膝関節には大腿骨と脛骨をつなぐ靭帯が4本あります。そのうち、膝の前方や内側への回旋の動きを制動する靭帯が前十字靭帯(ACL)です。前十字靭帯は急激なストップや方向転換、ジャンプの着地で膝に剪断力が加わった時に脛が前方にずれることを防ぎ、スポーツを行う上で大切な靭帯になります。
前十字靭帯損傷とは?
前十字靭帯損傷とはスポーツや事故によって自分の意思とは違った方向に関節が強制的に持っていかれたり、地面に着地した時に靭帯が断裂もしくは不全断裂を起こし、靭帯として関節を制動することができなくなった状態です。
前十字靭帯損傷
関節鏡では膝関節内に太くしっかりした靭帯としてみることができます。前十字靭帯が損傷してしまうと緊張がなくなり垂れ下がるようになることもあります。
前十字靭帯を損傷する膝の動き方には膝を内側にねじる、膝を過度に伸ばす動きです。
前十字靭帯を損傷するスポーツの場面は大きく分けて2種類あります。ラグビーなどのように相手に膝に直接タックルされることや、バスケットボールなどでジャンプの着地時に相手に直接的に膝に乗られてしまうなど膝に直接外力がかかり前十字靭帯が損傷する接触型の損傷といいます。もう一つの種類はサッカーなどのステップ動作中や体操競技の着地時に膝をねじってしまうことで膝に直接外力がかからない状況で前十字靭帯が損傷する非接触型の損傷です。前十字靭帯が損傷するとレントゲン画像だけではわかりませんが、MRIは大きく変わります。正常な前十字靭帯は黒く太いものがうつっていますが、損傷すると靭帯の連続性がなくなったり、靭帯がはっきりうつらなくなります。