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三角線維軟骨複合体損傷(TFCC損傷)

症状

三角線維軟骨複合体(TFCC)は、手首の小指側に位置する、複数の靭帯と軟骨からなる組織群の総称です。この組織は、手首を動かす際のクッション材の役割を果たし、特に手首をひねる動作(回内・回外)のサポートや、手首全体の安定性を保つための重要な役割を担っています。TFCCに損傷が生じると、そのクッション機能や安定機能が失われるため、特定の動作で激しい痛みが現れるようになります。

TFCC損傷で多く見られる具体的な症状は以下の通りです。

  • 手首をひねる動作での痛み:ドアノブを回す、瓶の蓋を開ける、雑巾やタオルを絞るといった、日常生活で頻繁に行う「ひねる」動作の際に、手首の小指側に鋭い痛みが走ることが、最も特徴的な症状です。
  • 手首に体重や負荷がかかる時の痛み:重いものを持つ時や、床に手をつく動作(立ち上がり時、腕立て伏せなど)を行う際、損傷部位に圧迫や負荷がかかることで、手首の奥深くに強い痛みを感じることがあります。
  • 痛みの持続と変化:軽度な損傷の場合は、動作時のみの軽い痛みであることが多いですが、損傷が中程度に進むと、何もしていない安静時にも鈍い痛みが持続するようになります。重度になると、常に強い痛みに悩まされ、手首の可動範囲が大きく制限されることがあります。
  • 握力の低下:痛みをかばったり、手首の安定性が失われたりすることで、物を強く掴む力(握力)が弱まり、日常生活やスポーツ活動に支障をきたします。

これらの症状は、手首の重要な構造がSOSを出しているサインです。軽度な動作時の痛みが、安静時の持続的な痛みへと進行することもあるため、手首の小指側に違和感や痛みを覚えたら、放置せずに早期に専門の医療機関にご相談いただくことが大切です。

原因

TFCC損傷の原因は、一度の強い外的な力によるもの(外傷性)と、長期間にわたる繰り返し負担によるもの(変性)の大きく二つに分けられます。多くの場合、患者様の生活習慣や体の使い方が深く関わっており、原因を正確に把握することが、再発を防ぐための治療の第一歩となります。

  • 転倒などの強い外傷:スポーツ活動中や交通事故、あるいは日常生活で転んで不意に手をついた際など、手首に瞬間的に強いねじれや圧迫の力がかかることで、TFCCが引き裂かれるなどの急性な損傷が生じます。
  • 手首の慢性的・繰り返しによる負担:ゴルフやテニスなどの特定のスポーツ、あるいは仕事や家事などで手首を過度に使用し続けることにより、TFCCに少しずつ疲労や微細な損傷が蓄積し、組織が摩耗して炎症や損傷へと進行します。
  • 尺骨の長さ(骨のバランス):前腕にある橈骨と尺骨のうち、小指側の尺骨が親指側の橈骨よりも相対的に長い構造を持つ方がいます。この骨格的な状態では、手首を動かすたびにTFCCに継続的な圧力が加わり、慢性的な損傷を引き起こしやすくなります。

TFCC損傷は、上記のような単独の原因だけでなく、外傷的なきっかけに長年の使いすぎや骨格的な要因が複合していることも少なくありません。そのため、患者様の個々の生活背景や動作パターンまで含めた根本的な原因を究明することが重要になります。

診断

手首の小指側の痛みは、腱鞘炎や他の関節の病気と症状が似ていることがあり、適切な治療を行うためには、TFCCの損傷部位と程度を正確に特定することが不可欠です。当院では、患者様からのお話、専門医による身体的な確認、そして画像検査の三段階を通じて、詳細な診断を行います。

  • 問診と身体検査:まずは、いつ、どのような動作で痛みが始まったのか、痛みの性質や持続時間などを詳細にお伺いします。次に、手首を動かしたり圧迫したりする検査(徒手検査)を行い、痛みが誘発される特定の場所(圧痛点)や、手首の関節の安定性が保たれているかどうかを慎重にチェックします。
  • X線(レントゲン)検査:骨折や関節の変形、関節炎など、骨に異常がないかを確認します。特に、TFCCに慢性的な負担をかける原因となり得る、尺骨突き上げ症候群など、骨格的なバランスの異常がないかを把握するために不可欠です。
  • MRI検査:X線では確認できない軟骨や靭帯などの軟部組織の状態を詳細に把握するために、MRI検査は非常に重要です。TFCCの断裂箇所や損傷の大きさ、変性がどのくらい進んでいるのかを客観的に評価することができ、これにより、その後の治療方針を決めるための情報を提供します。

これらの検査結果を総合的に判断することで、他の疾患との見分けをつけ、患者様の損傷のタイプを明確にし、その後の治療方針を過不足なく、最も効果的なものとして決めていきます。

治療

TFCC損傷の治療は、損傷の程度や手首の不安定性、患者様の活動レベルなどを総合的に考慮して選択されます。治療の基本は、まずは手首を休ませる保存療法から開始し、これで改善が見られない場合や、不安定性が強い場合に手術を検討するという段階的なアプローチを取ります。

  • 安静と固定(サポーター・装具):損傷した組織の自然な修復を促すため、手首を安静に保つことが最も重要です。症状に応じて、症状が強い初期には3〜4週間程度のギプスやスプリント(固定具)を用い、手首の動きを制限します。固定期間終了後も、サポーターで手首の安定をサポートします。
  • 薬物療法と注射:痛みや腫れの原因となっている炎症を抑えるための飲み薬(内服薬)を使用します。特に痛みが強く、日常生活に支障をきたす場合には、炎症部位に直接作用する注射(ステロイドなど)を行うことで、速やかに症状の緩和を目指します。
  • リハビリテーション:痛みが軽減した後、手首の動き(可動範囲)を回復させ、周辺の筋力を高めるための運動を専門スタッフの指導のもとで行います。手首の正しい使い方を習得することは、痛みの再発を予防し、復帰をサポートします。
  • 手術:一般的に、保存療法を約3ヶ月続けても痛みが改善しない場合や、TFCCの断裂が大きく、関節の不安定性が非常に強いと判断された場合に検討されます。手術では、損傷した組織を直接縫合したり、不安定な部分を再建したりして、手首の安定性を根本的に回復させます。

多くの方の痛みの改善は、適切な保存療法を行うことで、約3ヶ月で期待できます。私たちは、個々の損傷のタイプと原因、そして患者様の生活スタイルに合わせた適切な治療法を選択し、機能回復と日常生活への早期復帰を目指します。

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