case
股関節棚形成
この症例の概要
症例サマリー
- 年齢:60代
- 性別:男性
- きっかけ:誘因なく疼痛出現
- 診断名:股関節唇損傷
- 実施手術:鏡視下股関節唇縫合術・棚形成術
- 入院期間:14日
- スポーツ復帰:術後10か月(リハ終了)
股関節唇損傷とは?
股関節とは?
- 股関節は上半身と下半身をつなぐ重要な関節
- 股関節は「可動域が広い」かつ「安定性の高い」関節
股関節唇損傷が生じている原因とは?
- ヒトは直立二足歩行をする動物
- 重力により上から下に常に圧力を受け続ける
- それに耐えうる筋力が必要
→耐えられなくなったときに股関節がその機能を補う=股関節に負担がかかる
この患者さんが困っていたこと
日常・スポーツでの悩み
- 長時間の歩行時痛
- 疼痛消失と再燃を繰り返している
「将来、人工関節になってしまうことや歩けなくなることが怖かった」
検査と診断
実施した検査
- レントゲン


- MRI


- CT

画像でわかる異常
- 股関節関節唇損傷
- CAM病変
- 関節裂隙の狭小化(変形性股関節症の診断)
- 軟骨損傷
- 臼蓋形成不全
なぜ手術が必要だったのか
保存療法では難しかった理由
- 疼痛軽減と再燃を繰り返していた
- 軽度の軟骨損傷があった
- 運動(サーフィンや船釣り)が困難であった
手術を選択した目的
- 運動の再開
- 人工股関節への阻止
- 日常生活での不安解消
手術の内容
手術名
鏡視下股関節唇縫合術・棚形成術
手術の特徴
- 皮膚切開は小さい
- 関節鏡(カメラ)で内部を確認
- 剥がれた関節唇を元の位置に固定
手術の流れ
- 関節鏡を挿入
- 剥がれた関節唇を確認
- アンカーで縫合固定
- 肩の安定性を確認
手術後の経過とリハビリ
術後の流れ
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 術後〜1週 | 荷重10㎏+可動域訓練+体幹トレーニング |
| ~3週 | 装具装着(常時) |
| 4か月 | 機能訓練 |
| 6-7か月 | スポーツ復帰(スポーツテスト結果により変更あり) |
実際の変化
- 歩行時痛の消失
- 運動の再開(船釣り)
医師からのコメント
股関節の痛みは、加齢によるものとして見過ごされやすく、「いずれ人工関節になるのではないか」と不安を抱えながら生活されている方も少なくありません。
この患者さんも、痛みが軽くなったり再燃したりを繰り返し、日常生活や趣味の活動に大きな制限が生じていました。
画像検査では、関節唇損傷に加えて、骨形態の異常や軟骨損傷も認められました。
そのため今回は、関節唇を修復するだけでなく、股関節にかかる負担そのものを減らすことを目的に、鏡視下股関節唇縫合術と棚形成術を組み合わせて行っています。
関節鏡手術は、関節内を直接確認しながら必要な処置を行えるため、関節への侵襲を最小限に抑えつつ、将来的な関節変性の進行を防ぐことが期待できます。