関節の機能を「守り、残す」:関節包を温存する独自の股関節鏡手術

股関節の痛み、特に「股関節インピンジメント(FAI)」に対する手術において、AR-Ex尾山台整形外科の久保貴敬医師が追求しているのは「徹底した低侵襲」と「関節の安定性維持」の両立です。国内外の学会で注目されている独自の術式について紹介します。

股関節の安定性を左右する「関節包」へのこだわり

従来の一般的な股関節鏡手術(中央コンパートメント先行アプローチ:CCFA)では、関節内に器具を届かせるために「関節包(関節を包む袋)」を大きく切開(インターポータル切開)するのが標準的でした。

しかし、関節包に含まれる「腸骨大腿靭帯」は、股関節の安定性を維持するために極めて重要な役割を果たしています。この組織を広く切開してしまうと、術後の関節の不安定化や痛みの残存につながるリスクがあります。

独自技術:Periportal Capsulotomy(ポータル周囲切開)

資料に基づき、大きな切開を避け、器具の挿入口(ポータル)周囲のみの最小限の処置に留める「Periportal Capsulotomy」を実践しています。これにより、重要な靭帯組織を最大限に温存し、術後の早い回復と安定した関節機能の回復を目指します。

牽引困難な症例を攻略する「PC First Approach」

FAI(股関節インピンジメント)の中でも、骨の突出が非常に大きく(重度のピンサー型など)、最初に関節を牽引(隙間を開けること)して鏡視を行うのが困難な症例が存在します。

採用している「Peripheral Compartment First Approach (PCFA)」は、その名の通り、まず関節の周辺部(周辺コンパートメント)から処置を開始する高度なアプローチ法です。

  1. 周辺部の骨切除(先行処置): 牽引なしでアクセス可能な周辺部からカム病変やピンサー病変を切除します。
  2. 適切な牽引の確保: インピンジメントの原因となっている骨を先に切除することで、その後の適切な牽引が可能になります。
  3. 精密な関節内処置: 十分な隙間を確保した上で、関節唇(かんせつしん)の縫合や再建術、軟骨の処置を正確に行います。

この手法は、ドイツの世界的権威であるMichael Dienst医師のグループから直接技術を学び、国内の臨床現場へと最適化したものです。

国際学会(ISHA)での発信と研究実績

この術式の有用性は、専門家の間でも高く評価されており、国内外の主要な学術集会で発表されています。

  • ISHA 2025(国際股関節保存学会): 福岡で開催された国際学会において、「周辺コンパートメント先行アプローチと最小限の関節包切開によるFAI治療・関節唇再建術」について発表を行いました。
  • 日本股関節学会: 関節包を温存する最新術式のテクニカルノートとして、その詳細な手順と良好な成績を報告しています。

この術式のメリット

項目本アプローチ(PCFA + 最小切開)従来の手法(CCFA + 広範囲切開)
関節の安定性極めて高い(重要靭帯を温存)不安定化のリスクがある
組織への侵襲最小限(ポータル周囲のみ)広い範囲の切開が必要
困難な症例への対応可能(重度の骨突出でも対応)牽引不足で処置が困難な場合がある
合併症リスク牽引による神経障害リスクを低減長時間の牽引による合併症リスク

適応となる主な症状・疾患

  • 股関節インピンジメント(FAI:カム型、ピンサー型)
  • 重度のピンサー病変(LCE角 45度以上など)
  • 関節唇損傷(縫合が困難な場合の「関節唇再建術」も含む)

当グループでは、最先端の知見とドイツで習得した高度な技術を駆使し、「いかに関節を傷つけず、本来の機能を維持したまま治すか」に全力を注いでいます。他院で「処置が難しい」と言われた症例についても、ぜひ一度ご相談ください。

担当医師のご紹介

久保 貴敬(Kubo Takanori)

AR-Ex尾山台整形外科 整形外科医師

2008年より整形外科医としてのキャリアをスタート。プロ野球「読売ジャイアンツ」やBリーグ「信州ブレイブウォリアーズ」のチームドクターを歴任し、トップアスリートの再起を支えてきた関節鏡視下手術のスペシャリストです。股関節鏡において、ドイツの世界的権威から学んだ最新技術「PC First Approach」を国内で実践。常に自らの治療成績を国内外の学会で発信し、より低侵襲で精密な治療の普及に努めています。

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