日本整形外科超音波学会2022の参加報告
2022年7月23- 24日に広島コンベンションホールで開催された日本整形外科超音波学会2022において、AR-Ex尾山台整形外科理学療法士の兼岩淳平と池津真大が現地にて学術発表をいたしました。
以下に各スタッフの発表内容とコメントを掲載致します。
兼岩理学療法士
今回私は「健常者における橈側反回動脈血流速度の計測」というテーマでポスター発表しました。
肘の痛みとして手のひらを前に向けたときに外側が痛くなる外側上顆炎(別名テニス肘)があります。このテニス肘は文字通りテニスのバックハンドで打つ時などに痛くなるといわれていますが、ペットボトルの蓋を開けたり、ものを持ったりするなどの日常動作でも痛みが出ることがあり、治りにくいことも多いです。その要因として肘の外側の痛みに関わる組織が複数あり痛みの原因が混在していることが挙げられます。そのため治療する上ではどの組織が問題なのかを明確にする必要があります。そこで肘外側に血液を供給する動脈の血流速度をはかることで炎症の有無が判断でき治療に有用と考えております。
今回の結果から肘に明らかな炎症など問題が無い健常者の血流速度が明らかになりました。今後はその情報を患者さんと比較することで治療に活かしていきたいと思います。
この研究を行うにあたりご協力いただいた患者様をはじめスタッフの皆様、また研究指導を頂きました森ノ宮医療大学の工藤慎太郎先生にこの場をお借りして深謝申し上げます。
池津理学療法士
今回私は「超音波画像診断装置を用いた下腿回旋アライメント評価の妥当性:MRIとの相関関係」についてポスター発表しました。
膝が痛い患者さんの特徴の一つに、脛のねじれ(下腿回旋)が関与していることが報告されています。脛のねじれの評価方法としては、MRIやCTを用いた方法がありますが、これらの方法は撮影時間が長く臨床上簡便に評価することが困難です。そこで我々は、超音波画像診断装置を用いて脛のねじれを評価する方法を考案しました。具体的には、超音波画像診断装置のプローブを膝裏の内側と外側に当て、大腿骨と脛骨の骨突出部から体表までの距離を測定することにより、脛のねじれを推定しました。
その結果、超音波画像診断装置を用いた脛のねじれの評価は、MRIの脛のねじれを予測できることが分かりました。言い換えると、超音波画像診断装置を用いた脛のねじれの評価は、正確に脛のねじれを評価できることが明らかになりました。
今後は、膝が痛い患者さんの脛のねじれを評価していき、痛みのメカニズム解明や治療の発展に繋げていきたいと思います。
本研究を行うにあたり、ご協力いただいたスタッフの皆様、MRI撮影にご協力していただいた飯塚康彦技師、研究のご指導いただきました森ノ宮医療大学の工藤慎太郎教授にこの場をお借りして心より御礼申し上げます。