スポーツ外傷・障害の診断と治療・リハビリ・予防の勉強会(グロインペイン編) 研修報告
2019/08/07
7月28日に愛知県名古屋市で行われた「スポーツ外傷・障害の診断と治療・リハビリ・予防の勉強会(グロインペイン編)」に参加しました。
<講義内容>
① グロインペインの過去と現在・未来
② 症例検討
③ 全身の機能評価
④ 可動性と安定性の改善
・頚部・上位胸郭機能の改善
・下位胸郭・脊柱機能の改善
・股関節・骨盤帯機能の改善
⑤ 協調運動の改善と予防・パフォーマンス発揮
「グロインペイン」とは「鼠径部痛(股関節の前面の痛み)」のことです。
グロインペインはスポーツ選手に多く発症する疾患ですが、病態がはっきりしないことやなぜ発生したのか原因不明であることが多い疾患でした。しかし近年では研究が進み、病態や発症する原因などが明らかになりつつあります。以前は手術することも多い疾患でしたが、現在は保存療法が主体となっています。
グロインペインは股関節の機能不全のみで発症することは少ないです。近年の研究では全身の機能不全の影響がグロインペインの発症リスクを高めることがわかっています。そのためリハビリでは股関節のみに注目するのではなく、全身の機能を高めるアプローチを行う必要があります。なかでも「肋骨の動き」が重要になります。肋骨の動きが障害されることで体幹の機能低下が生じます。その結果、正常な骨盤の動きも破綻しグロインペインの発症につながります。
肋骨の動きの評価と修正
肋骨の正常な動きを促し、体幹の安定性が獲得できたら、グロインペインの予防とパフォーマンス向上を目的に全身の協調運動を改善していきます。
全身の協調性を高める歩行エクササイズ
今回の勉強会ではグロインペインに対する全身の機能評価と治療技術を学ぶことができました。また体幹の機能と股関節の機能が密接に関係していることも改めて実感しました。
今回のテーマは「股関節の痛みに対して全身からアプローチする方法」でしたが、全身の機能を評価する重要性はどの関節にも言えることだと思います。今後は疼痛部位だけに注目せず、全身から治療介入できる広い視野を持って臨床に臨むよう心掛けていきたいです。
今回得た知識や技術をスタッフ同士で共有し合い、患者さんにより良い理学療法を提供できるよう努めます。
佐久平整形外科クリニック
理学療法士 依田 好平