関節鏡下滑膜切除術/関節鼠(遊離体)摘出術
関節鏡下滑膜切除術と関節鼠(遊離体)摘出術は、関節の内部を観察しながら行う低侵襲な手術方法です。この手術は、関節の慢性的な炎症による痛みや、関節内に挟まり込む異物(遊離体)による急な動きの停止(ロッキング)といった症状を解消し、関節の動きを改善することを目的とします。体への負担が少なく、早期の回復が期待できる点が特長です。
手術の適応(対象となる方)
この治療は、特に以下のような症状や状態にある方を対象とします。
関節鼠(遊離体)摘出術が適応となる症状
- 関節内に骨や軟骨の欠片(関節鼠・遊離体)がある方。
- 急に関節が動かなくなり、激しい痛みを伴う「ロッキング現象」が頻繁に起こる方。
- 遊離体が関節に挟まったまま、自力で外れなくなった方。
- 離断性骨軟骨炎や変形性関節症など、遊離体ができる原因となる病気がある方。
滑膜切除術が適応となる症状
- 慢性的な関節の腫れや痛みが続き、保存治療(薬や注射、リハビリなど)を数ヶ月から1年続けても改善しない方。
- 関節の炎症(滑膜炎)が強く、関節液がたまることが繰り返され、日常生活に支障をきたしている方。
- 滑膜ひだ障害や変形性関節症の初期段階で、炎症による痛みが主な原因となっている方。
手術術式の選択
関節鏡下手術では、症状の原因に応じて「滑膜の炎症」を取り除くのか、「遊離体」を取り除くのか、術式を選択します。
遊離体摘出術
- 適応: ロッキングや機械的な引っかかりが主な症状である場合。
- 方法: 関節鏡で関節内を観察しながら、専用の鉗子で遊離体を捕捉し、小さな傷口から体外へ取り出します。
滑膜切除術
- 適応: 慢性的な滑膜の炎症や腫れが主な症状である場合。
- 方法: 関節鏡で炎症を起こし増殖した滑膜組織をモニターで見ながら丁寧に切除し、痛みの軽減を目指します。
手術の詳細
この関節鏡手術は、低侵襲な手法で行われます。
麻酔・所要時間
- 麻酔方法: 患者様の全身状態や手術部位に応じて、局所麻酔、または全身麻酔を選択します。
- 手術時間: 単独の手術であれば、一般的に1時間以内に完了します。
手術手順
- 手術前にCTやMRI検査で遊離体の位置や滑膜の状態を正確に確認します。
- 関節の周囲に5mm程度の小さな傷口を数か所作成します。
- 傷口から関節鏡(カメラ)と専用の細い手術器具を挿入します。
- モニターで関節内の状態を確認しながら、遊離体の摘出または炎症を起こした滑膜組織の切除を行います。
- 手術中は滅菌された水で関節内を洗浄し、最後に傷口を縫合して終了です。
入院・術後経過
当グループでは、術後の安全な管理と早期のリハビリテーション開始のため、短期入院を標準としています。
- 入院期間:
- 膝関節、肘関節: 標準的な入院期間は3日間です。
- 足関節: 荷重関節であるため、初期の安定化を重視し、5日間の入院を標準としています。
術後経過
退院後は、ご自宅でのリハビリテーションと生活上の注意点を指導します。
- リハビリ: 術後、早期に関節を動かす訓練を開始します。退院後も理学療法士の指導に基づいた自宅での訓練を継続していただきます。
- 日常生活: 転倒に十分注意し、膝関節手術の場合は、膝への負担を減らすため洋式トイレの使用や体重管理が大切です。
- スポーツ復帰: 回復が順調であれば、遊離体摘出術の場合、術後4週間ほどで軽い運動を開始し、8週間程度での本格的なスポーツ活動への復帰を目指します。
期待される効果
関節鏡手術により、以下のような効果が期待できます。
痛みの解消と関節機能の回復
- 遊離体の摘出により、急な関節の引っかかり(ロッキング)や激しい痛みがなくなります。
- 炎症を起こした滑膜の切除により、慢性的な関節の腫れや痛みが改善されます。
- 関節の動きがスムーズになり、日常生活やスポーツ活動の質(QOL)が向上します。
関節破壊の進行の抑制(滑膜切除術)
- 炎症の原因となっている滑膜組織を取り除くことで、軟骨を破壊する物質の産生を抑え、関節破壊の進行を遅らせる効果が期待されます。
- 注意点: 滑膜切除術は、痛みの原因を除去する対症療法です。軟骨の摩耗自体を完全に治すものではないため、その後のリハビリテーションが重要となります。
手術のリスクと合併症
この手術は低侵襲ですが、すべての手術と同様に、以下のようなリスクや合併症の可能性があります。
一般的なリスク
- 出血: 手術中または術後に出血が生じる可能性があります。
- 感染: 手術部位が細菌などに感染する可能性がありますが、関節鏡手術は術野を洗浄しながら行うため、比較的感染リスクが低い傾向にあります。術後には予防的に抗生剤を短期間使用します。
- 痛み: 術後に痛みが生じますが、適切な方法で管理します。
- 神経や血管の損傷: 極めてまれですが、手術操作中に周囲の神経や血管を傷つける可能性があります。
特有のリスク
- 再発: 稀に、遊離体や滑膜炎が再発する可能性があります。
- 関節の不安定性: 術後のリハビリテーションが不十分な場合、関節の安定性が損なわれる可能性があります。
費用について
この手術は、健康保険の適用となります。
- 自己負担額(概算): 3割負担の方の場合、手術と入院(3~5日間)を合わせた自己負担額の目安は、11万円~17万円程度です(手術を行う関節や入院期間により変動します)。
- 保証金: 入院時に保証金として3万円をお預かりいたします。
- 高額療養費制度: 手術費用が高額になる場合でも、公的な「高額療養費制度」をご利用いただけます。事前に健康保険へ申請いただくことで、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることが可能です。
ご不明な点や、高額療養費制度や医療費控除について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。
当グループでの関節鏡手術の特徴
アレックスメディカルグループは、スポーツ整形外科を専門とするクリニックグループとして、Arthroscopy(関節鏡視下手術)、Rehabilitation(リハビリテーション)、Exercise(運動療法)の3分野を重視し、患者様の完全復帰を目指しています。
1. 低侵襲で高精度な手術
- 低侵襲の追求: 傷が小さく、筋肉や腱など周囲組織へのダメージを最小限に抑える「関節鏡視下手術」を専門としています。
- 精緻な手術: 1mm単位の正確さにこだわり、最小限の侵襲で最大限の効果が得られるよう努めています。
- 早期回復: 身体への負担が少ないため、術後の痛みや筋力低下のリスクが低く、日常生活やスポーツへの復帰がスムーズです。
2. 専門チームによる完全復帰へのサポート
- 専門医の執刀: 各部位の関節鏡手術に精通した専門医が執刀を担当します。
- チーム医療: 手術を行う医師と、リハビリテーションを担当する専門スタッフが連携し、診断から手術、術後のフォローまで、一貫性のあるサポート体制を構築しています。
- 根拠に基づいたリハビリ: 知識と計測に基づいて、患者様の状態に合わせた最適なリハビリプログラムを作成し、痛みをとるだけでなく、再発を防ぐための身体づくりを目指します。
よくあるご質問
Q. 手術は痛いですか? A. 手術は麻酔下で行うため、術中に痛みを感じることはありません。術後の痛みについても、適切な方法で管理いたしますのでご安心ください。
Q. 入院期間はどれくらいですか? A. 膝や肘関節の手術の場合、通常3日間(2泊3日)の短期入院を標準としています。足関節の場合は5日間を目安としています。
Q. 症状が軽くても手術が必要ですか? A. いいえ。症状が軽度で、ロッキングや強い痛みがなく日常生活に大きな支障がない場合は、すぐに手術はせず、経過観察や保存治療を継続することも可能です。症状が悪化したり、保存治療の効果が見られない場合に、手術を検討します。
Q. スポーツはいつから復帰できますか? A. 遊離体摘出術の場合、個人差やリハビリの進捗によりますが、術後4週間ほどで軽い運動を開始し、8週間程度でのスポーツ復帰を目指します。
関連する疾患について
- 離断性骨軟骨炎
- 変形性膝関節症
- タナ(滑膜ひだ)障害
- 肘部管症候群
- 色素性結節絨毛性滑膜炎
対応クリニックのご紹介
当グループにおいて、関節鏡下滑膜切除術/関節鼠(遊離体)摘出術に対応可能なクリニックは以下の通りです。