第50回日本肩関節学会学術集会/第20回肩の運動機能研究会 参加報告
- 2023/10/24
プロ野球球団の読売ジャイアンツではシーズンオフに全選手に対して包括的なメディカルチェックを実施しています。これは単なる健康診断ではなく、野球選手特有の身体評価やシーズンを通じて活動した選手の各関節の状態の評価を行い、来シーズンに向けた準備のために行います。
プロ野球選手の怪我には使用過多(オーバーユース)による慢性障害が多く発生します。特に肘関節・肩関節の怪我は多く発生します。
肘関節:アメリカのプロ野球選手では、2011年から2014年の間に3185件の肘の怪我が発生した(Ciccotti et al, 2017)
肩関節:アメリカのプロ野球選手では、2011年から2016年の間に3090件の肩の怪我が発生した(Fares et al, 2020)
1年でも長く活躍できる様に怪我の予防や治療が大切です。そのためにオフシーズンに全身の評価・身体の状態をチェックを行いシーズンを通じてプレーした状態を確認します。
シーズン中に痛みを訴えてきた際に受傷機転・理学所見・画像所見等を合わせて治療が必要な怪我なのか、治療が必要なら治療期間はどの位必要なのかを判断します。長いシーズンを乗り越えられるように、また、怪我をしても早期復帰を目指すためにシーズンオフの際に行う様々なメディカルチェックで得られたデータを活用しています。
画像検査を行うと障害を疑う所見があることがありますが、全てが治療対象になるわけではありません。その判断のために怪我をしていない時期の画像と比較することが重要になります。
画像所見の解釈には実際に症状の原因がどの箇所なのか詳細に見ていく必要があります。
画像所見:肘関節内遊離体
臨床経過:症状なく投球継続可能
管理方針:定期的経過観察