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脂肪由来幹細胞(ASC)治療

根本的な回復を目指す再生医療:ASC治療とは

加齢や外傷、負荷によって生じた関節の痛みや機能低下に対し、従来の保存療法や手術とは異なる新しい選択肢として注目されているのが、脂肪由来幹細胞(ASC)治療です。これは、患者様ご自身の脂肪組織から採取した幹細胞の持つ、損傷した組織の修復を促進する能力を利用した再生医療の一種です。

ASC治療の最大の目的は、損傷組織の回復を促し、関節機能の根本的な改善を目指す点にあります。薬物療法のように一時的に症状を抑えるのではなく、幹細胞が成長因子を放出し、組織の再生能力そのものを引き出すことに主眼を置いています。これにより、慢性的な関節の悩みを抱える多くの患者様の生活の質(QOL)向上に貢献します。

脂肪由来幹細胞(ASC)は、骨、軟骨、筋肉、神経、血管などさまざまな組織に分化する能力に加え、免疫を調整する作用も併せ持つことから、再生医療として注目されています。従来の幹細胞源である骨髄と比べ、脂肪は採取が容易であり、大量の幹細胞を得やすいという利点があります。また、患者様ご自身の脂肪を活用する「自家細胞治療」であるため、高い安全性が期待されます。

整形外科領域におけるASCの4つの役割

  • 再生能力: ASCは、骨や軟骨に分化する能力を有しており、人工材料では補えない生体組織の修復を可能にします。
  • 関節機能の改善: 変形性関節症に対し、関節内などに注射する臨床試験が多数実施されており、痛みの軽減や関節機能の改善といった結果が報告されています。
  • 炎症抑制・免疫調整作用: ASCは免疫を抑制・調整する働きも持ち、炎症を抑えることで、リウマチなどの治療抵抗性疾患にも応用されています。
  • 手術困難な症例への応用: 軟骨損傷を伴う変形性関節症などで、人工関節の手術でしか改善が見込めない患者様への新たな治療選択肢となることが期待されます。

脂肪由来幹細胞(ASC)治療が対象となる症状・疾患

ASC治療は、慢性的な関節の痛みや、組織の変性を伴う疾患に対し、特に有効性が期待されています。

本治療は、組織の再生能力を引き出すことを目的とするため、特に以下のような、組織の変性・損傷が比較的初期から中期段階にある疾患に適応されます。

  • 変形性関節症(肩関節・膝関節・股関節など)
    • 関節軟骨の摩耗や欠損が原因で生じる痛みに対応します。ただし、末期的な関節破壊に至る前の段階が治療適応となります。
  • 慢性的な腱や靭帯の損傷
  • 関節軟骨の摩耗や欠損を伴う疾患

脂肪由来幹細胞(ASC)治療の治療プロセス

ASC治療は、ご自身の体から脂肪を採取し、幹細胞を増殖させた後、精密な投与技術を用いて体内に戻す、以下のステップを経て行われます。

  1. 診察・検査: MRI検査や血液検査を含む詳細な診断を行います。これまでの痛みの経緯、症状の経過、生活・運動歴を詳細に把握し、治療の適応を慎重に判断します。
  2. 脂肪採取: 診察・検査から約10日後を目安に実施します。局所麻酔下で腹部などから約1cmほど切開し、少量の皮下脂肪を採取します。短時間で終了し、身体的負担が少なく、入院の必要はありません。
  3. 細胞培養: 採取した脂肪を、提携する専門の細胞加工施設へ搬送します。治療プランに必要な細胞数まで、約8週間かけて幹細胞を増殖させ、-150℃の超低温で凍結保存します。
  4. 幹細胞の投与: 培養された幹細胞を、直径2.4mmの細い関節鏡スコープを用いて患部へ正確に投与します。患部を明確に特定し、細胞をピンポイントで届けることで、最大限の効果を目指します。日帰り外来処置で完了します。
  5. 経過観察: 投与後3ヶ月、6ヶ月を目安に、MRI検査および経過チェックを行います。

脂肪由来幹細胞(ASC)治療の仕組みと留意点

高品質な細胞培養加工施設の採用

ASC治療の品質は、細胞の培養環境とプロセスに大きく依存します。当グループは、再生医療の安全等確保法に基づいた「特定細胞加工物製造施設」として届出済みの、信頼性の高い施設と連携しています。

安全性がわかる3つのポイント

  1. 高品質かつ安全な培養環境: クリーン度はISOクラス5〜8で厳格に管理されており、浮遊粒子や菌のモニタリング、厳格な清浄管理体制を整備しています。培養はCO2インキュベーター内で無菌静置され、細胞の状態を最適に維持しています。
  2. 効率的で実績ある細胞製造フロー: 自家脂肪からSVF(間質血管細胞群)を分離し、継代培養を実施。増殖させた細胞は、冷凍保存・解凍・洗浄を経て「ready-to-use」状態で輸送され、定温輸送容器により最大96時間以上95%前後の細胞生存率を維持しています。
  3. 医療技術基盤を活かした安全体制: 提携施設は、再生・細胞医療の専門企業として医療機器・医薬の知見を活かし、FDA対応・GMP技術に基づいた高度な細胞加工体制を構築しており、再現性と信頼性が非常に高いのが特徴です。

治療プロセスにおける透明性の確保

当グループのASC治療は、以下の5つのポイントに基づき、高い透明性と安全性を提供しています。

  1. 法令準拠と管理体制: 再生医療等提供計画を提出し、法令に準拠した透明性のある管理体制を徹底しています。
  2. 高品質で安定供給可能な幹細胞製剤の使用
  3. 患者様ご自身の脂肪を使った安全性の高い治療(自家細胞)
  4. 輸送から治療直前まで高い細胞活性を維持
  5. 納品前に細胞検査を実施することによる高い安全性の確保

患者様へお伝えしたいメリットと費用について

脂肪由来幹細胞治療は、従来の治療法にはない大きな利点を持つ一方で、留意すべき点もあります。治療をご検討いただく前に、これらの点をご理解いただくことが重要です。

メリット

  • 肉体的負担の少なさ: 脂肪採取、幹細胞の投与ともに局所麻酔による外来処置で完結し、身体への負担が少なく、入院は原則として必要ありません。
  • 安全性: 患者様ご自身の細胞を使用するため、アレルギー反応や拒絶反応のリスクは低いとされています。
  • 修復能力: 損傷した組織の微細環境に作用し、成長因子を分泌することで、組織修復を促進します。

留意点

  • 自由診療による費用: 本治療は保険適用外の自由診療です。幹細胞の培養と管理には、高度な技術と専門の施設が必要となるため、治療費用は高額になります。事前に費用を含め、詳細にご説明し、ご納得いただいた上で治療を開始します。
  • 適応の制限: 多能性幹細胞とは異なり、分化できる細胞は限られています。そのため、治療の適応疾患が限定され、重度に進行した関節の破壊には効果が期待できない場合があります。

アレックスメディカルグループの強み:再生医療を支える総合的なサポート

当グループのASC治療の特長は、再生医療という専門的な治療と、その後の機能回復のためのリハビリテーションおよび運動療法を、グループ全体で一貫して提供できる総合的なサポート体制にあります。

ASC治療によって組織の土台が修復されても、長年の痛みによって生じた動作の偏りや筋力低下、関節の不安定性は自然には改善しません。幹細胞の効果を最大限に活かし、患者様が「もう一度思い切り動きたい」という目標を達成するためには、専門家による継続的な機能回復プロセスが不可欠です。

関節鏡視下手術の経験に基づいた独自の「精密投与」技術

通常、ASC治療時に特別なスコープは使用しません。しかし、当グループは関節鏡視下手術の専門集団として20年以上の経験と実績を重ねてきました。この経験は、関節内部で何が起こっているかを的確に評価し、最適な治療をご提案する責任であると考えています。

この経験を活かし、当グループではASC治療を行う際に、4K高解像度カメラシステムと直径2.4mmの細い関節鏡スコープを使用します。

  • 投与の正確性: 関節鏡を関節内に挿入することで、関節内の病変部を明確に特定することができます。
  • 最大限の効果: 超広角の視野と解剖学的構造の操作が可能な細い関節鏡により、培養した細胞を的確に患部へピンポイントで届けることができ、ワンランク上の脂肪幹細胞治療を実現します。

治療後の機能回復を目指すリハビリテーションと運動療法

当グループでは、ASC治療経験が豊富な医師と、運動機能回復のプロである理学療法士が密に連携します。治療後の組織の回復段階に合わせて、患者様個別のプログラムを作成し、一貫してサポートを提供します。

  • 専門医と理学療法士の連携: 医師と理学療法士が常に情報共有を行い、個々の患者様の状態に合わせた適切な負荷での運動療法を指導します。
  • 再発予防の指導: 治療後の機能評価に基づき、筋力向上や柔軟性の回復、そして損傷の原因となった動作の改善を図るコンディショニング指導を行い、再発予防を徹底します。

脂肪由来幹細胞(ASC)治療をおすすめするケース

  • 長期間、変形性関節症の痛みや可動域制限に悩まされている方。
  • 従来の保存療法(注射、薬、リハビリテーション)では十分な改善が得られなかった方。
  • 手術に抵抗があり、ご自身の細胞を使った身体に優しい低侵襲な治療法を望まれる方。
  • 関節機能を根本的に改善し、再びスポーツや活動的な生活を送りたいと強く願う方。

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