動作では、テニスのフォアハンドで打つときなどで痛みが出現する可能性があります。
この痛みを我慢し続けると、肘の内側いある腱が変性を起こし、痛みが持続してしまいます。
なぜ内側上顆炎(テニス肘・ゴルフ肘)に効果があるの?
はじめに、内側上顆炎は国際衝撃波治療学会の適応疾患としてリストアップされています。安全性・非侵襲的・除痛効果、組織再生の可能性、ステロイド注射と違い再発しにくいといった長所を有してるからです。
また、国際論文などを拝見すると、報告数が多いです。報告により治療成功率に良し悪しはあります。
内側上顆炎も外側上顆炎と同様に腱障害になりますので、効果のメカニズム大きく変わりません。
①除痛のメカニズム
痛みの受容体である自由神経終末の破壊と変性が起こり数週間後に再生が始まります。
②組織再生
腱への照射によりコラーゲン産生の亢進による蛋白質の合成促進や血管新生作用などが起因し再生が進みます。
症例提示
準備中…肘離断性骨軟骨炎(野球肘外側型)
肘の離断性骨軟骨炎(以下:OCD:osteochondritis dissecans)は上腕骨小頭という部位に好発することが多いです。OCDは成長期の代表的なスポーツ障害であり、野球などといった投球・投擲動作を行うスポーツ選手で投球側に発生することが多いです。大半は10-12歳で発症し成長期における有病率は2-3%と頻度は少ないが進行するとスポーツにみならず、日常生活お支障をきたすことが多い怪我です。そのため、早期発見・早期治療が重要となります。
一般的にレントゲンによる分類が用いられ、初期・進行期・終末期に分けられます。
分類のレントゲン画像準備中…
OCDを発見するにはレントゲンや超音波検査で上腕骨小頭軟骨下骨の状態を観察します。
軟骨下骨の不整像が軽微か不明の場合はMRI検査を行いOCDの確定診断を行います。
画像は準備中…
症状は肘外側の痛みや動かしづらさ(可動域制限)や引っかかり感など生じますが、進行するまでは無自覚や軽微な痛みであることが多いです。そのため、スポーツチームの検診で発見されるケースは初期であり、病院に来院してる場合は症状を自覚しているため、進行期になってしまっていることが多いです。
OCDの主な治療方法
病期や骨年齢、症状の有無や病巣範囲(大きさ)を総合的に判断して、保存療法か手術かを決めます。保存療法では基本的に投球中止などの局所安静、体外衝撃波治療や運動療法(動作改善や機能改善)を行います。
病期での判断は、基本的に初期・進行期は保存療法、終末期は手術を選択します。
骨年齢は上腕骨小頭や外側上顆の骨端線閉鎖の有無が重要であり、骨端線が閉鎖するまでは保存的に病巣の修復が期待でき、骨端線が閉鎖後には病巣の修復が見込めないため手術が選択されます。
OCDに対する体外衝撃波治療の適応・効果
まだ明確な適応基準は決まっていませんがレントゲンの分類で初期・進行期に適応ではないかと考えられています。しかし、完全な局所安静ができない場合は適応外になる可能性があります。
OCDに対する体外衝撃波治療の論文も少なく、ケースシリーズでの報告がいくつか散見される程度です。
体外衝撃波治療の効果から考えると、軟骨保護作用や骨修復促進作用も認めるため効果が期待できる治療法です。
投球障害肘(内側)
主に、野球選手の骨端線が閉鎖する前に好発することが多く、別名『Little League Elbow』と言われています。
骨端線閉鎖後に生じるのは『肘内側側副靱帯損傷』が主な病態として認知されています。
これらはオーバーユースによる障害のため近年投球制限などが規定され始めています。
成人のスポーツ選手の肘内側側副靭帯完全断裂では、肘内側部痛と不安定性を生じ投球困難となりスポーツを諦めるケースが多くあります。1974年にDr.Jobeにより肘内側側副靱帯再建術を行い、投手としてメジャーリーグに復帰した選手の報告がされ、その選手の名前から『Tommy John Sugery』として広く認知されていると思います。近年では復帰率は80- 94%へと格段に向上しています。
一方、近年問題視されている事があります。それは高校生レベルの選手やその保護者間では、トミージョン手術を行えばパフォーマンスが上昇するという誤った認識が拡大し、手術の低年齢化とその増加が問題となっています。
保存療法では自己多血小板血漿(PRP:Platelet rich Plasma)の注射などが行われています。部分断裂の場合ではPRPや集中したリハビリテーションを行う事で復帰した報告も認められています。
投球障害肘(内側)に対する体外衝撃波治療の適応
投球障害肘(内側)に対する体外衝撃波治療に関する報告は少なく、適応判断はかなり難しい状況です。高橋らはこのように考えています。慢性の腱付着部症に対する体外衝撃波治療の有用性は報告されており、その機序として変性組織に生じた自由神経終末の破壊や変性組織の再生効果などが考えれています。肘内側側副靱帯損傷においても同様の痛みが生じている可能性があると考え効果を認められると考えています。原則として、骨端線が閉鎖しており、慢性的な肘内側部痛を有している症例を対象としています。
肘頭疲労骨折(投球障害肘(後方))
投球時の減速期に上腕三頭筋の力により肘頭が肘頭窩に接するが、その際に肘が外側に捻られ肘頭内側が肘頭窩に繰り返し衝突する事で疲労骨折が生じると言われています。
骨端線閉鎖期の16歳前後の高校野球選手に多いと報告されています。保存療法では4-6週の安静期間を推奨し、2-3ヶ月で投球プログラムを開始していることが多いです。
手術は65%が第一選択で施行され、35%は保存療法後に選択されています。
骨端線閉鎖期の16歳前後の高校野球選手に多いと報告されています。保存療法では4-6週の安静期間を推奨し、2-3ヶ月で投球プログラムを開始していることが多いです。
手術は65%が第一選択で施行され、35%は保存療法後に選択されています。
肘頭疲労骨折に対する体外衝撃波治療の適応
本疾患の治療法は安静を主体とした保存療法または手術による報告のみです。疲労骨折に対する体外衝撃波治療は確立された適応と考えられており、国際衝撃波治療学会でも認められています。
疲労骨折に対して体外衝撃波を照射した場合、皮質骨のmicro fractureや骨膜下出血が引き起こされ癒合が促進されます。
また、体外衝撃波照射による骨形成パターンとして焦点領域よりも周辺や反対側からも旺盛な骨形成が認められます。