disease

踵骨骨折

症状

踵骨骨折は、かかとを形作っている骨に、自身の体重をはるかに超えるような極めて強い衝撃や圧力が加わることで生じる骨折です。この骨折の厄介な点は、足首の下にある距踵関節(きょしょうかんせつ)という重要な関節面に及ぶことが非常に多く、骨折によりかかとの骨全体が「ケーキを押しつぶしたように」変形してしまうことにあります。適切な治療を受けなければ、この変形が原因となり、将来的に重篤な歩行機能の障害を引き起こすリスクが高い、注意が必要な怪我です。

踵骨骨折を負うと、主に以下のような症状が現れます。

  • 激しい痛みと強い腫れ:骨折した直後から、かかと周辺に我慢できないほどの激しい痛みが起こります。同時に、骨折部位だけでなく、足全体に広がる強い腫れが生じ、患部の皮膚がパンパンに張ったような状態になることがあります。
  • 広範囲な内出血(皮下出血):強い外力が加わった特徴として、かかと周辺や足の裏全体にかけて、広範囲な紫色や黒色の内出血が見られることが多くあります。
  • 重度の歩行の困難:骨折によりかかとの骨が潰れて変形しているため、足に体重をかけることができず、立つことや歩くことが極めて困難になります。踵が痛くて地面に足がつけない状態が典型的です。
  • 足首の可動域制限:骨折による変形や強い腫れ、痛みのため、足首や足の関節の動きが大きく制限されてしまいます。これは、関節の動きの悪化(関節拘縮)や、変形したまま骨が固まってしまうことによる外傷性扁平足などの後遺症の原因ともなります。

これらの症状は、骨が大きく損傷しているサインであり、特に踵骨骨折は、治療後に歩行時の痛みや坂道、凸凹道の歩行困難といった後遺障害を残すリスクが非常に高いため、痛みがある場合は、将来の歩行障害を防ぐためにも、決してかかとを地面につけず、すぐに専門医にご相談ください。

原因

踵骨骨折のほとんどは、かかとに強い衝撃、特に上から下への圧縮力が加わることによって発生します。踵骨は体の体重を支える大切な骨ですが、構造上、上からの強い衝撃に対しては脆く、一度つぶれてしまうと複雑な骨折になりやすいのが特徴です。

具体的な原因としては、以下のものが挙げられます。

  • 高所からの転落:建設現場や高層階、はしごなど、高い場所から落下し、かかとから着地した際に発生する骨折が最も多く見られます。踵骨骨折の原因の90%以上は転落事故によって起こると言われています。
  • 階段などの踏み外しや転倒:日常生活で階段を大きく踏み外したり、数段を飛び降りたりといった、予期せぬ強い衝撃が加わることによっても骨折が生じることがあります。最近では、高齢の方が階段を2〜3段踏み外したというような比較的軽い外力でも踵骨骨折になるケースが多く見られます。
  • 交通事故による圧挫(あつざ):稀なケースですが、外部から強い圧力がかかとに加わり、骨が押しつぶされることによって骨折に至る場合や、交通事故による重度の負傷が原因となることがあります。

衝撃の大きさにかかわらず、かかとに強い痛みが生じ、足がつけない場合は、骨折の可能性を疑い、早急に医療機関を受診することが大切です。怪我をした時の状況(受傷機転)は、骨折の重症度を判断し、適切な治療方針を決める上で非常に重要な情報となります。

診断

踵骨骨折は、骨が複雑に砕け、関節面にまで影響を及ぼすことが多いため、適切な治療方法を決めるためには、骨折の形や関節面のズレを正確に把握することが極めて重要です。この診断の正確さが、後に残るかもしれない重篤な歩行障害などの後遺障害を防ぐことにつながります。

当院では、患者様の怪我の状況や症状を詳しく確認した後、以下の画像検査などを組み合わせて骨折の状態を詳細に評価します。

  • 問診と触診:事故の状況や痛みの程度、特にいつ、どのようにして怪我をしたのかという受傷機転を詳しく伺います。患部の腫れや変形、痛みの位置などを丁寧に確認し、骨折の可能性や重症度を判断します。
  • X線(レントゲン)検査:骨折の有無、骨のズレ(転位)の程度、そして踵骨の高さなど、骨折の全体像を把握するために必須となる検査です。複数の方向から撮影し、骨折の基本的な情報を得ます。
  • CT検査(詳細な評価):踵骨骨折は骨が複雑に砕けたり、関節面が陥没したりすることが多いため、骨折の立体的な構造、特に距踵関節の関節面のズレの状態を正確に把握するために、CT(コンピューター断層撮影)検査が不可欠となることが多いです。この詳細な画像情報に基づき、最適な治療方法を検討します。

これらの詳細な検査を通じて、骨折のタイプと重症度を見極め、患者様にとって最適な治療方法を選択します。この正確な判断と、それに続くリハビリテーションこそが、機能回復の鍵となります。

治療

踵骨骨折の治療で目指すのは、強い衝撃で潰れてしまった骨の形と、それに伴い陥没した関節面をできる限り元の状態に近づけて治すことです。これにより、将来的な歩行時の痛みや、関節の硬さ(関節拘縮)、変形したまま固まってしまうことによる外傷性扁平足などの後遺症を最小限に抑えることを目指します。

治療法は、骨折のズレや陥没の程度、患者様の状態によって異なり、適切な方法を選択することが重要です。

  • 保存的治療:骨折のズレが非常に少ない非転位型の場合や、患者様の全身状態により手術が難しい場合に選択される治療法です。ギプスや専用の装具を用いて患部を固定し、松葉杖などを使って体重をかけずに安静を保ち、骨が自然に固まるのを待ちます。
  • 手術による治療(内固定術):骨折が関節面に及び、骨のズレや陥没が大きい場合には、歩行機能の回復を図るために手術が必要です。潰れた骨片を元の位置に丁寧に整復し、専用のプレートやスクリュー(ねじ)を用いて強固に固定することで、骨の形と関節面を修復します。
  • 早期リハビリテーション:踵骨骨折は関節が固まりやすい(関節拘縮を残しやすい)ため、機能回復を促すために、手術後や固定期間中でも、早期から周囲の関節の動きを広げる訓練や筋力強化練習を計画的に開始します。
  • 段階的な荷重訓練:骨折部の治り具合を定期的なX線検査で確認しながら、通常、手術後およそ6週目頃から少しずつ体重をかける練習(部分荷重)を開始します。その後、10〜12週目頃を目安に、全体重をかけた歩行へと段階的に進めていき、日常生活へのスムーズな復帰を目指します。

当院では、複雑で難易度の高い踵骨骨折に対し、正確な診断に基づいた適切な治療方法を選択し、早期から計画的に行うリハビリテーションを組み合わせることで、患者様が将来にわたり快適に歩行できることを目指し、一貫したサポートを提供いたします。

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