ばね指(弾発指)は、指の動きを担う腱が通る腱鞘が炎症で狭くなり、指の曲げ伸ばし時に引っかかりや強い痛みが起こる疾患です。症状が進行し、指が自力で伸びなくなる「ロック現象」が起きると、日常生活に大きな支障をきたします。安静や注射などの保存療法で改善が見込めない場合、手術は狭くなった腱鞘を広げ、指の動きをスムーズな動きにさせる根本的な改善が期待できる治療法です。ばね指手術は短時間で完了し、高い確実性で症状を解消することが可能です。

手術の適応(対象となる方)

ばね指手術は、特に以下のような症状や状態にある患者様で検討されます。

  • 朝方や指を動かし始めた時に、指の引っかかりや強い痛みが現れる。
  • 症状が進行し、指が自力で伸ばせない状態になっている(ロック現象)。
  • 指の付け根にしこり(結節)があり、押すと強い痛みを感じる。
  • ステロイド注射などの保存療法を複数回行ったが、効果が一時的で再発を繰り返している。
  • 痛みや動きの制限により、仕事や家事、スポーツ活動に支障をきたし、根本的な解決を望んでいる。

手術術式の選択

ばね指手術では、指の動きを妨げている狭窄した腱鞘の一部を切開し、腱がスムーズに動けるように通り道を広げます。当グループでは、症状の重さ、病変部の状態、早期復帰の希望に応じて最適な術式を選択します。

直視下腱鞘切開術(標準的な手法)

  • 適応: 症状が重度の場合や、再発例、周囲の血管や神経の位置を正確に把握する必要がある場合。
  • 方法: 手のひらの指の付け根付近を1〜2cmほど切開し、医師が患部を直接目で見て確認しながら、慎重に腱鞘の狭窄部分を切開します。
  • 特徴: 患部を直接確認できるため確実性が高く、周囲組織の損傷リスクを最小限に抑える、安全性の高い手法です。

経皮的腱鞘切開術(低侵襲な手法)

  • 適応: 比較的軽度から中等度の症状の場合や、傷跡を最小限に抑えたい、早期復帰を希望する患者様。
  • 方法: 特殊な細い器具を使用し、皮膚を数mm穿刺するだけで腱鞘を切開します。
  • 特徴: 傷跡が非常に小さく、体への負担が最小限に抑えられます。術後の回復が比較的早く、早期の日常生活復帰を目指せます。

手術の詳細

ばね指手術は短時間で完了し、患者様への負担が少ない治療です。

麻酔・所要時間

  • 麻酔方法: 手術を行う指の付け根付近などに注射する局所麻酔を使用します。術中に痛みを感じることはありません。
  • 手術時間: 5分から15分程度で完了することが一般的です。

手術手順

  1. 術前準備: 患部の消毒を行い、手術環境を整えます。
  2. 麻酔導入: 局所麻酔を注射し、痛みを感じない状態にします。
  3. 腱鞘の切開: 選択した術式に基づき、狭くなった腱鞘を切開し、腱の通り道を広げます。
  4. 動作確認と処置: 術者が指を動かし、引っかかりが完全に解消されたことを確認した後、止血・縫合などの適切な処置を施します。

入院・術後経過

ばね指手術(腱鞘切開術)は、患者様の負担を軽減するため、多くの場合、入院は不要な日帰りの外来手術として行われます。

入院期間

  • 日帰り治療: 通常、手術当日にご帰宅いただけます。

術後経過

  • 手術当日の管理: 麻酔が切れた後の痛みは、処方する鎮痛剤で十分にコントロール可能です。
  • 帰宅後の注意点:
    • 創部ケア: 術後数日間は傷口を水濡れから守ります。抜糸が必要な場合は、術後10日〜2週間後に通院が必要です。
    • 早期のリハビリ: 術後の指の拘縮(こわばり)を防ぐため、手術後早期から指を動かすリハビリテーションを開始することが非常に重要です。医師や理学療法士の指導のもと、機能訓練を行います。
    • 復帰の目安: 事務作業や軽作業であれば手術翌日から再開可能ですが、重い物を持つなど患部に強い負担がかかる作業は、通常1〜2週間程度控えていただきます。

期待される効果

ばね指手術は、症状の原因を根本から解決するため、高い効果と根治性が期待できます。

  • 弾発現象(引っかかり)の解消: 指を曲げ伸ばしする際の引っかかりやロック現象が直ちに解消されます。
  • 痛みと炎症からの解放: 指の付け根の慢性的な痛みや圧痛が軽減します。
  • 日常生活動作の改善: 指の動きの制限がなくなり、生活の質が大きく向上します。
  • 再発リスクの低減: 症状の原因そのものを解消するため、再発リスクが非常に低い治療法です。

手術のリスクと合併症

ばね指手術は安全性の高い治療ですが、以下のようないくつかのリスクについても理解しておくことが大切です。

  • 一般的なリスク: 出血、創部の感染症、術後の疼痛、麻酔による影響など。
  • ばね指手術特有のリスク:
    • 神経損傷: 手術操作の際に、指の感覚を司る細かな神経を傷つけ、指先のしびれや感覚の異常が残る可能性はごく稀ですがあります。
    • 術後の拘縮(こわばり): 術後に指を動かさない期間が長引くと、関節が硬くなり、指が曲げ伸ばししにくくなることがあります。これは、適切なリハビリテーションを早期に開始することで回避できます。

費用について

ばね指手術(腱鞘切開術)は、公的医療保険が適用される保険診療です。

この治療は通常、入院を伴わない外来手術(日帰り手術)として実施されます。健康保険3割負担の患者様の場合、手術代の概算は6,000円〜7,000円程度が目安となります。

この概算費用は手術代のみであり、術前の検査費用、内服薬の費用、および術後の処置やリハビリテーションの費用は別途発生いたします。

医療費が高額になる場合、事前に手続きを行うことで高額療養費制度の適用を受けられ、自己負担額が一定の上限額までに抑えられます。また、医療費控除の対象にもなりますので、費用の不安がある患者様には、これらの制度利用に関する詳細なご相談やサポートを承っております。

当グループでのばね指治療・手術の特長

アレックスメディカルグループは、Arthroscopy(低侵襲治療)、Rehabilitation(リハビリ)、Exercise(運動療法)の哲学に基づき、患者様の「完全復帰」を目指した専門的な医療を提供しています。

  • 低侵襲な治療と高精度な手術: 経験豊富な専門医が、傷が小さく、術後の痛みが少なく、回復の早い低侵襲な手術手技を選択し、最小限の切開で最大限の効果が得られるよう、高精度な腱鞘切開術を実施します。
  • 専門チームによるリハビリと再発予防:
    • 個別化されたリハビリ計画: 患者様一人ひとりの状態に合わせた最適なリハビリテーションプログラムを提供します。
    • 超音波を用いた指導: 超音波診断装置を使用し、治療部位の動きをリアルタイムで確認しながら進めることで、より正確で根拠のある機能回復を目指せます。
    • 医師と理学療法士の連携: 手術を行う医師とリハビリ担当者が連携し、治療の進行状況をきめ細かく管理する体制を確立しています。
    • 運動療法による再発予防: 理学療法士やトレーナーが、再発予防を目的としたトレーニングまで指導し、完全な機能回復をサポートします。
  • 一貫した継続サポート体制: 診断から手術、術後の機能回復、その後の健康維持に至るまで、各クリニックが情報を共有し、シームレスで一貫性のある治療を提供します。保険診療終了後も、接骨院でのサポートなど、長期にわたる支援体制を整えています。

よくあるご質問

Q. 手術は痛いですか?

A. 手術は局所麻酔下で行うため、術中に痛みを感じることはありません。麻酔が切れた後の痛みは、処方された鎮痛剤で十分にコントロール可能です。

Q. 入院が必要ですか?

A. ばね指手術は、ほとんどの場合、日帰りの外来手術として行われます。入院の必要はありません。

Q. 仕事や家事への復帰はいつから可能ですか?

A. 事務作業や軽い家事は手術翌日から可能です。ただし、重い物を持つなど患部に強い負荷がかかる作業や激しいスポーツは、通常1〜2週間程度控えていただきます。

関連する疾患について

  • 弾発指(ばね指)
  • ガングリオン
  • キーンベック病
  • 三角線維軟骨複合体損傷(TFCC損傷)
  • 尺骨突き上げ症候群
  • 手根管症候群
  • ドゥケルヴァン腱鞘炎
  • 橈骨遠位端骨折
  • フォルクマン拘縮
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