症例 5 腰椎椎間板ヘルニア |
1. 腰椎椎間板ヘルニアとは |
椎体の間にはクッションのような役割を果たす「椎間板」というものが存在します。
(下左図の水色の部分が椎間板です。)
椎間板ヘルニアとは、椎間板が加齢や悪い姿勢による負荷、外傷による圧迫力などでその一部が限局性に飛び出した状態です。時に神経根を圧迫する事もあります。 |
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腰椎椎間板ヘルニアの特徴としては、
・ 第4腰椎と第5腰椎の間、第5腰椎と第1仙椎の間の椎間板に多くみられる
→ 第4腰神経(L4)、第5腰神経(L5)、第1仙神経(S1)を圧迫する事がある
・ 神経根の圧迫は左右どちらか片方の事が多い
→ このため、症状も片側のみに現れる事が多い |
2. 腰椎椎間板ヘルニアの原因 |
原因は、加齢による変化(=変性)とスポーツなどによる外的要因(=外傷性)によるものに分けられます。
外傷性の具体例としては、悪い姿勢で長時間(または繰り返し)作業を行ったり、テニス・ゴルフ・バレーボールなどの腰を捻る動作の多いスポーツを繰り返し行うことなどが挙げられます。 |
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3. 腰椎椎間板ヘルニアの症状 |
・「腰」や「臀部」の痛み
・下肢への放散痛やしびれ(坐骨神経症状)
・背骨が横に曲がる(疼痛性側湾)
・重いものを持った際に痛みが強くなる |
4. 腰椎椎間板ヘルニアの分類 |
椎間板ヘルニアは突出する方向により以下の様に分類されます
@ 後正中型 central type
A 後外側型(傍正中型) posterolateral type
B 椎間孔内外側型 intraforaminal type
C 椎間孔外外側型 extraforaminal type |
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5. 腰椎椎間板ヘルニアのMRI画像 |
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上の写真で赤く○をつけた部分に椎間板があります。しかし、椎間板はレントゲンには写りません。
そのため、椎間板の状態を把握・観察するためには、軟部組織の描出に優れるMRIを撮像するのが最も適しています。 |
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正常な椎間板では、線維輪は膠原線維と線維軟骨からできているため黒く描出され、その中にある髄核はみずみずしいため白に近いグレーに描出されます。また、横断像では逆ハート型となっています。
しかし、変性が進むとみずみずしさが失われるため、徐々に黒くなっていきます。 |
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では、実際の椎間板ヘルニアを下記に示します。
丸で囲まれた部分が椎間板の突出しているところ(ヘルニア)です。 |
@ 後正中型 central type |
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A 後外側型 posterolateral type |
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B 椎間孔内外側型 intraforaminal type |
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C 椎間孔外外側型 extraforaminal type |
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*外側に突出しているため、このヘルニアの場合は矢状断像よりも冠状断像の方が、観察しやすいです。 |
☆ その他、症状や治療について詳しく知りたい方は、AR-Exホームページの『整形外科基礎知識』のページを御覧ください! |
2015/8/8 |