体外衝撃波治療
体外衝撃波とは
体外衝撃波治療(ESWT)は、音速を超える高エネルギーの音波(衝撃波)を体外から患部に照射することで、除痛と組織の再生を促す治療法です。
その起源は、ヨーロッパで1980年代に腎臓結石や尿管結石の治療に用いられ、人体において初めて治療されました。その後、整形外科領域で骨への効果の研究が始まり、骨折遷延癒合と偽関節の研究を通じて有効性が認知されました。1990年代初期には、石灰性腱炎や外側上顆炎(テニス肘)、足底腱膜炎の治療に成功しています。もともとは尿管結石の破砕に用いられていましたが、現在では整形外科領域においても、慢性的な筋・腱・関節の痛みに対する治療として世界的に広く使用されています。
近年、日本においても厚生労働省の認可がおり、臨床で用いることが可能となりました。
特徴とメリット
- 骨折に対する修復が期待できる
- 非侵襲的に腱の修復を促すことが可能(メスを使わずに治療ができる)
体外衝撃波の効果(作用メカニズム)
体外衝撃波は主に以下の3つのメカニズムで効果を発揮します。
除痛作用(痛みの感覚を抑える仕組み)
- 痛みの抑制(即時効果): 照射直後より、「痛みを感じる神経のセンサー(自由神経終末)」の感度を一時的に下げることで、痛みを伝えにくくします。このセンサーは数週間かけて徐々に再生します。この作用を複数回行うことで、局所の痛みが軽減し、効果が継続すると考えられています。
- 鎮痛システムの活性化(持続効果): もう1つのメカニズムとして、衝撃波が体本来の鎮痛システム(下行性抑制系)を活性化させます。これにより、脳内で痛みを和らげる物質(エンドルフィンなど)が放出され、痛みが軽減されます。
- 神経終末の変性: 神経終末を変性させることで痛覚伝達を抑制します。(サブスタンスPやCGRPの減少)。複数回照射することで神経終末の再生がさらに抑制され、除痛効果が期待できます。
組織再生(傷んだ組織を治す仕組み)
- 新しい血管の形成(血管新生)と血流の改善: 体外衝撃波は新しい血管の形成(血管新生)を促し、組織の修復を助ける成長因子(TGF-β1*1やIGF*2など)の産生を高めます。衝撃波が体内の組織に伝わり、その微細な振動や圧力変化により血管周囲の細胞が刺激されます。その結果、「毛細血管の拡張」「新生血管の形成(血管新生)」「局所血流量の増加」が起こります。 この作用は血流の増加を認め、組織の再生をサポートします。現在、骨壊死や糖尿病性壊疽、皮膚移植後の創治癒不全、狭心症の治療にも応用されています。 これらの作用により変性した腱の再生を促し、長期的な痛みの改善につながります。
*1 TGF-β1: 生体の恒常性を維持する重要なサイトカイン(炎症の重要な調節因子)の1つで生命維持に関与する重要な因子
*2 IGF: インスリン様成長因子と言われており、一生にわたって重要な役割を果たす成長ホルモンのこと - タンパク質の合成促進と組織修復: 腱への照射によりコラーゲン産生の亢進やglycosaminoglycan (GAG)*3やタンパク質の産生亢進が生じ組織再生が促進されます。血管新生を促し成長因子の分泌を促進し、変性した腱の修復を加速します。
*3 GAG: 組織を柔軟にしたり水分を保持させて潤わせる働き
石灰の分解(石灰沈着性腱炎)
- 石灰の分解: 慢性期の肩石灰性腱炎は自然吸収が期待できず、衝撃波治療の適応となります。石灰沈着性腱炎などでは石灰成分の分解促進が期待でき、肩石灰性腱炎に対する有効性は71.2〜100%と報告されています。
その他の効果
神経保護作用
衝撃波照射により神経軸索へのダメージを減弱させる作用があります。
骨に対する効果
骨折後の偽関節に対する有効性が報告されており、照射により骨癒合を促進する作用があります。体外衝撃波を骨に照射することにより、非常にわずかな傷や出血(骨膜下出血)が意図的に引き起こされます。これにより、治癒に必要な血液と細胞が呼び込まれ、骨の癒合が促進されます。
*小児の骨端線への照射は早期閉鎖の危険性があるため禁忌とされています。
治療スケジュール
- 診察: 診察で「いつから」「どこが」痛いかを確認します。
- 適応評価: 疼痛部位のMRI検査を行い、適応の判断を行い治療箇所を決定します。
- 照射: 週に1回程度の治療を3〜6回程度実施します。
- 経過評価: 痛みの強さ・頻度・可動域・日常生活での変化などを確認します。痛みや疼痛部位の変化に応じて、照射回数を決定します。
体外衝撃波の適応疾患
国際衝撃波治療学会で承認された適応症に加え、当法人で治療対象としている疾患を含みます。
慢性腱障害
- 足底腱膜炎(保険認可)
- 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)/ 上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)
- 膝蓋腱障害
- アキレス腱障害
- 肩石灰性腱炎
- 大転子痛症候群
- 肩腱板断裂
- 腓骨筋腱損傷
骨疾患・その他
- 骨治癒の遅延
- 偽関節
- 疲労骨折(初期段階)
- 関節の異常を伴わない離断性骨軟骨炎
- シンスプリント
- オスグット・シュラッター病
- 変形性膝関節症
注意事項・リスク・禁忌
注意事項・リスク
- 痛み・違和感: 照射時に軽い痛みを感じることがありますが、ほとんどの方が麻酔を必要とせず治療可能です。
- 一時的な腫れや赤み: 一時的に腫れや赤みが出ることがありますが、通常は数日以内に軽快します。
- 運動制限: 治療後は当日の激しい運動や入浴は避けてください(シャワー可)。
治療を受けられない方(禁忌)
体外衝撃波治療は、使用する機器の種類(エネルギーレベル)や部位によって禁忌事項が異なります。
- 低エネルギー拡散型圧力波・集束型体外衝撃波:
- 悪性腫瘍
- 妊婦
- 出血傾向のある方、抗凝固剤を服用中の方
- 高エネルギー集束型衝撃波の禁忌:
- 治療部位の肺組織
- 悪性腫瘍
- 治療領域の骨端プレート(成長期の小児)
- 治療部位の脳または脊椎
- 重度の凝固障害
- 妊婦
体外衝撃波治療の種類
当法人では「集束型」と「拡散型」の体外衝撃波治療器を導入しています。
集束型体外衝撃波
集束型体外衝撃波治療について全て網羅されています。興味があればご視聴ください。
当法人の集束型衝撃波治療の流れなどを説明しています。
アレックスで治療を受けられる施設
- 東京・さいたま施設
- 長野施設
拡散型圧力波治療について
拡散型圧力波治療の流れや当法人での治療風景を載せています。
当法人で治療を受けられる施設
- 東京施設
- 埼玉施設
- 長野施設