肩の動きの制限:関節の動きが悪い・五十肩
こんな症状はありませんか?
肩関節の動きの悪さは、日常生活の質を大きく下げてしまいます。特に腕を上げたり、後ろに回したりする動作に痛みや困難を感じる場合、その裏には専門的な治療を必要とする原因が潜んでいる可能性があります。多くの患者様が「ただの五十肩だろう」と自己判断しがちですが、以下のような症状に心当たりのある方は、一度専門医にご相談ください。
- 腕を上げる動作で、途中で止まってしまい、それ以上上がらない。
- 洗濯物を干す、高い棚の物を取る、髪を洗うといった動作が困難になった。
- 背中に手を回す動作(エプロンの紐を結ぶ、ブラジャーのホックを留めるなど)で、強い痛みや制限を感じる。
- 昼間は我慢できても、夜横になると肩がズキズキと痛み、寝返りが打てず、睡眠不足に悩まされている。
- 激しい痛みのピークは過ぎたものの、肩が固まってしまい、服の着脱などの日常動作が困難な状態が続いている(拘縮)。
この症状が考えられる主な原因
肩の動きを制限する原因は一つではなく、年齢によるもの、腱の損傷、関節の炎症など、様々な病態が考えられます。原因が異なれば、当然最適な治療方針も変わってきます。正確な診断が、スムーズな回復への第一歩となります。
肩の動きの制限を引き起こす主な原因は、大きく以下の病態に分類され、精密な検査を通じて原因を見極める必要があります。
- 肩関節周囲の組織の炎症と硬化(いわゆる五十肩) 一般的に「五十肩」と呼ばれる肩関節周囲炎は、肩関節を包む袋(関節包)やその周りの組織に炎症が起こることから始まります。痛みがピークを過ぎた後、関節包が硬く縮んでしまう現象(拘縮)が発生します。この関節の硬さが、腕を上げたり、後ろに回したりする動作を物理的に妨げ、動きの制限として現れます。適切なリハビリを中心とした治療で、多くの場合改善が期待できます。
- 腱そのものの損傷や異常な沈着 肩の動作に不可欠な「腱板(ローテーターカフ)」と呼ばれる腱の集まりに問題が生じると、動きの制限や痛みが現れます。
- 腱板断裂: 加齢や摩耗により腱板が切れてしまうと、五十肩のような痛みに加え、腕に力を入れることが難しくなる「脱力感」を伴うことがあります。
- 肩石灰性腱炎: 肩の腱内に突然カルシウムの塊(石灰)が沈着し、発作的な激痛と炎症を引き起こします。石灰が組織を圧迫することで、激しい痛みとともに動きの制限が発生します。
- 肩関節以外の問題(神経の圧迫) 肩関節そのものに大きな損傷がないにもかかわらず、痛みや動きの制限がある場合、首(頸椎)の骨や椎間板の異常が原因である可能性があります。例えば、頚椎椎間板ヘルニアなどの頸椎疾患により、肩や腕に向かう神経が圧迫されると、肩に痛みや動きの制限が生じたり、腕や手にしびれを伴ったりします。
これらの症状は、原因となる病気が多岐にわたるため、ご自身で判断せず、専門医の診察を受け、正確な診断を得ることが大切です。 自己判断は、適切な治療の開始を遅らせてしまう可能性があります。
症状に関連する疾患
「腕を上げると痛い」「肩の動きが悪い」といった症状から考えられる主な病気は以下の通りです。これらの疾患は、それぞれ病態や治療方針が異なるため、精密な画像診断による鑑別が不可欠です。
「肩の動きの制限」症状から考えられる主な病気は以下の通りです。
- 拘縮肩: 強い炎症の後、肩関節を包む袋(関節包)などが硬く縮んでしまい、腕を動かせる範囲が著しく制限されてしまう状態です。
- 腱板損傷・断裂: 肩の奥にある腱の集まり(腱板)が一部または完全に切れてしまい、腕を上げる際に痛みや力が抜ける感覚が生じる病気です。
- 肩石灰性腱炎: 肩の腱の中に突然カルシウムの塊(石灰)が沈着し、発作的に、夜も眠れないほどの激しい痛みを引き起こす病気です。
- 頚椎椎間板ヘルニア: 首の骨の間にあるクッション(椎間板)が飛び出し、肩や腕に向かう神経を圧迫することで、痛みやしびれ、動きの制限を引き起こす病気です。
併せて見られる関連症状
動きの制限に加えて、以下の症状が同時に現れている場合は、病態が複雑であったり、より専門的な治療を必要とする疾患が隠れていたりする可能性があります。
肩の動きの制限と同時に、以下のような症状が見られることもあります。
- 治まらない激しい夜間痛: 寝具に触れるだけで激痛が走る、痛くて何度も目が覚めるなど、炎症が非常に強い時期や、特に肩石灰性腱炎で典型的に見られる症状です。
- 腕や手の指先のしびれ: 肩の痛みだけでなく、指先や腕にまで広がるしびれを感じる場合、首の骨や椎間板(頸椎)から肩に向かう神経が圧迫を受けている可能性が高いことを示しています。
- 特定の動作での脱力感: 痛みはそれほど強くないのに、腕に力を入れた特定の動作で「力がフッと抜けてしまう」感覚や、腕を支えきれない脱力感を覚える場合があります。
これらの症状が複合的に見られる場合は、肩関節だけでなく、脊椎など他の部位との関連性も視野に入れた、多角的な診断が必要です。
その痛み、我慢しないでください
「腕を上げる痛み」や「肩が固まって動かない」という症状は、単なる「年のせい」や「気のせい」で片付けられるものではありません。その痛みの裏には、適切な診断と治療によって改善が見込める明確な原因が存在しています。痛みや動きの制限を放置してしまうと、関節がさらに硬くなったり、損傷が悪化したりして、治療が長期化する可能性があります。私たちは、患者様が抱える痛みの真の原因を突き止め、お一人おひとりの生活や目標に合わせた治療を提供し、再び自由に腕を動かせる日常を取り戻すサポートをいたします。