手術前のリハビリテーションってなにをするの?
①関節の動きの制限を改善:関節周りの皮膚や脂肪などの柔らかい組織や筋肉の柔軟性や滑走性、骨の配列の改善を図ります
②筋力低下の改善:患部、患部外の筋力強化をおこないます
③動作の改善:動作のエラーを動作学習により改善していきます
④術後の日常生活動作の指導:松葉杖指導、歩行・階段・床からの立ち上がり動作を指導します
⑤術後のプロトコル(進め方):生活やスポーツ復帰時期・条件の説明をします
入院中のリハビリってなにをするの?退院後の生活はどうなるの?
入院日
松葉杖の練習(免荷or部分荷重で練習:平地、階段昇降、床からの立ち上がり動作)
術前評価(可動域測定、筋力検査、動作などを確認)
手術当日
ベッドサイドでの術後評価(痺れや感覚障害、足趾の動きなどを確認します)
手術翌日~退院日の朝
入院患者専用のリハビリ室で午前午後1回ずつリハビリをおこないます
執刀医の指示に沿って可動域の訓練や術後の生活動作の練習(松葉杖の使い方、階段昇降の練習)をします
※生活圏での状況を想定して階段昇降や床からの立ちあがりなど、それぞれの生活のニーズにあった指導をおこないます
手術後のリハビリってなにをするの?どれくらいで生活できるの?
靭帯縫合、腱鞘形成、滑膜切除・遊離体摘出の3つに大きくわけて説明します
★松葉杖の期間
靭帯縫合:術後
翌日から痛みに応じて荷重を許可します。1-2週で松葉杖を外します
腱鞘形成:
2週間免荷し、それ以降は痛みに応じてすり足から荷重を始めます
滑膜切除、遊離体摘出:
術後翌日から痛みに応じて徐々に荷重をかけます
★固定の期間
靭帯縫合:抜糸(術後10日前後)まで
夜間のみシーネ固定をします ※痛みが強い場合は日中も使用します
腱鞘形成:
2週間固定し、リハビリ時のみ外して可動域の訓練をします
滑膜切除、遊離体摘出:特に固定はありません
★禁止事項
靭帯縫合:4週間
内がえし禁止
腱鞘形成:重症度にもよりますが
過度な底背屈は注意が必要です
滑膜切除、遊離体摘出:特にありませんが、術式によって指示が追加されます(
三角骨障害の場合は底屈注意)
リハビリテーションの具体的内容と運動許可の条件
リンクを開くと各運動の動画をみることができます。
術後早期:傷の治癒、炎症症状の鎮静化、可動域を拡大を図る時期
アイシング(氷嚢やビニール袋を使用)、患部の挙上
可動域の訓練(
タオルスライド、
タオルギャザー )
荷重の訓練(体重計を用いた荷重練習)
生活指導(松葉杖指導、階段・床上動作指導 、禁忌動作指導)
患部外のトレーニング(
内転筋TR、
外転筋TR、
殿筋TR①、
殿筋TR②、
ジョギング許可まで(約4週):片脚での踵上げ獲得、踵上げ持続時間の増大が目標
体重をかけた状態での背屈訓練(SQ(
両脚→
片脚)、Lunge(
Front,
side))
バランストレーニング(
片脚立ち、リーチEX(
Y-ex、
SEBT)
筋力トレーニング(
腓骨筋チューブTR、
立位腓骨筋TR、Heel raise
両→
片/伸→屈、
ECR)
スポーツ許可まで(約6-8週):しゃがみこみ獲得、ジャンプ動作獲得(両足着地→片足着地)
スポーツ動作の獲得(
Side step、
Single hop(Front,side)、切り返しなど)
※足関節の詰まりなくジャンプの着地可能なレベルまで機能の改善が必要です
※片脚踵上げの筋力獲得、最低20回連続で挙上が可能なレベルまで改善が必要
※腱や軟骨の病変がある場合は2~4週程度遅らせます
※手術前の身体機能や、靭帯や筋や関節の状態、手術中の処置内容、術後の機能改善の経過によってリハビリ内容や復帰期間は変動します。どのレベルまで運動をしていいかなど気になる点がある方は担当のリハビリスタッフや執刀医にご確認ください。