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症例5  腰椎椎間板ヘルニア
症例6 膝関節前十字靭帯(ACL)断裂
症例7 腰椎分離症
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症例 7  腰椎分離症
1. 腰椎分離症とは
腰椎分離症とは、腰椎の背側部分(椎弓)にある上関節突起と下関節突起(上下の脊椎と関節を形成する部分です)の間(関節突起間部)に生じる疲労骨折と考えられています。しかし、血族内発症が多いことや、人種間で発症頻度に違いが見られることから、先天的な要因も関与しているのではないかと考えられています。
多くは中学生〜高校生のまだ体が柔らかい成長期の子供に発症します。この時期にスポーツなどで繰り返しジャンプ動作や腰の回旋動作を行うと、上記の関節突起間部に過度の負荷がかかり、微細な疲労骨折が発生します。これがさらに進行すると亀裂を生じ、最終的に完全な分離へと発展していきます。
2. 腰椎分離症の原因
成長期の身体は筋力が大人よりは少ないため、スポーツなどで繰り返しジャンプ動作や腰の回旋動作を行うと、腰部に過度の負荷がかかりやすくなります。成長期の骨は成人の硬い骨と違い、若木のようなしなやかさを持っています。そのため、過度の負荷をかけ続けると、ポキッと1回で骨折を起こすのではなく、骨に微細な骨折を繰り返し起こし、それが続くことで大きな骨折へ発展します。分離症では、この現象が上記の関節突起間部に起こります。  

上関節突起、下関節突起には、椎体が前後にずれないようにする働きがあります。分離症では上関節突起と下関節突起が離れてしまっていますので、椎体の前後へのずれ(すべり)を止める事が出来ない状態です。そのために椎体がずれてしまった状態を腰椎分離すべり症といいます。多くの場合、下の椎体に対し前方にずれます。

腰椎分離すべり症の多くは中年期以降の方に見られます。これは、成長期に分離症を生じたものが、分離部(骨折部)が線維性、もしくは線維軟骨性に癒合することで一度安定化します。しかし、加齢に伴いこの部分や椎体周囲の靭帯に緩みを生じ、支えきれなくなってすべりを生じてしまいます。これは、成長期に生じた分離症を正しく治療をしなかったことが原因です。

分離症は骨折ですので、早期に発見しきちんと安静加療することで骨は癒合します。しかし、負荷をかけ続けると骨癒合がうまくゆかず、不完全な状態(=偽関節)で治癒してしまい、後に分離すべり症となってしまうのです。
そのため、早期に発見し、正しい治療を行うことが重要となります。
3. 腰椎分離症の症状
初期〜進行期
  ・前かがみや後ろに反ったときの腰痛
  ・運動時の腰痛


慢性期
  ・慢性的な腰痛
  ・下肢の痺れ・痛み
4. 腰椎分離症の好発部位
腰椎分離症は主に第4、5腰椎に発生しやすいとされています。
(稀に、他レベルの腰椎でも見られることがあります。)
好発種目は、体幹の前後屈・回旋動作を頻繁に繰り返すスポーツです。
5. 腰椎分離症の画像
上の写真で赤く○をつけた部分に腰椎の関節突起間部があります。しかし、初期の分離症では骨折線がはっきりしていない為、描出されません。また、陳旧性でも撮影方向によっては骨折線がうまく描出されないことがあります。そのような場合はレントゲンの斜位撮影によって描出されます。
この像で見ると、腰椎に犬の形が見えます。(教科書的にはスコッチテリア犬と言われています。
関節突起間部は犬の首のあたりに存在し、分離が進んだ症例では骨折部が離れて帯状の透亮像(レントゲン上では黒っぽく見える状態)として認められ、犬に首輪があるように見えます。これを「スコッチテリアサイン」と言います。しかし、この首輪が見られる時期には多くの場合分離症が完成されてしまっており、保存療法での修復が厳しいとされています。
そのため、初期〜進行期での発見・診断が重要となります。その時期では、疲労骨折に伴う炎症が強く生じている時期ですが、それはレントゲンではわかりません。また、超早期ではCTでも見つける事が出来ないことがあります。それに対しMRIは炎症や浮腫の描出に優れており、非常に有用性が高い検査です。
 
次に、初期〜進行期の実際の画像を示します。
画像6と7では、赤色の丸の部分では、他の部分と比べても何もないように見られます。
また、CTにおいても、明らかな骨折線は認められません(画像8〜10)。 しかし、MRIで炎症が観察しやすい条件(脂肪信号抑制撮像法:脂肪抑制併用T2強調画像やSTIR法)を使用して撮像すると、下の画像12の水色丸部分のように骨内に白く描出される部分が認められ、骨折に伴う炎症や浮腫があることがわかります。
初期の分離症では、骨折線がはっきりしないためレントゲンでは全く分離症と診断できません。しかし、このようにMRIで適切な画像を撮像することで骨折線が明瞭化する前の分離症を発見でき、より早期に治療を開始することが可能となります。
我々は、分離症の撮像時には基本的にSTIR法で3方向撮像し、より正確に診断できるよう努力しています。
次に、骨折線を伴った分離症について示します。
画像14〜16の黄色い丸の部分に分離症が認められます。しかし、骨折線を確定することはこの画像ではできません。
そこで、CTにて撮影すると、骨折線が確認することが出来ます。画像17〜19のピンク色の丸の部分に骨折線が認められます。
このように炎症評価に強いMRIと骨折線評価に強いCTを併用することで、より詳細に分離症の状況を確認することが出来ます。それにより、より適切な治療を行うことが出来ます。
☆ その他、症状や治療について詳しく知りたい方は、AR-Exホームページの整形外科基礎知識のページまたは、『横断的医療研究チーム』⇒『部位チーム』⇒『腰椎専門チーム』のページをご覧ください!
2015/12/14
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