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膝関節後十字靭帯損傷(PCL)

症状

膝関節の後十字靭帯(PCL)は、太ももの骨(大腿骨)に対してすねの骨(脛骨)が後ろにずれるのを防ぐ、非常に重要な役割を持つ靭帯です。この靭帯がスポーツや事故などで傷ついたり切れてしまったりするのが、後十字靭帯損傷です。前十字靭帯の損傷に比べると発生頻度は低いですが、放置すると慢性的な膝の不安定感や痛みに繋がることがあります。

具体的な症状としては、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 膝の奥の痛み 損傷した直後だけでなく、膝を曲げたり体重をかけたりする動作で、膝の奥の鈍い痛みを感じることがあります。
  • 膝の不安定感 靭帯が緩むことで、特に坂道や階段を下りる際などに、膝がガクッとずれるような感覚(後方へのぐらつき)を覚えることがあります。
  • 膝の腫れ(関節内出血) ケガをした直後から数日以内に、膝の中に血液が溜まることで、膝全体が腫れて熱を持つことがあります。
  • 動かしにくさ 痛みや腫れによって、膝を完全に曲げたり伸ばしたりすることが難しくなる場合があります。

急性期の強い痛みや腫れは数週間で落ち着くことが多いですが、靭帯の緩みが残ると、膝の不安定感が慢性化し、日常生活やスポーツ活動に支障をきたすだけでなく、将来的に変形性膝関節症へ進行するリスクも高まるため注意が必要です。

原因

後十字靭帯は膝にある靭帯の中で最も太く、強い靭帯の一つです。そのため、損傷するには非常に大きな力が膝に加わる必要があります。

後十字靭帯損傷の主な原因は、以下のような強い外力が加わる状況です。

  • スポーツ中の強い衝突 ラグビー、アメリカンフットボール、サッカーなどのコンタクトスポーツ中に、膝を曲げた状態で地面や相手選手に脛(すね)の前側を強くぶつけることで、脛骨が強制的に後ろに押し込まれます。
  • 交通事故による衝撃 自動車に乗っている際に、膝を曲げた状態でダッシュボードに膝を強くぶつけることで、脛が後ろへ押し込まれる力が加わり損傷します。
  • 高所からの転落や転倒 階段や高い場所から膝から落ちた場合など、膝を曲げた状態で脛骨の上部(前側)に強い体重が直接加わることで、靭帯が引き伸ばされ損傷します。

これらの強い衝撃によって、後十字靭帯が部分的に伸びたり、完全に切れてしまったりします。また、後十字靭帯単独での損傷だけでなく、他の靭帯や半月板、軟骨なども同時に傷つけている可能性があるため、詳しい診察が必要です。

診断

膝関節後十字靭帯損傷の診断では、ケガをした状況を詳しくお聞きする問診から始まり、いくつかの身体の動きの検査や画像検査を組み合わせて、損傷の程度や他のケガがないかを慎重に見極めます。

  • 問診と身体検査 ケガをした時の状況(いつ、どこで、どのように)、痛みを感じる場所、膝の不安定感の有無などを詳しくお聞きします。診察では、患者様にリラックスしていただいた状態で膝を動かし、脛骨が太ももの骨に対して後ろにどれくらいずれるかを専門的に確認する「後方引き出しテスト」などの検査を行います。
  • X線(レントゲン)検査 骨折がないかを確認する目的で行われます。また、後十字靭帯損傷特有の脛骨が後ろにずれる様子を、特殊な撮影方法(ストレスX線撮影)で、靭帯損傷の程度を評価することができます。
  • MRI(磁気共鳴画像)検査 靭帯そのものの状態を詳しく把握するために不可欠な検査です。MRIでは、後十字靭帯が切れているのか、部分的に傷んでいるだけなのかといった損傷の程度や、同時に半月板や関節軟骨、他の靭帯に傷がないかを正確に確認できます。

これらの検査結果を総合的に判断し、靭帯の緩みの程度や患者様の活動レベルを考慮して、最適な治療の進め方を決めます。

治療

後十字靭帯損傷の治療の進め方は、損傷の程度や膝の不安定性、患者様の年齢やスポーツ活動の希望などによって異なります。まずは、手術をしない保存的治療から始めることが一般的です。

損傷の程度が軽度から中程度で、膝の不安定性がそれほど強くない場合は、主に保存的治療を行います。

  • 安静と冷却 損傷直後の急性期には、患部を安静にし、アイシング(冷却)を行うことで、痛みや腫れを抑えます。
  • 装具療法(サポーター) 膝が後ろにずれるのを防ぐための専用の装具(PCLブレースなど)を装着し、靭帯に負担がかからないように保護しながら治るのを促します。
  • リハビリテーション 膝周りの筋肉、特に太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を重点的に鍛えることで、靭帯の代わりとして膝の安定性を高める訓練を行います。
  • PRP(多血小板血漿)治療 患者様ご自身の血液から、組織の修復を促す成分が豊富に含まれた血小板を濃縮して抽出し、それを損傷した靭帯の部位に注射することで、組織の回復力を高めることを目的とした再生医療の一つです。

靭帯が完全に断裂している場合や、保存的治療を行っても膝の不安定性が残って日常生活に支障をきたす場合、あるいは他の靭帯も同時に大きく損傷している場合は、手術(靭帯の再建術)を検討することがあります。手術が必要かどうかは専門的な判断が必要となりますので、現在の膝の状態をよく確認し、患者様にとって最適な方法を一緒に選択していきます。

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