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腰
筋筋膜性腰痛症
症状
筋筋膜性(きんきんまくせい)腰痛症は、腰の筋肉や筋膜(筋肉を包む膜)が悲鳴を上げている状態です。単なる筋肉痛とは異なり、以下のような特徴的な症状が見られます。
- 痛みの出かた(具体的によくある例):
- 朝、起き上がる時に腰に鋭い痛みが走る。
- 椅子から立ち上がる瞬間、あるいは洗面所で前かがみになるのがつらい。
- 指で押すと「そこです!」と感じるような、特に強い痛みを感じる点(トリガーポイント)がある。
- しびれの有無:
- 基本的に足のしびれや麻痺(力が入らない)はありません。もし足までしびれる場合は、神経を圧迫する別の疾患(椎間板ヘルニアなど)を疑う必要があります。
- 一般的な分類:
- いわゆる「ぎっくり腰」の多くはこの筋筋膜性腰痛症の急性期であり、放置すると慢性的な鈍痛に移行することもあります。
原因
筋肉が過度に緊張し、酸素や栄養が十分に行き渡らなくなることで痛みが発生します。
痛みを引き起こすきっかけ
- 筋肉への過負荷: 重い荷物の持ち運び、ゴルフなどの体をひねるスポーツ、不意な動作など。
- 不良姿勢の継続: 長時間のデスクワーク、スマホ操作、猫背、反り腰など。
- 環境・体調要因: 体の冷え、精神的なストレス、睡眠不足による筋肉の柔軟性低下。
関与する主な筋肉と筋膜
腰周りの筋肉は、前後左右で互いに支え合っています。
- 背中側の筋肉(脊柱起立筋・広背筋): 一般的に背筋と呼ばれる筋肉は、脊柱起立筋という筋肉です。
この脊柱起立筋が働くことで腰を反らす動作が行えたり、背中が丸まらずにまっすぐに立っていることができたりします。
筋肉の周りや皮膚の下には、筋膜と呼ばれる非常に薄い膜が張っています。
この筋膜は全身に張り巡らされており、身体を支えるひとつの要素として重要な役割を果たしています。
背中や腰にも胸腰筋膜という膜が張っており、背中が丸まってしまわないように支えてくれています。
この胸腰筋膜は、殿部の筋である大殿筋や腕と背中を繋いでいる広背筋といった大きな筋肉と連結しています。


- お腹側の筋肉(腹斜筋・腹横筋): さらにその奥では、腹部をコルセットのように巻いている内腹斜筋や腹横筋という筋肉と、脊柱起立筋が筋膜によって繋がっています。
内腹斜筋や腹横筋は、近年体幹トレーニングによって鍛えた方が良いと言われる深部筋(コアマッスル)と呼ばれるもののひとつです。




このように、身体の各筋肉は筋膜によって繋がっています。
筋膜は本来色々な方向に伸びるものですが、傷ついたり、特定の筋肉が過剰に働いたりしている場合にはその動きが悪くなってしまうことがあります。
一箇所の動きが悪くなるとその場所だけではなく、他の部位もその影響を受けます。
筋膜は筋肉以上に痛みを感知するセンサーの多い部分です。
そのため動きが悪くなったり、引っ張られ続けたりしていると痛みのセンサーが反応して痛みとして感じるようになります。
診断
筋筋膜性腰痛症は「画像に写らない痛み」です。そのため、医師による丁寧な診察が不可欠です。
- 除外診断: レントゲンやMRIで、骨折や神経圧迫、内臓からの痛みがないかをまず確認します。
- 触診: 医師が実際に腰や背中を触り、筋肉の硬さやトリガーポイントの有無を確認します。「検査で異常なしと言われたけれど痛い」という場合、この筋筋膜性の問題であることが非常に多いです。
治療
痛みの段階に合わせて、適切なアプローチを行います。
- 急性期の対応: 激しい痛みがある場合は、まずは安静にし、必要に応じて消炎鎮痛薬(内服・湿布)を使用します。
- 慢性期の対応: 痛みが落ち着いてきたら、積極的に血流を改善させます。
- リハビリテーション: 腰や背中・殿部周囲の筋肉で過剰に働き過ぎている筋肉の緊張を緩和し、逆に働きが弱く他の部位に負担をかけている部分の筋力強化を行います。
- 注射療法: 痛みの中心(トリガーポイント)へ直接注射を行い、筋肉の強張りを強制的にリセットします。
- ハイドロリリース(筋膜リリース): 超音波で見ながら、癒着している筋膜を薬液で剥がし、筋肉の滑らかな動きを取り戻します。
- 日常生活での工夫: 30分に一度は立ち上がる、椅子に深く腰掛ける、腰を冷やさないようにするなど、負担を溜めない環境作りが再発防止のカギとなります。
自己判断でマッサージを行うと逆効果になる場合もあります。まずは正確な診断を受けることが大切です。
筋筋膜性腰痛に対する運動療法
腹式呼吸トレーニング
広背筋ストレッチ
四つ這いトレーニング
筋筋膜性腰痛に対する運動療法の一例です。
エクササイズで痛みの出る方は、中止してください 。