disease

ドゥケルバン腱鞘炎

症状

ドゥケルバン腱鞘炎(ドケルバン病)は、親指を動かす時に使う腱が、手首の親指側にある「腱鞘」というトンネルの部分で炎症を起こし、強い痛みや腫れを伴う疾患です。腱鞘は腱がスムーズに動くためのガイドのような役割をしていますが、使いすぎなどでこの部分に摩擦が起きると、炎症が生じ、腱の動きが制限されてしまいます。

この疾患の症状は、特定の動作で特に強く現れるのが特徴です。日常生活を送る中で、手首の親指側に次のような症状を感じた場合、この腱鞘炎の可能性があります。

  • 手首の親指の付け根付近に痛みや腫れ、押すと強い痛み(圧痛)がある。
  • 親指を曲げたり、指を開いたりする動作で激しい痛みが走る。
  • 物をつまむ動作(ピンチ動作)や、ペットボトルのキャップを開ける、フライパンや鍋を持つなどの日常的な動作が困難になる。
  • 痛みがひどくなると、親指だけでなく、手首から腕(前腕)にかけて広がるように感じる場合がある。
  • 腫れに伴い、親指を動かしにくく感じたり、腱が引っかかるような違和感が生じることがある。

これらの症状は、特に育児中の女性や、仕事や趣味で親指を酷使する方に多く見られ、痛みを我慢していると症状が慢性化しやすいため、早めの対応が大切です。

原因

ドゥケルヴァン腱鞘炎の最も大きな原因は、腱と腱鞘がこすれ合うことによる「使いすぎ」と、それに伴う「摩擦と炎症」です。しかし、この疾患は、単に手を使いすぎたというだけでなく、特定の身体的・環境的な要因が複雑に絡み合って発症することが知られています。

  • 親指の使いすぎ: 授乳時の抱っこ、スマートフォンを片手で操作する、パソコン作業、家事(洗濯物を絞るなど)、手芸など、親指を頻繁に動かし、手首に負担をかける動作が炎症の引き金となります。
  • 腱と腱鞘の摩擦: 腱の使いすぎにより、腱が腱鞘というトンネル内をスムーズに滑走できなくなり、こすれ合って炎症を起こします。これが痛みや腫れの原因となります。
  • 女性ホルモンの変化: 妊娠中、出産後(産後)、更年期といった女性ホルモンが大きく変動する時期に特に発症しやすい特徴があります。これはホルモンの影響で、腱や腱鞘の組織がむくみやすくなることが関わっていると考えられています。
  • その他の背景因子: 関節リウマチ、糖尿病、甲状腺疾患など、全身に関わる病気がある場合にも、腱鞘炎を発症するリスクが高まることがあります。

この疾患は、仕事や育児など、日常生活で「やらざるを得ない動作」が原因となることが多いため、ご自身で安静を保つことが難しく、痛みのサイクルに陥りやすいという特徴があります。

診断

ドゥケルバン腱鞘炎の診断は、患者様がいつから、どのような状況で痛みを感じるようになったかをお伺いする問診から始まります。その後、手首の親指側に腫れや熱感、押した時の痛み(圧痛)がないかを専門医が丁寧に確認します。

この疾患を特定するために最も重要で、特有の診断方法が「フィンケルシュタインテスト」です。

  • フィンケルシュタインテスト:このテストは、炎症を起こしている親指の腱に意図的にストレスをかけることで、痛みが誘発されるかを確認するものです。まず、親指を手のひらの内側に入れ、残りの指で包み込むようにして握りこぶしを作っていただきます。次に、その握りこぶしを作ったまま、手首全体を小指側(尺側)へ向かって倒します。この動作を行った時に、手首の親指の付け根付近に非常に強い痛みが誘発された場合、ドゥケルバン腱鞘炎である可能性が高いと判断されます。
  • 画像検査による確認:必要に応じて、超音波検査(エコー)を行うことがあります。超音波検査は、患部の腱や腱鞘が腫れて厚くなっていないか、また腱の動き(滑走)が妨げられていないかといった状態を詳しく確認するために役立ちます。
  • 他の疾患との見極め(鑑別):手首の親指側の痛みは、親指の付け根の関節の病気(CM関節症)や関節リウマチによる腱炎など、他の疾患でも起こることがあります。そのため、正確な治療を行うためにも、専門的な知識をもってドゥケルバン腱鞘炎であるかどうかの見極めが非常に重要になります。

当グループでは、こうした客観的な検査結果と、患者様のお話をもとに、痛みの原因を正確に特定し、適切な治療へと繋げていきます。

治療

ドゥケルバン腱鞘炎の治療の基本は、炎症の根本原因となっている「親指の腱の使いすぎ」を止め、腱を安静に保つことです。しかし、家事や育児で親指を使わざるを得ない方も多いため、当グループでは、患者様の生活に可能な範囲で負担を減らすことを目標に、保存療法(手術をしない治療)を中心に段階的な治療を組み合わせます。

  • 安静・固定: テーピングや、患部をサポートする専用のサポーター(装具)を用いて患部を固定します。これにより、日常生活で無意識に行ってしまう親指の不必要な動きを制限し、腱と腱鞘の摩擦を最小限に抑えます。
  • 消炎鎮痛薬: 炎症や痛みを和らげるために、湿布や塗り薬といった外用薬、あるいは内服薬を使用します。
  • リハビリテーション・物理療法: 痛みが和らいできた段階で、専門スタッフの指導のもと、リハビリテーションを行います。手首や腕のストレッチ、患部外の筋力トレーニングなどを行い、手首にかかる全体のストレスを減らすことで、症状の改善と再発予防を目指します。
  • ステロイド局所注射: 安静や薬物療法を行っても痛みが強い場合や、早期の改善を希望される場合には、炎症が起きている腱鞘内に直接ステロイド薬を注射します。この注射は、炎症を強力に抑える効果があり、高い効果が期待できます。
  • 手術療法(腱鞘切開術): 上記の保存療法を一定期間続けても痛みが改善しない場合や、腱鞘の線維化(硬くなること)などで症状が慢性化してしまった場合には、手術をご提案することがあります。これは、狭くなった腱鞘を切開して腱の通り道を広げ、滑りを回復させる日帰りでの手術です。

患者様一人ひとりの症状や生活環境、今後の希望を丁寧に考慮し、専門医がもっとも適切な治療方法をご提案することで、痛みのない生活を取り戻すサポートをいたします。

対応クリニックのご紹介

東京エリア

埼玉エリア

長野エリア

先進治療
WEB予約WEB予約
LINE公式LINE公式