バスケットボールの 外傷・障害

2024/04/19
#バスケットボール
医師
明石 裕貴

前十字靭帯損傷

前十字靭帯損傷はバスケットでのジャンプの着地や切り返しの時に受傷することが多く、同時に内側側副靭帯や半月板も損傷すすることがあります。損傷した場合は膝の中で出血し大きく腫れ痛みを伴います。断裂した靭帯は自然治癒する可能性は低く、膝の前後、回旋の不安定性がるためスポーツを続ける場合は手術が必要となります。

前十字靭帯の手術
手術はハムストリングや膝蓋腱、大腿直筋腱を用いて断裂した前十字靭帯を再建します。スポーツ復帰は男性が平均7-8ヶ月、女性は平均8-9ヶ月とされています。

半月板損傷

半月板とは大腿骨と脛骨の間にあって膝関節の安定性やクッションの役割をしています。内側と外側にあり、前十字靭帯と同じくバスケットではジャンプの着地や切り返しで受傷します。痛みを伴う場合が多く、その他引っかかる感覚や膝の曲げ伸ばしの制限がおきます。半月板は切れ方や痛めた場所によって手術が必要か保存療法でなおるか変わります。症状から半月板損傷を疑うようであれば病院の受診をお勧めします。手術であれば半月板を切る手術、縫う手術、固定する手術とあります。患者さんの希望や半月板の切れた場所、年齢などいろいろな情報を加味して術式を決めます。

足関節捻挫

足関節捻挫はジャンプの着地や接触などで足の裏が体の内側に捻ってしまうことによって受傷します。前距腓靭帯や後距腓靭帯や踵腓靭帯や三角靭帯など足首周りの靭帯を痛めてしまいます。治療は基本的に保存療法で捻った部位の安静やリハビリで不安定性を残さないようにします。不安定性が残った場合や痛みが続く場合は手術が必要になることがあります。

肉離れ

肉離れはダッシュやドライブの1歩目など急激に筋肉に力が入った時に受傷します。肉離れを起こすことが多い筋肉としてはハムストリング、腓腹筋があります。治療は基本的に保存療法で、一定の期間安静とストレッチなどのリハビリを行います。治療期間の目安としては2週間から3ヶ月と幅広く、断裂の程度や場所によって異なります。ハムストリングが坐骨結節(お尻の骨の部分)で断裂を起こした場合は手術をすることがあります。

アキレス腱断裂

肉離れと同様にダッシュやドライブの1歩目など急激に筋肉に力が入った時に受傷します。治療は手術と保存療法に別れます。手術をした方が再び断裂する可能性が低くなると言われています。手術をした場合でもしなかった場合でも競技復帰までには約6ヶ月かかります。

膝蓋腱炎

英語ではジャンパーズニー(Jumpers Knee)と呼ばれ、ジャンプすることが多い競技者によく発症するものです。膝を伸ばす時の膝蓋腱への繰り返しの負担により炎症をおこして発症します。保存療法が基本で、ストレッチやアイシング、安静が必要になります。

Osgood-Schlatter

膝蓋腱炎と同じくジャンプすることが多い競技者によく発症するものです。膝を伸ばす時、骨が出来上がっていない脛骨の成長線への繰り返しの負担により骨端線が剥がれてくる障害です。保存療法が基本で、ストレッチやアイシング、安静が必要になります。

中足骨疲労骨折

疲労骨折全般ですが、ある骨への繰り返しの負担により強力な外傷がなくとも骨折する病態です。バスケットの場合は第2,3中足骨に特に多く、診断ではレントゲンではわからないことも多いためMRIの撮影が必要になります。治療は安静が必要で軽症の場合は1−2ヶ月程度ですが、骨が割れるような重症の場合は3ヶ月以上安静が必要なことがあり、骨折が大きくずれたらは手術が必要になります。

シンスプリント

シン(sign)は脛(すね),スプリント(sprint)は疾走という意味であり,シンスプリントは疾走による脛の痛みということで名付けられました。脛骨内側後方に骨膜炎を伴う障害であり、ランニングやジャンプで繰り返しの負担により発症します。治療は安静、ストレッチやインソールの装着がメインで、痛みが改善しない場合は衝撃波の治療が有効とされています。
この記事を書いたスタッフ
医師
明石 裕貴
関節外科、スポーツ整形外科が専門です。特に膝関節に力を入れておりますが肩関節、股関節、足関節、肘関節など各関節にかけて幅広く診療を行っております。バスケットボールで受傷した半月板損傷に対して手術を受け、復帰をした自身の経験から、スポーツ選手と患者さんの目線に立った診療や傷害予防を行います。適切な治療と早期復帰をモットーに日々診療に励んでおります。スポーツの怪我や痛みは何でもご相談ください。AR-Ex尾山台整形外科では、関節鏡手術を行っています。関節の手術で悩まれている方も是非ご相談いただければ幸いです。