disease

橈骨遠位端骨折

症状

橈骨遠位端骨折は、前腕にある2本の骨のうち、親指側の橈骨(とうこつ)が手首に近い部分(遠位端)で折れる骨折です。転倒して手をついた際などに発生することが多く、整形外科領域で最も頻繁に見られる骨折の一つとして知られています。手首の機能に直接関わるため、早期の診断と治療が、その後の生活の質を大きく左右します。

具体的な橈骨遠位端骨折の症状は以下の通りです。

  • 急激な強い痛みと腫れ:けがの直後から手首全体に鋭い痛みが走り、短時間のうちに手首周辺が大きく腫れ上がります。手首を動かそうとするとさらに痛みが強くなります。
  • 特徴的な手首の変形:骨折によって骨片が大きくずれた(転位した)場合、手首の外観が通常とは異なる形に見えます。最も多いタイプでは、骨片が手の甲側へずれ、「食器のフォークを伏せたような」特有の変形(フォーク状変形)を呈することがあります。
  • 動作の制限:激しい痛みと骨折による不安定性のため、手首を回す動作や、重いものを持ったり掴んだりする動作が著しく制限されます。
  • 手指のしびれや感覚の異常:骨折のずれが強い場合や、腫れがひどい場合、手首を通る大事な神経(正中神経など)が圧迫され、親指から薬指の一部にかけてしびれや感覚の鈍さが出ることがあります。

これらの症状、特に手のしびれは神経が圧迫されているサインであり、放置すると回復が難しくなるリスクがあるため、症状に気づいた場合は、速やかに専門の医療機関を受診することが極めて重要です。

原因

橈骨遠位端骨折の主な原因は、転倒した際に反射的に手のひらを地面につく動作です。骨折に至る衝撃の大きさは、患者様の年齢や骨の健康状態によって大きく異なり、特に骨の強度が低下した高齢者の方に多く見られる傾向があります。

骨折の発生には、以下の要因が深く関わっています。

  • 高齢者の骨粗鬆症による影響:骨密度が低下し骨が脆くなる骨粗鬆症を持つ高齢者、特に70代、80代の女性に非常に多く見られます。骨が脆弱化しているため、わずかな段差でのつまずきなど軽微な外力でも、容易に骨折してしまうのが特徴です。
  • 手のひらをついた転倒による外力の集中:転倒時、手首を反らした状態で手のひらをつくと、ご自身の体重と運動エネルギーのすべてが橈骨の遠位端に集中します。この衝撃が骨の耐えられる限界を超えたときに、骨折が発生します。
  • 若年者における強い衝撃(高エネルギー外傷):骨が丈夫な若い方や成人男性の場合、通常の転倒では折れにくいですが、自動車事故や高所からの転落、激しいスポーツ外傷など、非常に強いエネルギーを伴う外力が加わることで骨折が発生します。

転倒による骨折は生活の質を大きく低下させます。骨折の背景に骨粗鬆症が隠れていることが多いため、骨折の治療と並行して、将来的な再骨折を防ぐために骨の健康を根本から見直す対策が必要です。

診断

橈骨遠位端骨折の正確な診断は、治療方針の決定と手の機能回復を目指す上で極めて重要です。骨折のずれ(転位)の程度、骨が細かく砕けているか(粉砕の程度)、そして手首の関節面にどれだけ影響が及んでいるかを詳細に把握します。

当クリニックでは、まず問診でけがの状況や痛みについて詳しくお話を伺い、その後、以下の画像検査を通じて骨折の状態を正確に把握します。

  • X線(レントゲン)検査:この骨折の診断の基本となる検査です。手首を複数の角度から撮影することで、骨折の有無、骨片のずれの方向や大きさ、橈骨の短縮の程度などを迅速に確認できます。骨折が関節の外側のみか、関節内部にまで及んでいるか(関節内骨折)の初期判断に役立ちます。
  • CT(コンピュータ断層撮影)検査:X線検査で骨折が複雑、粉砕している可能性がある場合、または手首の関節面に段差が生じている疑いがある場合に追加で実施されます。CT検査は、骨折の様子を立体的かつ多角的に詳しく把握し、特に手術が必要な複雑な骨折に対し、最適な治療法を選択するための情報が得られます。

これらの画像検査によって、表面的な症状だけではわからない骨折の詳細な情報を得ることができ、患者様にとって最も早期の機能回復が見込める、適切で安全性の高い治療法をご提案いたします。

治療

橈骨遠位端骨折の治療は、「保存療法」(手術をしない方法)と「手術療法」の二つがあり、骨折の安定性、損傷度、患者様の年齢、活動レベル、そして早期回復に対するご希望などを総合的に判断して決定されます。

主な治療方法は以下の通りです。

  • 徒手整復とギプス固定(保存療法):骨のずれが比較的軽度であるか、麻酔をかけた状態でずれた骨を元の位置に戻す整復操作を行った後、骨折部が安定して保持できる場合に選択されます。ギプスやシーネを用いて手首を固定し、安定した状態で骨が固まるのを待ちます。
  • ロッキングプレートを用いた内固定術(手術療法):骨折のずれが大きく安定しない場合や、骨折が関節内部に及んで不安定な場合、また早期に日常生活への復帰を強く希望される場合に選択されます。高性能な金属プレートであるロッキングプレートを用いることで、骨折部を内側から非常に強固に固定することが可能です。
  • 早期からのリハビリテーション:骨折の治療において、手の動きを回復させることは非常に重要です。固定期間中から指や肘の運動を始め、固定が外れたり手術直後からは、手首の関節の硬さ(拘縮)を防ぎ、動く範囲や握る力を回復させるためのリハビリを計画的に進めます。
  • 骨粗鬆症治療の実施:特に高齢で骨折された患者様の場合、今後再び骨折することを防ぐために、骨折の治療と並行して、骨を丈夫にするための薬物療法などの骨粗鬆症治療を行います。

手術療法の中でも、ロッキングプレートを用いた固定術は、従来の治療法に比べて非常に安定性が高く、術後すぐにリハビリを開始できるため、ギプス固定期間を大幅に短縮し、早期に手の使用や日常生活への復帰を目指せる利点があります。私たちは患者様一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法をご提案し、機能回復を全力でサポートします。

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