disease

手根管症候群

症状

手根管症候群は、手首の付け根にある「手根管」の中で、手の感覚と運動を司る正中神経が圧迫されることによって起こる病気です。初期には指先のしびれや痛みとして現れますが、進行すると手の機能に影響を及ぼします。特に中高年の女性に多く見られます。

具体的な症状は、病気の進行度によって以下のように変化していきます。

  • しびれの範囲: 親指、人差し指、中指、そして薬指の親指側半分(合わせて3本半の指)にしびれや痛み、または感覚の異常が現れます。これは正中神経が支配している領域であり、小指にしびれが出ない点が特徴です。
  • 夜間・明け方の激しい症状: この病気の最も特徴的な症状の一つが、夜中や朝方に強いしびれや痛みで目が覚めることです。これは、睡眠中に手首が曲がった状態になることで、手根管内の神経への圧迫が強まるために起こります。
  • 感覚の鈍化と細かい作業の困難: 症状が進行すると、指先の感覚が鈍くなっていきます。ボタンを留める、小銭を分ける、箸を使うといった日常生活の細かい動作に支障が出始めます。
  • 運動機能の低下: さらに症状が悪化すると、親指の付け根の筋肉が徐々に痩せて(萎縮)、親指の動きが悪くなります。物をしっかりとつまむ力が弱くなり、頻繁に物を落とすようになります。

これらの症状に心当たりがある方は、早期に専門的な診断を受けることが重要です。特に末期の筋肉萎縮が始まると回復が難しくなるため、初期のサインを見逃さないことが大切です。

原因

手根管症候群の多くは原因不明の「特発性」とされますが、実際には手首のトンネル(手根管)内の腱や組織が腫れ、手の感覚を司る正中神経を物理的に圧迫している状態です。以下に挙げる要因が複合的に関わっていると考えられます。

  • 女性ホルモンの変動: この疾患は女性に圧倒的に多く、特に妊娠・出産期や更年期以降の女性に多く発症します。女性ホルモン(エストロゲン)の減少が、手根管内の腱や腱鞘のむくみを引き起こし、結果として正中神経を圧迫する原因となります。
  • 手の使い過ぎ(オーバーユース): 仕事や家事、スポーツ、長時間のパソコンやスマートフォン操作などで手を酷使し続けることも原因の一つです。手を使いすぎると、手首を通る腱鞘に炎症やむくみが生じ、これが手根管内の圧力を高めて神経圧迫を引き起こします。
  • 手首のケガや病気: 過去に手首の骨折などの外傷を負った方や、関節リウマチ、甲状腺機能の異常、人工透析を受けている方なども発症しやすいことが知られています。これらの疾患に伴う変化が、手根管内のスペースを狭め、神経を圧迫します。
  • 腫瘤(しゅりゅう)の存在: ごくまれなケースですが、手根管内にできたガングリオンなどの出来物が、物理的に正中神経を圧迫している場合もあります。

手根管症候群は、手の使いすぎだけでなく、特に中高年女性ではホルモンバランスの変化が深く関わっています。

診断

手根管症候群の症状は、他の病気によるしびれと似ているため、専門的な診断を受けることが不可欠です。当院では、問診、神経の圧迫を確認する身体検査、そして画像検査を組み合わせて正確に診断を行います。

専門医による診察では、以下の特有の誘発テストを行います。

  1. チネル様サイン (Tinel sign): 手首の真ん中、正中神経が通る手根管の場所を軽く叩き、しびれや痛みが指先に響くかどうかを確認します。
  2. ファーレンテスト (Phalen’s test): 両手の甲を合わせて手首を深く曲げる姿勢を一定時間保ち、しびれが強くなるかどうかを調べます。症状が誘発される場合、手根管症候群である可能性が高いと判断されます。

さらに、体に負担の少ない超音波(エコー)検査を積極的に活用します。この検査では、手根管内の正中神経がどの程度腫れているのか、また神経を圧迫している組織の状態をリアルタイムで確認できます。これにより、正確な病態を把握し、適切な治療の道筋を立てます。

気になる症状があれば、正確な診断のために、放置せずにお早めにご相談ください。

治療

手根管症候群の治療は、症状の重さや進行度によって異なります。初期・軽度の場合は、まず手術を行わない保存療法から始め、改善を目指します。保存療法で効果が見られない場合や、筋肉の萎縮が始まっているなど症状が重い場合は、根本的な解決を目指す手術療法を検討します。

以下に、主な治療方法をご紹介します。

  • 装具療法(スプリント・サポーター): 夜間や特定の作業時に、手首を過度に曲げたり反らせたりしないよう固定する装具(スプリント)を装着します。特に夜間に装着することで、睡眠中の神経圧迫を防ぎ、明け方のつらいしびれを軽減するのに有効です。
  • 薬物療法: 症状に応じて、神経の炎症や腱のむくみを抑える飲み薬や、神経の働きを助ける薬などを用いて、症状の緩和を図ります。
  • 注射療法: 手根管内に炎症を鎮める作用のある薬(ステロイドなど)を注入し、正中神経周囲の炎症を抑えることで、しびれや痛みを速やかに軽減します。これは症状の強い時期に有効な手段です。
  • 手根管開放術(手術): 保存療法で症状が改善しない場合や、筋肉の萎縮が進んでいる場合に検討されます。手術では、神経を圧迫している原因である「横手根靭帯」を切開し、神経の圧迫を解除することで根本的な改善を目指します。患者様の負担を軽減するため、内視鏡を用いた鏡視下手根管開放術など、可能な限り小さな切開で行う方法も選択肢の一つとなります。切開が小さくなることで、術後の痛みや回復期間の短縮が期待できます。

治療法は患者様の症状や生活環境に合わせて、丁寧に検討していきます。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

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