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鏡視下バンカート修復術(肩関節脱臼)

鏡視下バンカート修復術は、肩が脱臼した際に生じる、関節のフチにある軟骨組織(関節唇)の損傷(バンカート損傷)を修復する治療法です。この損傷は自然に治ることはほとんどなく、脱臼を繰り返す「反復性肩関節脱臼」の主な原因となります。本手術は、剥がれた関節唇を元の位置に確実に戻して固定することで、肩の安定性を取り戻し、再脱臼を防ぐことを目的とします。

手術の適応(対象となる方)

この治療は、特に以下のような症状や状態にある方を対象とします。

  • 肩が外れやすい、または脱臼を繰り返している(反復性肩関節脱臼)。
  • 初めての脱臼でも、若年者(10歳代など)で脱臼を繰り返すリスクが高い方。
  • 脱臼時に肩の関節のフチ(関節唇)が剥がれてしまっている方(バンカート損傷)。
  • 腕を動かした際に肩が抜けそうな不安感があり、スポーツや日常生活に支障が出ている方。

手術術式の選択

反復性肩関節脱臼の治療方法の決定は、患者様の年齢、活動レベル、そして脱臼によって生じた「骨の欠損」の有無によって慎重に行われます。

関節鏡下バンカート修復術(軟部組織の修復)

適応 関節唇の剥がれが主な原因で、骨の欠損(骨が削れている部分)が少ない場合。

方法 剥がれた関節唇を骨に縫い付けて安定させ、肩のストッパー機能を回復させます。

レンプリサージュ(骨欠損を伴う場合)

適応 上腕骨頭にへこみ(骨欠損、ヒル・サックス損傷など)があるなど、不安定性が強い場合。

方法 関節唇の修復に加え、へこみ部分を周囲の腱(腱板)で埋めるように縫合し、肩が不安定な位置に来た際に骨の欠損が原因で抜けるのを防ぎます。

手術の詳細

麻酔・所要時間

  • 麻酔方法: 全身麻酔(一般的な方法)
  • 手術時間: 多くの場合は30分〜90分程度

手術手順

  1. 関節鏡の挿入: 肩に小さな切開部(1cm程度)を数カ所作り、そこから関節鏡を挿入して損傷部位を確認します。
  2. 骨の準備: 関節唇が剥がれた関節窩の骨表面を整え、剥がれた関節唇が骨にしっかりとくっつくための土台を作ります。
  3. アンカーの埋め込み: 縫合糸があらかじめついた小さな固定具(アンカー)を骨に埋め込みます。
  4. 関節唇の固定: アンカーの糸を使って剥がれた関節唇を骨に引き寄せ、強く縫い付けて固定します。

入院・術後経過

入院期間

標準的な入院期間は4日間程度です。

術後経過

入院中の管理

  • 手術後の痛みや腫れを抑えるための処置(疼痛管理、アイシングなど)を行います。
  • 患部を安静に保つため、専用の装具(アームスリング)で肩と肘を固定します。
  • 早期のリハビリとして、装具をつけたままできる手指や肩甲骨周りの軽い運動を開始します。

退院後の注意点

  • 術後約3ヶ月間は、修復した関節唇が骨にしっかりとくっつくための大切な期間です。
  • 術後4週頃から、理学療法士の指導のもと、段階的に肩を動かす訓練(可動域訓練)を始めます。
  • 術後約3ヶ月間は、自分の体重を支える運動(腕立て伏せや懸垂など)は、修復した部分を再び痛める危険があるため厳禁です。

期待される効果

  • 肩の脱臼・亜脱臼の再発を予防する。
  • 肩が抜けそうな不安感(グラグラする感じ)を解消する。
  • スポーツや高いレベルの活動への復帰を目指せる(通常、術後6ヶ月程度)。
  • 関節鏡を用いるため、従来の切開手術に比べ傷が小さく、術後の痛みも抑えられます。

手術のリスクと合併症

一般的なリスク

  • 出血、感染症、麻酔による合併症、手術部位の痛み。

特有のリスク

  • 再脱臼: 骨欠損が大きいなど、重度の不安定性があった場合、まれに再脱臼の可能性があります。
  • 関節の動きの制限(拘縮): 術後のリハビリが不十分だと、肩が硬くなることがあります。
  • 神経・血管の損傷: ごくまれですが、手術操作により肩周辺の神経や血管が傷つく可能性があります。

費用について

鏡視下バンカート修復術(関節鏡下関節唇形成術)は、健康保険が適用される治療です。

料金の目安: 健康保険3割負担の場合、概算で22万円~34万円程度です(標準的な入院期間4日間の場合。治療内容により変動します)。

高額療養費制度の対象となります。手術前に加入されている保険に申請し「限度額適用認定証」を提示することで、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。この制度や医療費控除については、お気軽にご相談ください。

当グループでの鏡視下バンカート修復術の特長

アレックスメディカルグループは、スポーツ整形外科を専門とし、Arthroscopy(手術)Rehabilitation(リハビリ)Exercise(運動療法)の3つを重視したチーム医療で、患者様の完全復帰を目指します。

最小限の傷と高い精度での修復(Arthroscopy)

  • 低侵襲な手術: 関節鏡を用いた小さい傷での手術を専門とし、術後の痛みや筋力低下のリスクを抑え、回復を早めます。
  • 確実な安定性の追求: 1mmの精度にこだわり、剥がれた関節唇を元の位置に確実に戻して縫合することで、再脱臼の予防を徹底しています。
  • 複雑な症例への対応: 骨欠損が大きい場合は、レンプリサージュなどを併用し、患者様の状態に応じた最適な方法で強固な安定性を獲得することを目指します。

完全復帰を目指す専門的なリハビリ(Rehabilitation & Exercise)

  • 専門チームによる連携: 手術を担当した医師と、専門の理学療法士・トレーナーがチームとして連携し、手術直後から競技復帰、さらにその後の健康維持まで一貫してサポートします。
  • 段階的な再発予防: 痛みを取るだけでなく、科学的な根拠に基づいた段階的な運動療法を通じて、肩の安定性を高め、再発予防を含めた身体づくりを目指します。
  • 継続的なサポート: 保険診療でのリハビリが終了した後も、パーソナルトレーニングなどの体制で、患者様の健康維持までサポートを継続します。

よくあるご質問

Q. 手術は痛いですか? A. 手術は全身麻酔で行うため、術中に痛みを感じることはありません。術後の痛みに対しては、痛み止めを適切に使用し、管理します。

Q. 入院期間はどれくらいですか? A. 標準的な入院期間は4日間程度ですが、術後の状態によって多少前後することがあります。

Q. スポーツ復帰はいつ頃できますか? A. 競技レベルにもよりますが、通常、術後6ヶ月程度を目安に、医師と理学療法士が状態を評価しながら段階的に復帰を目指します。

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