surgery
アキレス腱縫合術
アキレス腱は、立つ、歩く、走る動作に不可欠な人体で最も太い腱です。アキレス腱縫合術は、腱を強固に修復し、高い活動レベルへの早期復帰を確実にする有効な治療法です。当グループでは、最適な手術方法と専門的なリハビリテーションを組み合わせ、日常生活やスポーツ活動への確実な復帰をサポートします。
手術の適応(対象となる方)
アキレス腱縫合術は、主に以下のような症状や状態の方を対象とします。
- アキレス腱が完全に断裂していると診断された方。
- 早期の社会・スポーツ復帰を希望される方(手術療法は保存療法より約3カ月早く復帰可能)。
- 高い身体活動レベルを維持する必要があり、再断裂のリスクを最小限に抑えたい方。
- 断裂から時間が経過していない急性期の断裂(概ね2週間以内)の方。
- 保存療法が困難、または効果が見込めない状態にある方。
手術術式の選択
当グループでは、断裂の状態、患者様の活動レベル、皮膚の状態を総合的に判断し、最適な手術方法を選択します。
開放(観血的)縫合術
断裂部を切開し、医師が直視下で確実に縫合する方法です。
- 適応:
- 断裂から時間が経過した慢性断裂、または重度の損傷例。
- 再断裂などで腱が短縮している場合。
- 方法:
- 腱の端に糸を編み込むように通して、非常に強い結び目を作るなど、強固な縫合技術で修復します。(Krackow法)
- 特徴:
- 縫合の確実性が高く、再断裂のリスクを低く抑えられます。
経皮的・低侵襲縫合術
早期回復と傷跡の最小化を重視する術式です。
- 適応:
- 急性断裂で、早期の回復と小さな傷跡を求める方。
- 方法:
- 数カ所の小さな切開(1〜2cm程度)から特殊な器具を挿入し、腱を縫合します。
- 特徴:
- 傷が小さく、術後の痛みが少ないため、早期リハビリ開始や入院期間の短縮につながります。当グループが重視する術式です。
手術の詳細
麻酔・所要時間
- 麻酔方法:
- 主に腰椎麻酔(下半身麻酔)または全身麻酔、あるいは両者の併用で行います。
- 手術時間:
- 通常、30分から60分程度です。
手術・治療手順
- 術前準備: 体位を整え、患部を消毒します。
- 麻酔導入: 麻酔を導入します。
- 患部の処理と縫合: 選択した術式に基づき、断裂した腱を強固に縫合し、腱の張力を調整します。
- 止血・縫合: 止血後、皮膚を縫合します。
- ギプス固定: 縫合部に負担がかからないよう、足関節を底屈位にした状態で一時的にギプス固定を行います。
入院・術後経過
入院期間
- 標準的な入院期間: 3日間です。
術後経過
入院中の管理
- 疼痛・血栓症管理: 適切な鎮痛薬の管理と、早期からの足の運動指導により、深部静脈血栓症を予防します。
- 早期リハビリ開始: 医師の指示のもと、術後1日目から足関節の自動運動を開始し、腱の癒合を促します。
- 神経麻痺予防: ギプスや装具による圧迫がないか確認し、神経麻痺(しびれや足指の動きの異常)の兆候に注意します。
退院後の注意点
- 固定期間: 術後、目安として3週間程度はギプスや装具で患部を保護します。
- リハビリテーション: ギプス除去後(目安:術後3週間後)は装具を装着し、段階的に荷重歩行を開始します。早期回復と再断裂予防には、専門的なリハビリの継続が必須です。
期待される効果
手術と専門的なリハビリテーションにより、以下の効果が期待されます。
- 確実な腱の修復と機能回復。
- 痛みや再断裂リスクの低減。
- 早期の社会・スポーツ復帰(約5カ月後を目安に完全復帰)。
- 体への負担が少ない術式による傷跡の最小化。
手術のリスクと合併症
一般的なリスク
- 出血、感染、創部の痛み。
- 深部静脈血栓症(DVT)や肺塞栓症。
特有のリスク
- 再断裂: 再手術を要する大合併症率は約3%と報告されています。
- 神経損傷・麻痺: 手術操作や術後の圧迫により、腓骨神経などが損傷し、足首や足指の動きに影響が出る可能性。
- 皮膚合併症・瘢痕: 創部の治癒の遅延や目立つ傷跡が残る可能性。
費用について
アキレス腱縫合術は、健康保険が適用される保険診療です。
健康保険3割負担の方の場合、「アキレス腱断裂手術」に該当し、概算で10万円から13万円程度となります。この費用には、手術料の他に、標準的な3日間の入院期間中の費用が含まれます。
費用が高額になる際には、自己負担額が抑えられる高額療養費制度をご利用いただけます。また、医療費控除の対象となる場合もあります。制度利用に関するご相談は当クリニックへお気軽にご相談ください。
当グループでのアキレス腱縫合術の特長
当アレックスメディカルグループは、「手術(Arthroscopy)」、「リハビリ(Rehabilitation)」、「運動療法(Exercise)」の3分野(AR-Ex)を柱とするスポーツ整形外科専門グループです。
低侵襲手術による早期回復への貢献
- 低侵襲手術: 最小限の切開で行う手術(低侵襲手術)を積極的に採用し、傷を小さく、術後の痛みを軽減します。
- 最短3日間の入院: 効率的な管理により、標準入院期間を最短3日間に短縮しています。
専門チームによるリハビリテーション
- 医師・専門スタッフの連携: 医師と理学療法士が月1回カンファレンスを行い、最適なプログラムを管理します。
- 正確性の高いリハビリ: 超音波診断装置で状態を確認しながら、正確にリハビリを進めます。
再発予防を目指した運動療法
- トレーナーとの連携: 理学療法士に加え、トレーナーらが連携し、科学的根拠に基づいたトレーニングを指導します。
- 継続的なサポート: 完全復帰後の接骨院での定期的なサポートなど、長期的な身体の管理を継続的に支援します。
よくあるご質問
- Q. 手術は痛いですか?
- A. 麻酔下で行うため、手術中に痛みはありません。術後の痛みも、適切な鎮痛薬で管理いたします。
- Q. 入院期間はどれくらいですか?
- A. 当グループでは、標準的な入院期間は3日間です。
- Q. スポーツに復帰できるのはいつ頃ですか?
- A. 一般的に、約10週間でジョギングを開始し、約5カ月後には完全なスポーツ活動への復帰を目指します。
- Q. 手術後のギプスはどれくらいの期間必要ですか?
- A. 目安として3週間程度はギプスや装具で患部を固定します。その後、装具を装着し段階的に荷重を始めます。
関連する疾患について
- アキレス腱周囲炎
- 腓腹筋断裂
- 足部アーチ障害
- 足底筋膜炎
- 変形性足関節症