disease

石灰沈着性腱板炎

症状

石灰沈着性腱板炎は、肩関節の奥深くにある腱(腱板)の中に、骨とは異なる硬さのリン酸カルシウムの塊(石灰)が沈着し、それによって非常に強い炎症と激しい痛みが生じる病気です。この病気は、特に30代から50代の働き盛りの女性に多く見られる特徴があります。症状は、石灰ができ始めた時期から、石灰が溶け出す際に最も炎症が強くなる急性期へと進行し、患者様の日常生活に大きな苦痛をもたらします。

具体的な症状としては、以下のものが挙げられます。

  • 夜間に襲う突然の激痛: 前触れなく、夜間や安静にしている時に、肩に耐えられないほどの鋭い痛みが走るのが最大の特徴です。この痛みのために、眠っていたところを突然起こされてしまい、睡眠不足に陥る方が多くいらっしゃいます。
  • 動作時の強い痛みと運動制限: 激しい痛みによって肩を動かすことが極端に困難になり、腕を上げたり、服を着替えたり、髪を洗ったりといった日常の動作が著しく制限されます。痛みが強すぎて、肩を自力で持ち上げることがほとんどできなくなる方も少なくありません。
  • 肩の腫れと熱感: 石灰が急激に炎症を引き起こしている急性期には、肩関節の周囲に腫れや赤み、熱を帯びたような熱感がみられることがあります。

この激しい痛みは、腱の中に沈着した石灰の塊が炎症を強く起こし、やがて体内に吸収される過程でピークを迎えるものです。痛みを我慢することは治療の遅れにつながりますので、肩に急な激痛を感じた際は、できるだけ早く専門の診断と治療を受けることが、痛みの迅速な改善につながります。

原因

石灰沈着性腱板炎がなぜ発生するのか、そのはっきりとした原因やメカニズムは、残念ながら完全には解明されていません。しかし、肩の腱(腱板)に起こる損傷や老化、血流の変化など、複数の要因が複雑に関与することで、石灰の沈着が引き起こされると考えられています。

具体的な要因と沈着部位については、以下の点が指摘されています。

  • 腱の変性や老化:年齢を重ねるにつれて腱組織の構造が変化したり、小さな負荷による損傷が蓄積したりすることが、腱の中に石灰が沈着しやすい環境を作り出す要因と考えられています。
  • 血流の滞り(血行不全):腱組織に酸素や栄養を運ぶ血流が一時的に滞ることも、石灰の沈着を促進させる一つの要因として指摘されています。
  • 好発部位:沈着する石灰は、肩を上げる動作に最も重要な役割を担う「棘上筋腱(きょくじょうきんけん)」という場所に発生することが圧倒的に多く、約8割を占めます。

原因が何であれ、現在患者様の痛みの根源となっているのは、腱に沈着した石灰の塊そのものです。この石灰の正確な位置と状態を把握し、炎症を抑え、適切に処置を行うことが、症状改善への最も重要な鍵となります。

診断

肩の激しい痛みで医療機関を受診された場合、まず医師が症状の経過を詳しくお伺いし、肩の動き(可動域)や、押した時の痛み(圧痛)を確認する丁寧な身体診察を行います。問診と診察を通じて石灰沈着性腱板炎の可能性が疑われた場合、その診断を確定させ、治療方法を検討するために画像検査が行われます。

診断において重要な役割を果たすのが、以下の画像検査です。

  • X線(レントゲン)検査:腱の中に存在する石灰の塊は、X線写真に白くはっきりと写ります。この検査は、石灰沈着性腱板炎の診断を確定するために不可欠であり、石灰がいくつあるか、どの程度の大きさかを確認するために行います。
  • 超音波(エコー)検査:超音波診断装置を用いることで、石灰の正確な位置、深さ、そして周辺の腱や組織の炎症の状態をリアルタイムで詳細に観察することができます。特にこの病気の場合、超音波検査で得られる詳細な情報が、注射や先進的な治療を安全かつ的確に行うための重要な手がかりとなります。

これらの検査結果に基づき、痛みの原因が石灰沈着性腱板炎であることを特定し、患者様の症状や石灰の状態に合わせた最適な治療法を組み立てていきます。

治療

石灰沈着性腱板炎の治療は、まず激しい炎症を鎮めて痛みを和らげ、その後、原因である石灰の吸収や除去を促しつつ、肩の機能を回復させることを目標とします。当院では、患者様の痛みの程度や石灰の大きさ・状態を考慮し、様々な治療法の中から、早期の改善を目指せる最適な方法をご提案します。

主な治療方法としては、以下のものがあります。

  • 保存療法(安静・薬物療法):痛みが非常に強い急性期には、内服薬や外用薬を用いて炎症を抑え、肩の安静を保ちます。症状が軽度の場合や、痛みが自然に治まるのを待つ場合に適応されます。
  • 注射療法:痛みの原因となっている部位に直接、炎症を抑える薬(ステロイドなど)や麻酔薬を注入し、短期間での強力な鎮痛効果を期待します。これにより、激しい痛みを迅速に抑え、リハビリへ移行しやすくします。
  • 理学療法(リハビリテーション):痛みが落ち着いた後や、慢性期に入って動きが悪くなっている場合に、肩関節の動きを改善し、再びスムーズな動作ができるように専門的な運動指導やマッサージなどを行います。
  • 超音波吸引治療TENEX(テネックス):超音波装置で石灰の位置を正確に特定しながら、小さな専用器具を患部に挿入し、石灰化した組織を超音波の振動で砕き(乳化)、それを吸引除去する治療です。痛みの原因である石灰を直接取り除くため、早期の症状改善が期待できる、身体への負担が少ない日帰り治療です。
  • 体外衝撃波治療:体外から患部に衝撃波(圧力波)を当てることで、痛みを伝える神経を麻痺させたり、組織の修復力を高めたりする治療法です。石灰沈着性腱板炎においては、衝撃波の振動によって石灰を徐々に分解・吸収させる効果も期待できます。

当院では、安静や薬物療法といった一般的な治療に加え、原因となっている石灰に直接アプローチできるTENEXや体外衝撃波治療といった先進的な治療法も用意しており、患者様の早期回復と日常生活へのスムーズな復帰を強力にサポートいたします。

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