第30回 日本臨床スポーツ医学会 学術報告
2019年10月16~17日に神奈川県(パシフィコ横浜)で開催された第30回日本臨床スポーツ医学会において当院理学療法士の丸山洵が「壁片脚立位テストの陽性化に関与する因子の検討」という演題で口述発表しました。発表内容とコメントを以下に掲載いたします。
投球障害肩や投球障害肘とは投球動作を繰り返すことによって肩や肘に傷害(障害)を負うことをいいます。
そして投球動作のwind-up(足を一番高く上げたところ)での不良姿勢は、投球フォーム全体に悪影響を及ぼし、投球障害に繋がると報告されています。
図1.良好なwind-up 図2.不良なwind-up
これまで私たちはwind-upを確認する方法として、「片脚立ちがキレイにできるか」を確認していました。しかし、その方法では不良姿勢になっていても足を挙げることが可能で、指摘をしても選手自身になかなか自覚してもらえないということを経験します(図1・2)。
そこで、より分かりやすく、正確にwind-up時の片脚立位を評価するため、壁に背中を付けて良い姿勢を強制された状態で足が上がるかを確認するテスト「壁片脚立位テスト」を考案し実施しました。
今回の研究は、壁片脚立位テストが上手くできない選手はどの部分が悪いのかを検討しました。結果としては腸腰筋(股関節前面の筋肉)の硬さと機能低下が関与していました。
投球障害では肩や肘関節を痛めることが大半ですが、傷害(障害)が発生した部位は結果であり、原因は別の部分にあることも多いとされています。今回の研究結果で、腸腰筋機能の低下があると投球フォーム全体に影響するため、腸腰筋に対するアプローチも重要であることが分かりました。
今後もアスリートのみならず、全ての患者さんにとって、より良いアプローチを提案していけるように研鑽に努めていきます。
AR-Ex尾山台整形外科 東京関節鏡センター
理学療法士 丸山洵