変形性足関節症
症状
変形性足関節症は、足首の関節軟骨がすり減り、関節が変形することで、強い痛みや動きの制限が生じる疾患です。足首の軟骨が損傷しクッション性が失われると、骨同士がぶつかり、炎症が慢性化することで日常生活に影響を与えます。
具体的な症状としては、主に以下の点が挙げられます。
- 足首周囲の痛みや腫れ: 運動後や長時間立ったり歩いたりした後に、足首の奥深くに鈍い痛みや、熱感、腫れが生じます。
- 体重を乗せると痛みが強くなる: 歩行時や階段の上り下りなど、足関節に負荷がかかると痛みが特徴的に増します。
- 関節が硬くなり、曲げ伸ばしがしにくい: 関節の炎症や変形の進行により、関節の動きの範囲(可動域)が狭くなり、正座やしゃがみ込みが困難になることがあります。
- 足首の変形: 病状が進行すると、関節の縁に骨の突起(骨棘)が形成され、足首の輪郭が変化することがあります。
これらの症状を放置すると、痛みをかばうために歩き方が変わり、他の関節にも負担がかかる可能性があります。活動的な生活を維持するため、足首に違和感を覚えた段階で、早期に専門的な診断と適切な治療を開始することが重要です。
原因
変形性足関節症の発生には、軟骨の劣化に加え、関節に不均一な負荷がかかることが大きく関わっています。この疾患は、他の変形性関節症と比較して、過去の外傷が原因となる(二次性の変形性関節症)割合が高いことが特徴です。
変形性足関節症を引き起こす具体的な原因には、以下のものが挙げられます。
- 加齢による軟骨の摩耗:年齢とともに軟骨の弾力性が失われ、クッション機能が低下し、日常の体重負荷に耐えきれなくなり変形が始まります。
- 過去の外傷(骨折や捻挫):足関節の骨折や重度の捻挫により関節の表面が損傷したり、安定性が失われたりした結果、数年後に変形性足関節症として発症することが多く見られます。
- 体重負荷と関節へのストレス:肥満や激しいスポーツなどで過度な負荷が慢性的にかかり続けると、軟骨の劣化が加速し、変形を進行させる原因となります。
- 性ホルモンの影響:更年期以降の女性に見られる傾向があり、女性ホルモンの減少が軟骨の保護機能に影響を与え、変形を進行させる要因の一つである可能性があります。
この疾患の多くが過去の外傷による二次性のものであることから、怪我の影響を正確に把握することが、変形の進行を食い止め、効果的な治療法を見つける鍵となります。
診断
正確な診断は、変形性足関節症の進行度を把握し、最適な治療方法を選択するための土台となります。当院では、問診や身体検査に加え、画像検査を組み合わせて足関節の状態を評価します。
まず、痛みの部位や動かしにくさの程度など、症状の詳細を細かく確認します。
- X線(レントゲン)検査:診断の基本であり、特に体重をかけた状態で撮影することで、関節の隙間の狭さ(軟骨の摩耗)や、骨のトゲ(骨棘)の形成といった構造的な変形を確認します。
- MRI(磁気共鳴画像)検査:X線検査では把握が難しい軟骨自体の質や、骨内部の状態を確認するための検査です。軟骨の摩耗度合いや、強い痛みの原因となり得る炎症やむくみ(骨髄浮腫)など、微細な病変を詳細に評価できます。
これらの診断プロセスを経ることで、痛みの真の原因を正確に見極め、保存療法から再生医療に至るまで、最適な治療法の選択へとつなげます。
治療
変形性足関節症の治療は、初期には身体への負担が少ない保存療法から開始し、病状の進行度や患者様の希望に応じて段階的に進めます。目標は、痛みの緩和、関節機能の維持と回復、日常生活の質の向上です。当院では、標準的な治療法に加え、自己治癒力を利用した先進的な再生医療も提供し、幅広い選択肢をご用意しています。
- 安静と装具療法:痛みが強い時期には安静を保ち、サポーターやインソール(足底板)などを使用し、関節への負担を軽減します。
- 薬物療法:痛みや炎症を抑えるための内服薬(消炎鎮痛剤)や湿布などを使用し、炎症のコントロールを図ります。
- 運動療法:リハビリテーションによって、関節の動きの範囲を広げる訓練や、周囲の筋肉を強化する訓練を行い、関節の安定性を高めます。
- 注射療法:関節内の滑りを良くするヒアルロン酸注射などを行います。痛みが非常に強い場合は、炎症を抑える注射を検討することもあります。
- PRP(多血小板血漿)治療:患者様ご自身の血液を濃縮した液体(PRP)を患部に注入する治療です。血小板に含まれる成長因子の力で、炎症を抑え、痛みの軽減や組織の回復を促進します。
- ASC治療(培養脂肪幹細胞治療):患者様ご自身の少量の脂肪組織から幹細胞を採取・培養し、高濃度にした幹細胞を関節内に注射する治療です。幹細胞の、軟骨の保護作用や炎症を抑える働きにより、低侵襲で変形性関節症の改善が期待されています。
- 手術療法:保存療法や再生医療でも改善せず、日常生活に大きな支障をきたしている場合、最終的な手段として関節固定術などの手術が検討されます。
患者様の現在の病態と今後の生活目標を総合的に考慮し、幅広い治療選択肢の中から、最適な方法を提案します。